じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 9月3日の19時半過ぎ、岡山・旭川の三野浄水場付近の中州でサプライズ花火が打ち上げられた。わずか5〜10分程度であったが、いろいろな形があり、ベランダから居ながらにして楽しめた。なお、写真の中段と下段はそれぞれ1つの花火の打ち上げ後の変化を示す。いずれも動画で撮影し、『動画から写真3』というアプリで切り出した。


2023年9月4日(月)




【連載】ヒューマニエンス「“免疫” 曖昧な“わたし”をめぐるドラマ」(3)T細胞の寿命/同じ父親のほうが妊娠しやすい理由

 昨日に続いて、8月28日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、

「“免疫” 曖昧な“わたし”をめぐるドラマ」

についてのメモと感想。

 まず昨日の日記で、BingにT細胞の寿命について尋ねたところ、
獲得免疫で活躍するT細胞の寿命は、種類や状態によって異なりますが、一般には数週間から数年と考えられています。


という回答をいただいた。そこで、

「獲得免疫で活躍するT細胞の寿命は、数週間から数年」という回答をいただきました。しかし成人になると、胸腺の退縮により新たなT細胞は作られなくなってしまうように思います。であるとすると、成人のT細胞はどうやって補給されるのでしょうか?

とさらに質問を重ねたところ、
成人になると胸腺は退縮して新たなT細胞は作られにくくなりますが、完全に作られなくなるわけではありません。骨髄から出た造血幹細胞が胸腺に入ってT細胞に分化する過程は、一生続きます?。ただし、胸腺の退縮や造血幹細胞の老化によってT細胞の数や質は低下します?。
また、成人のT細胞は、一部は自己複製することで補給されます。これは、特定の抗原に反応するT細胞が増殖して記憶T細胞となる現象で、獲得免疫の一種です。

成人のT細胞の補給についてもっと知りたい場合は、以下のリンクをご覧ください。
1: [成人T細胞白血病リンパ腫|国立がん研究センター](https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/0906/index.html)
2: [成人T細胞白血病 - Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E4%BA%BAT%E7%B4%B0%E8%83%9E%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%97%85)
3: [【血液専門医が解説】成人T細胞白血病の症状・診断・治療 ...](https://ueno-okachimachi-cocoromi-cl.jp/knowledge/adult_t-cell_leukemia/)

[胸腺 - Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%B8%E8%85%BA)
[免疫は胸腺や骨髄から生まれている!どのようにつくられるの ...](https://www.macrophi.co.jp/special/1971/)
[免疫系を活性化させる「T細胞」って何? | ヘルスケア | ニュース ...](https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF3000X0W0A820C2000000/)
[免疫学入門 - 京都大学医学部附属病院](http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~tumor/immuno/immuno.htm)

(1) 免疫は胸腺や骨髄から生まれている!どのようにつくられるの .... https://www.macrophi.co.jp/special/1971/.
(2) 成人T細胞白血病リンパ腫|国立がん研究センター. https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/0906/index.html.
(3) 成人T細胞白血病 - Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E4%BA%BAT%E7%B4%B0%E8%83%9E%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%97%85.
(4) 【血液専門医が解説】成人T細胞白血病の症状・診断・治療 .... https://ueno-okachimachi-cocoromi-cl.jp/knowledge/adult_t-cell_leukemia/.
(5) T細胞の老化と免疫老化 : ライフサイエンス 領域統合レビュー. http://leading.lifesciencedb.jp/7-e005.html.
(6) 胸腺 - Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%B8%E8%85%BA.
という回答をいただいた。ということで成人になって胸腺が退縮しても、T細胞が枯渇することは無さそうである。

 あと、T細胞とB細胞の違いについても尋ねたところ、
T細胞とB細胞は、免疫システムの中で異なる役割を果たすリンパ球です。T細胞は、細胞性免疫系を担当し、ウイルスやがん細胞などに直接攻撃したり、他の免疫細胞を活性化したりします。B細胞は、液性免疫系を担当し、抗体を産生して血液中の病原体に結合したり、記憶細胞として抗原を覚えたりします。
という回答をいただいた。このことから、獲得免疫でよく話題にのぼる「抗原」とか「抗体」というのはどうやらB細胞に関連した免疫系の話であるように思われた。そこでさらにBingに、

獲得免疫でよく話題にのぼる「抗原」とか「抗体」というのはB細胞だけに関係しているのでしょうか。T細胞と、「抗原」や「抗体」は直接連携していないと言ってよいでしょうか?

と尋ねたところ、
「抗原」と「抗体」はB細胞だけに関係しているわけではありません。T細胞も「抗原」や「抗体」と直接連携しています。例えば、1によると、
  • T細胞は、抗原提示細胞上の抗原ペプチドとMHCクラスIIの複合体を認識すると、B細胞に抗体産生を促すサイトカインを産生します。
  • T細胞とB細胞は、それぞれT細胞受容体(TCR)と免疫グロブリン(Ig)という抗原受容体を持ち、遺伝子の再編成によって多様性を持たせています2。

    詳しくは、以下のリンクをご覧ください。
    1: [2. 抗体産生のしくみ│研究成果 −アレルギー疾患・自己免疫 ...](https://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/02.html)
    2: [液性免疫と抗体(抗体のでき方) | MBLライフサイエンス](https://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Acquired-immunity-Antibody.html)
うーむ、ますます複雑になってきた。私の頭脳では複雑すぎで理解できないシステムが私の身体にしっかり備わっていてちゃんと機能してくれているというのはスゴいことだ。ま、ガソリン車がどういう仕組みで制御されているのかという話は教習所で習っただけですっかり忘れてしまっているが、それでもちゃんと安全運転ができるということと同じかもしれないが。

 さて本題に戻るが、放送では「Tレグこそが生命誕生の決め手」と題して、赤ちゃんが胎内で成長し出産する過程においてTレグの活躍ぶりが紹介された。
 そもそも赤ちゃんというのは、父親と母親の遺伝子が半分ずつ混ざった遺伝子を持っており、母親の免疫系から見れば半分は異物ということになる。にもかかわらず、赤ちゃんが攻撃を受けないのはなぜだろうか。
 放送によれば、カギになるのは、精液に含まれる父親の遺伝情報であるという。
  • 精子は子宮の中を通って卵管に入っていくが、その際、子宮内の樹状細胞はまわりに漂う精液から父親の遺伝情報を収集する。
  • 精子と卵子が受精を果たしその受精卵が子宮内に来るとき、樹状細胞は先回りしてTレグを子宮内に呼び寄せておく。このことは、子宮内膜(血液)のTレグの割合が、妊娠前6.07%であったのに対して妊娠直後に21.84%に急増するというデータから証拠づけられる。
  • そのおかげで、受精卵は免疫系の攻撃系から守られうまく着床できる。
  • 着床後出産までのあいだも、子宮内の胎児はTレグによってずっと守られる。
  • なお、通常の免疫では樹状細胞は異物の動きをまずヘルパーTに伝えるが、妊娠の場合は直接Tレグを呼び寄せるという点で通常とは異なる働きをしている。齋籐滋さん(富山大学)によれば、「母体が出すホルモンによって樹状細胞の性格が変わってしまう」ためであると解説された。

 なお、妊娠・出産した後、父親の物質に反応したTレグはそのまま残ると言われている。これにより同じ父親から2回目以降の精子を受精した時に、より妊娠しやすくしてくれるように働くという。なので、再婚などにより父親が変わった場合には、最初からリセットされなければならない。
 ここからは私の感想・考察になるが、まず、胎児が子宮内で無事に成長するためには、あらかじめTレグを呼び寄せておく必要があるということは、単に胎内から取り出した卵子と精子を人工的に授精させて子宮内に着床させようとしても、それだけでは免疫系の攻撃をまともにくらってしまうことを意味しているように思う。であるとすると、受精卵を子宮内に移すだけでなく、あらかじめその父親(もしくは精子提供者)の精液を注入して樹状細胞を働かせる必要があるように思われる。じっさいの人工授精でもこのような処置が行われているのだろうか。

 Tレグが父親の遺伝情報を学習するというのは驚きであった。このことから推測すると、一妻多夫のような制度のもとでは、妻は必ずしもうまく妊娠・出産できない可能性がある。また、一子目よりも二子目以降のほうが安産になりやすいという理由の1つに上記のTレグの働きがあるという可能性もある。もちろん二子目以降のほうが、母親は一子目の時に起こった種々のトラブルを経験したころで二子目妊娠出産時のリスクに備えられるという理由も大きいとは思うが。

 次回に続く。