じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



10月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
クリックで全体表示。



 半田山植物園内で赤とんぼを見つけた。赤とんぼにはいくつかの種類があり同定が難しいが、こちらの見分け方によると『リスアカネ』の可能性が高い。


2023年10月8日(日)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「外気温とお風呂の暑さ(熱さ)の感じ方」

 10月6日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。今回は、
  1. 気温40℃は暑いのにお風呂の40℃がちょうどいいのはなぜ?
  2. 超ド級の「ド」ってなに?
  3. なぜうんちはブラウン?
という3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 放送では正解は「お風呂が40℃のときは皮膚がすぐに40℃になるけど気温が40℃のときは皮膚がなかなか40℃にならないから「暑っ!」となる」というやや長めの説明となった。
 中村和弘さん(名古屋大学)によれば、暑さというのは温度が高いことだけではない。
  • 暑さの正体は皮膚の温度が上がったことを脳に伝える神経の電気信号。
  • 【ナレーション】私たちは恒温動物なので、もし体温が上がり続けると臓器の機能が停止して命の危機に及ぶ。そうならないために、皮膚の温度が上がると神経を使って脳に電気信号が送られる。それを受け取った脳は汗を出すなどして体温が上がるのを防ぐ。
  • 同じ40℃であっても、お風呂の場合は直ちに皮膚温度が上がるので、お風呂に入った瞬間は熱く感じるが、その後は電気信号が減って気持ちよく感じる。
  • いっぽう40℃のサウナに入った場合は、皮膚温度はゆっくりと上昇するため電気信号が送られ続けてずっと暑く感じる。
  • お湯と外気で皮膚温度の上昇が異なるのはお湯(水)のほうが外気よりも約20倍熱が伝わりやすいためである。
  • 但し暑さの感じ方は育った環境や慣れなど人によって変わるので今回の答えが全員に当てはまるわけではない。
 以上を検証するため、あばれる君が40℃のお風呂と40℃のサウナに10分入り1分ごとに皮膚温度を計測した。お風呂では1分で6.1℃上昇して10分間で40℃前後をキープした。いっぽうサウナでは1分で0.4℃上昇して36℃前後であり、その後のゆっくりと上昇した。

 ここからは私の感想・考察になるが、空気(外気)と液体(水)が同じ温度であっても感じ方が違うという現象は他にもいろいろある。私自身の体験からは、以下のようなことが言える。
  • 水温15℃の水風呂に入ると最初は冷たく感じるが、慣れてくると一定時間は入っていることができる。いっぽう、気温15℃状態で服を脱ぐとすぐに寒くなり、慣れるということはない。
  • 【放送でも言及されたが】90℃のお風呂に入れば直ちにやけどしてしまうが、90℃のサウナであれば10分間程度は余裕で入っていられる。
  • 40℃の外気に晒されているといずれ皮膚温度の上昇が止まり、脳に電気信号が送られなくなるはず【お風呂と同じ状態】。しかし暑さが和らぐことは決してない。長時間40℃が続けば熱中症になってしまう。
  • 40℃のお風呂でも長く入っていれば茹だってきて苦痛になる。35℃のお風呂ならもっと長時間入れる。いっぽう外気温は40℃でも35℃でも不快。35℃の気温が快適ということは決してない。
 上掲の「温度変化がもたらす電気信号の量」の説明だけでは、これらの現象はうまく説明できないように思われる。ではどうすれば納得できるのかということになる。可能性としては、
  1. 皮膚は薄い空気の層に包まれているため、外気の温度がすぐには伝わらない。さらに暑ければ発汗する。このことにより90℃のサウナにも一定時間入ることができる。【もっともお風呂でもお湯をかき回さなければ皮膚のまわりにバリアができるようだ】
  2. サウナの中は暑いが、いつでも外に出られるという任意性がある。いっぽう真夏の炎天下では40℃の猛暑から逃れることができないためより不快感が強まる。
  3. 暑すぎることと寒すぎることを伝える仕組みは異なる。暑さは発汗、寒さは鳥肌や震え。
といった点を挙げることができる。
 とはいえ、35℃のお風呂は快適で長時間入れるが、35℃の気温は暑くてたまらないのはなぜかはよく分からない。ということでBingに尋ねたところ、
おっしゃる通り、35℃のお風呂は快適で長時間入浴できますが、35℃の気温は暑くてたまらず決して快適にはなりません。この違いは、人間の体温調節機能によるものです1。人間の体温は約36℃前後で一定に保たれるようになっています。そのため、35℃のお風呂は体温に近く、体温を下げることができるため快適に感じます。一方、35℃の気温は体温よりも低いため、体温を下げることができず、暑さを感じてしまいます2。

(1) お風呂の温度は何℃が良い?適温と温度別の効果を解説 | お .... https://www.bathlier.com/media/bath/temperature/.
(2) 気温と風呂の温度は「同じ35度」でも感じ方が違うが…株価も .... https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328004.
(3) お風呂の38度はぬるいのに気温38度がめちゃくちゃ暑いのは何故 .... https://question.realestate.yahoo.co.jp/knowledge/chiebukuro/detail/1294246317/.
(4) 気温の30度は暑いのに、お風呂の30度は寒いのはなぜ .... https://news.livedoor.com/article/detail/9393601/.
(5) 気温が35℃超えたら暑いけどお風呂なら超ぬるい…違いってなん .... https://www.uenoyou.net/entry/Skin-and-temperature.
といった回答をいただいた。回答の文章は全く説明になっていないと思われるが、出典のなかの、

気温が35℃超えたら暑いけどお風呂なら超ぬるい…違いってなんだろ?

という記事はかなり説得力があった。それによれば、まず、

●「熱さ(暑さ)を感じるのは、深部温と皮膚温の温度差が大きいときである」

という仮説、さらに、

●外部の温度と、皮膚温との差が大きいほど熱さ(暑さ)を感じる」

という仮説が検討された。この研究は、刈谷市立刈谷南中学校の柴田芳之先生と名古屋大学環境医学研究所の岩瀬先生の指導のもと、愛知県刈谷市立刈谷南中学校の2年/3年生が研究にあたっているというからスゴい【出典はこちら】。いろいろと条件を変えて精密に測定して仮説を検証していくということは科学的研究の基本であり将来にも役立つであろう。もっとも、「熱さ(暑さ)を感じる」というのは心理現象であり環境や文脈に左右されやすいので配慮が必要。

 次回に続く。