じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 楽天版じぶん更新日記へのアクセス数は、通常は毎日1000前後で推移している。といっても、これは、過去日記の閲覧を含めたトータルのアクセス数であって、最新日記の閲覧数は30程度に過ぎない。
 ところが、11月25日と27日の2日間に限り、そのアクセス数が6000前後に急上昇した。テレビで特定の話題が取り上げられた時にはキーワード経由で1万以上のアクセスをいただいたことはあったが、今回は特定の日付の日記ではなく、500ほどのコンテンツに対してそれぞれ10回前後のアクセスがあったと推定できた。実際、11月27日の日付別のアクセス数は最多でも28にとどまっていた【右の画像参照】。
 おそらく、何らかの検索エンジンによる機械的な情報収集と思われるが、何を目的としたものか、なぜ2回にわたってアクセスが行われたのかは大きな謎である。



2023年11月29日(水)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「人間の赤ちゃんが未熟な状態で産まれてくる理由」

 11月17日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。今回は以下の3つの話題が取り上げられた。
  1. 人間の赤ちゃんが産まれてすぐ歩けないのはなぜ?
  2. 日本にキャラクターがいっぱいいるのはなぜ?
  3. 止まっているエスカレーターをのぼると変な感じがするのはなぜ?
という3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 赤ちゃんがすぐ歩けない理由については、放送では「お母さんを守るため」が正解であると説明された。解説内容を要約すると、
  1. スイスの生物学者アドルフ・ポルトマンが人間とほかの哺乳類の赤ちゃんがどれだけおなかの中にいるのかを平均寿命と比較した。馬は平均寿命約25年に対してお腹の中にいる期間は1年であり4%。いっぽう人間は、平均寿命80年に対してお腹の中で過ごす期間は10カ月でたった1%。また、馬の赤ちゃんは産まれてすぐに歩けるが、人間の赤ちゃんが歩き始めるまでには10カ月程度を要する。
  2. 人間は二足歩行で骨盤の形が変わったため産道が狭くなった。そのためおなかの中で赤ちゃんが歩けるほど成長すると産道を通れなくなるほか、お腹を圧迫することでお母さんにダメージを与える。それゆえ、赤ちゃんは未熟な状態で産まれてくると考えられてきた。
  3. 最近は「お母さん限界説」という新しい説も登場。お母さんの脳が赤ちゃんの大きさに肉体的な限界を察知しオキシトシンを出した結果赤ちゃんが産まれてくるという説である。お母さんが産むことのできる赤ちゃんの大きさには肉体的な限界があるということ。
  4. 歩けないから学ぶという人間独特の行動に『共同注視』がある。共同注視とは、一緒に物や人を見て注意を向ける行動であり、人間が他の動物よりも成長する理由の1つになっている。撮影画像に見られるように、赤ちゃんは先生や親の視線や声かけに対応して対象物に興味を向ける。未熟な状態で産まれるからこそ支え合って生きていく力を身につけていけるようになる。
 ここからは私の感想・考察になるが、人間やそれ以外の哺乳類の赤ちゃんがお母さんのお腹の中で過ごす期間は、それぞれの動物の生育環境に応じて、進化の過程で最適化されていくものと思われる。赤ちゃんという個体の側から見れば、可能な限り長くお腹の中で過ごしたほうが外敵から襲われるリスクを抑えることができる。しかし胎内にとどまっている限りは補給される栄養には限りがあるし、また、身体や脳を十分に発達させることができない。また、妊娠期間が長くなればなるほど、次の妊娠を始めることができないため、トータルとしての出産数を減らすことになる。こうしたメリット・デメリットにより、結果的に最適な妊娠期間というものが決まってくるのではないかと思われる。なので、その理由は、「お母さんを守るため」が唯一ではなく、
  • 妊娠期間が赤ちゃんの生育に与えるメリット、デメリット
  • 種として存続するための最適な子どもの数
といったバランスに基づいて、進化の過程の中で最適な期間が結果として調整されたものと思われる。

 なお、ウィキペディアによれば、ポルトマンの説は概ね次のような内容となっていた。
ポルトマンは生後すぐに離巣する鳥類(ニワトリ、カモ)と生後しばらく巣に留まり、成熟してから巣立つ鳥類(ツバメ、ハト)の比較をほ乳類に拡大し、離巣性と留巣性に分けた。離巣性の動物(ウマやゾウ、アザラシなど)は妊娠期間が長く、出産数は少ない。一方、留巣性の動物(ネズミやモグラなど)は妊娠期間が短く、出産数は多い。人間は離巣性の特徴を備えながらも、すぐに歩くことはできない(二次的就巣性)。ポルトマンは、本来人間は出産後から1年間は胎内で成熟するはずだったのではないかとの仮説を唱え、これを生理的早産と呼んだ。人間のこの特性は、多くの発達過程が出生後に社会文化的環境において行われなければならないことを意味する。社会的相互作用や環境の影響に依存するので、人間は常にこれらに対して開かれていなければならない。ポルトマンによれば、この特別な「開かれている」という能力は文化的、精神的な学習の前提条件である。
放送では、平均寿命と妊娠期間が比較されていたが、平均寿命が長いほどそれに比例して妊娠期間も長くなるべきだという主張は必ずしも成り立たないように思う。人間の平均寿命は約80年で馬の平均寿命約25年より3.2倍も長いが、だからといって妊娠期間が3.2年必要だということにはならない。またそもそも人間の平均寿命は、生活環境の改善や医療技術の発達によって、本来の寿命よりも「生き過ぎている」状態となっていて、馬の寿命と単純には比較できないように思う。そもそもポルトマンは、どこかで馬と人間の寿命を比較していたのだろうか?

 次回に続く。