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半田山植物園で見かけたアリとコバネイナゴ(たぶん)。イソップの寓話に『アリとキリギリス』という話があるが、ウィキペディアによれば、『蟻とセンチコガネ』、『セミとアリ』、『蟻とバッタ』、『蟻とコオロギ』などいくつかのバリエーションがあるらしい。福沢諭吉が英語から翻訳した『童蒙をしへ草』では「蟻といなごの事」になっているという。 なお、ネットで検索したところ、
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【連載】チコちゃんに叱られる! 「〜じゃ」と「ザーマス言葉」 9月22日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。今回は以下の3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。
さて1.の「〜じゃ」は確かにおじいちゃん言葉として定着しており、私もかつて、 ●プラスチック血液型劇場【未完。こちらに関連記事あり】 の中で、『栗鼠蔵』じいさんの喋り方として取り入れたことがあった。 さてその「おじいちゃん言葉としての『じゃ』」じゃが、放送では正解は「関西弁の名残」であると説明された。金水敏さん(放送大学大阪学習センター)によれば、昔の関西弁では「〜です」や「〜だ」を意味する言葉として「〜じゃ」が使われていた。江戸時代初期、経済や文化の中心は京都や大阪だったため、上流階級の人たちは西から来た人が多く関西弁を話していた。江戸時代後期になり江戸の経済が発展すると、若い町民たちを中心に江戸っ子意識が高まり江戸言葉にプライドを持ち始めた。その結果、江戸では関西弁を話すことが高齢世代を特徴づけるようになり、それに対応して、当時の歌舞伎や小説の作り手が老人キャラに関西弁を使わせるようになった。じっさい、江戸時代後期の『東海道四谷怪談』(1825年初演)では、主人公の民谷伊右衛門が「立派な女房をオレは持つ気だ」という江戸言葉を使っているのに対して、孫兵衛というおじいちゃんは「子どものそのように叱らぬものじゃ」という関西弁で演じられていた。このようにキャラクターをイメージしやすい言葉は役割語と呼ばれている。役割語としては他にも、上品なおくさんの「ザマス」や、相撲力士の「ゴワス」などがある。 ここでいったん私の感想・考察を述べさせていただくが、「じゃ」はおじいちゃんの役割語のほか、岡山弁を特徴づける表現でもあるように思われる。じっさいウィキペディアにも 助動詞と記されており、半田山植物園をウォーキングしている最中に、高齢女性のグループが「じゃ」や「じゃが」でお喋りしている内容が聞こえてくることがある【このほか若い男女でも使われており、岡山では、おじいちゃん言葉ではなく、世代や性別を超えた言葉であるように思われる】。 放送では「じゃ」は「関西弁の名残」とされていたが、私の個人体験の範囲では、京都、大阪、兵庫、滋賀などの人が「じゃあ」と喋っているのは一度も耳にしたことがない【例えば岡山弁の「綺麗じゃ」は、京都では「綺麗や(綺麗やなあ)」となる】。「じゃ」を使っているがいれば間違いなく岡山で生まれ育った人であると気づくほどである。 もっとも、朝ドラ『らんまん』を視ていると、槙野万太郎も「じゃ」を使っていた。今の土佐弁でも同じくらい「じゃ」が使われているのかどうかは分からない。 さて、放送では「じゃ」に続いて、「ざます」、「ざんす」が取り上げられた。これらはもともと、江戸の遊女や芸者の言葉が起源であるが、木戸孝允や伊藤博文などの時の権力者たちが芸者を妻としたことで社交界に広がり、その後、東京・山の手のお金持ちの婦人たちの言葉として定着したと考えられている。ということで、放送では、東京山の手にあたる赤坂や白金台で調査したが、実際にザーマス言葉を使う人は一人もいなかった。そこでNHKアーカイブスを調べたところ、2000年2月に放送された『こんにちはいっと6けん』という番組の中で、山の手地域・白金台に住む入江寿子さんという女性が、「どうぞおいでくださんせ」、「お入りくださんせ」、「好きなものざんすから」、「葉っぱの息がきっとできなくなるんざんしょね」「なかなか出ないざんすよね」「無意識にやってることなんじゃないでざんしょか」というようにザーマス言葉を使っている場面が写っているところが見つかった。 『ザーマス言葉』は、私が子どもの頃、祖母が使っていたように記憶している。今でも耳にするのは、ドラえもんに出てくるスネ夫のママの喋り方であり、ネットで検索したところこちらに、スネ夫のママ ―「ざます語」完全リスト―というのがあり、コミックス全62話の中では「ざます』を70回も使っているという。もっともスネ夫のママの「ざます」の頻度は明らかに過剰であり、自然な会話の中ではあそこまで使われることはないと思う。 次回に続く。 |