じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 岡山では7月25日から28日まで4日連続の猛暑日となった。27日と28日は最高気温がいずれも37.2℃に達する中、夕刻には発達した積乱雲が出現したが、時折稲光も見えていたが、雨は全く降らなかった。

2023年7月29日(土)



【連載】チコちゃんに叱られる!「アイスクリームのコーン」「ウナギのヌルヌル」

 7月28日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. なぜアイスクリームはコーンにのっている?
  2. なぜウナギはヌルヌルしている?
  3. 【CO2削減のコーナー】第2弾 ボーっと見てんじゃねーよ ザ・ベストカットオブマイライフ:ミツクリザメ
  4. 携帯電話の声がいつもと違って聞こえるのはなぜ?
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.と2.について考察する。

 まず1.のアイスクリームのコーンについては、放送では「アイスクリーム屋さんの器がなくなったとき隣にワッフル屋さんがいたから。」が正解であると説明された。コーンが発明される前、アイスクリームはガラスの容器で食べるのが一般的であった。容器は返却されて再利用されていたが未返却になることもあった。
 1904年アメリカ・ミズーリ州のセントルイス万国博覧会で暑い日はアイスクリームが飛ぶように売れたが来場者が多く容器が足りなくなった。アイスクリームの隣でワッフルを売っていたアーネスト・A・ハムウィが巻いたワッフルをアイスクリームの器にすることを思いついた。この商品は万国の来場者の間で話題になった。万博終了後、ハムウィはコーンを製造する機械を開発し『ミズーリコーンカンパニー』を設立した。これにより、1人あたりのアイスクリーム年間消費量は、1900年には1クォート(約950ミリリットル)であったものが1915年には4クォート(約3800ミリリットル)に伸びた。アメリカで発行された「後世に影響を及ぼす出来事」が描かれた記念切手」にはこのコーンにのったアイスクリームを食べる子どもが描かれているという。

 ここからは私の感想・考察になるが、ウィキペディアには、
  • 食べられるコーンは、1825年には既にフランスの料理本で紹介されており、ジュリアン・アルシャンボー(Julien Archambault)が「小さなワッフル」からどのようにコーンを巻くことができるかを記述している。
  • アメリカ合衆国において、アイスクリーム・コーンは20世紀最初の10年間で普及した。
  • 1904年12月13日、ニューヨークのイタロ・マーチオニーのアイスクリームを保持するためのペイストリー・カップを作るための型は、米国の特許746971で認められている。マーチオニーは、1896年から食用の菓子の入れ物に入れたアイスクリームを売っていると主張したが、マーチオニーの特許はコーンに及んでおらず、コーン・メーカーを特許侵害で訴えた訴訟で敗北している。
  • ミズーリ州セントルイスで1904年に行われたセントルイス万博では、バナー・バター製造所のオーナー、ジョージ・バングがアイスクリームを売った。伝えられるところによれば、彼はボウルを使い果たし、その代わりとして巻いたワッフルを用いた。
  • セントルイス万博での最初にワッフルをつくった人物として、アーネスト・A・ハムウィの名が挙げられることもある。
と記されており、放送で紹介されたハムウィのエピソードは諸説のうちの1つに過ぎないように思われた。

 このWeb日記で何度も指摘しているように、「○○はなぜ今使われているのか?」という疑問に答えるには、「○○はどうやって誕生したのか?」という由来を調べただけでは不十分。由来がどうであったとしても、今の世の中で役に立たなくなれば廃れてしまう。逆に今の世の中でもしっかり地位を占めているとしたら、それを支える別の原因をちゃんと指摘する必要がある。
 今の世の中でもアイスクリームのコーンが使われている理由として考えられるのは、
  1. ウエハースを添えるのと同じで、アイスクリームの冷たさでマヒした舌の感覚を取り戻す効果。
  2. プラスチック容器やガラス容器に入れる場合と異なり、食べ終わった時にゴミが残らない(コーンを巻いている紙が残ることはあるがサイズが小さい)。
  3. スプーン無しで食べることができる。
という点にあるのではないかと思われる。




 次の2.のウナギのヌルヌルについては、放送では「負け組が滝を登るときにも必要だから」が正解であると説明された。
 脇谷量子郎さん(東京大学大気海洋研究所特任准教授)によれば、ウナギのヌルヌルはムチンというたんぱく質の一種であり、なめこ、オクラ、山芋にもある。ムチンの一番の役割は体を守ることにある。ウナギは岩の隙間や砂利の中に潜り込んで生活しているが、ヌルヌルによって傷つかないようにできている。
 ヌルヌルはさらに滝を登る時にも役立つ。ウナギの仔魚・レプトセファルスは約k2500km離れたマリアナ諸島西側の海から日本にやってくる。放送では多摩川下流を例としてその後のウナギの成育が説明された。それによれば、下流で暮らすウナギのほうが成熟するスピードがはやい。しかし下流は一等地であるもののその分ライバルが多く競争が激しい。競争に負けたウナギは3〜4年は下流で暮らしたあと、敵が少ない上流を目ざして滝を登る。滝登りといっても滝の本流ではなく、水流の脇にある湿った岩の上をよじ登る。これができるのは、ウナギが陸上ではヌルヌルを通して酸素を取り入れる皮膚呼吸もできるためである。じっさいウナギは12時間も陸上で生活することができるという。中には46mの滝を登ったウナギもいた【静岡新聞2020年8月27日付、共同通信配信)。
 しかしダムの壁は登ることができないため、上流に向かうことができず死んでしまうこともある。ダムの建設によりウナギの生息域も狭まっている。2013年に絶滅危惧種に指定されことで、ウナギの食文化は養殖で保たれている。

 ここからは私の感想・考察になるが、そう言えば「うなぎ上り」という言葉があることを思い出した。こちらには、
  • 『うなぎ上り(うなぎのぼり)』とは、数値や評価などが勢いよく上昇したり、回数が急激に増えたりすることです。『鰻登り』『鰻上り』と書く場合もあります。
    物事の良し悪しを数値や評価で判断するケースは多くあります。たとえば、経済における物価や株価、芸能人・スポーツマンの人気や評判などが該当します。気温・体の調子・収入などもあてはまります。
    これらの程度・段階・回数などが、何らかの理由で勢いよく上昇したり増えたりした際に、『うなぎ上り』を使って強調することが可能です。
  • 鯉の滝登りは、目覚ましい勢いで立身出世することであり、うなぎ上りとは意味が違う言葉です。
  • 『うなぎ上り』の由来には2パターンの説があります。どちらも魚のうなぎに関する話です。
    2説のうちの一つは、うなぎが川を上る様子から誕生したとする説です。うなぎは川の流れの強さに関係なく、上流に向かって勢いよく泳ぐ特徴を持っています。
    もう一つの由来は、うなぎの特性から言葉が生まれたとする説です。うなぎの体の表面はぬるぬるとしており、手でつかまえようとしてもスルッと上に抜けてしまいます。
と説明されていた。またウィキペディアには、
  • 誤った使用例)新開発の燃料を使ったロケット XYZ001は、10G の加速度で鰻登りに上昇していった。
    こういった物理的な上昇には使用しない。
  • 「うなぎのぼり」という言葉、あるいは慣用句は、ある特定の状況に対してだけ使用される表現だということが分かる。それは、何かを契機に上昇がはじまり、急速に上昇が進むということであるが、この場合、「うなぎのぼりする事態」には、特殊な条件が付いていることが用法から理解される。
  • 「うなぎのぼりする事態」は、まず、上がるか下がるかに、人間が非常に関心を持ち、上がりや下がりに一喜一憂するような事態である。次に、このような事態は、その発生が予めに予期されていることが一般である。また、発生に反復性のある事態について使われる。更に、上昇がはじまっても、実は、何時上昇がやむのか、先行きはどうなるのか、不安定要素が絡み、単純に上昇するのではなく、急速に上がると、少し下がり、再度急速に上昇するというように、上昇・下降に「くねり」が存在するような事態に使われる。また、上昇でも下降でもない、「横這い」状態が存在し得るような事態について使用される。
 真夏の気温が「うなぎ上りに上昇」と言うときの気温は物理現象だが、上掲の使用条件は満たしているようである。

 もとの話題に戻るが、ウナギが皮膚呼吸できるというのは、魚が陸上に進出する上の1つのきっかけを作ったようにも思われる。もっとも、両生類は、海水魚からではなく、淡水魚から派生して誕生した動物群であると考えられており、じっさい、両生類の体は塩分に対する耐性が低いという。ウナギから陸生動物に進化したのは『ウナギイヌ』ぐらいのものか。但し、ウナギイヌはウナギの突然変異ではなく、父親が犬、母親がウナギという混血であると想定されている。

 次回に続く。