【連載】チコちゃんに叱られる! 「十二支の中でなぜ辰だけ架空の生き物?」と2026年丙午問題
昨日に続いて、12月29日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日はこのうちの3.について考察する。
- おたふくとおかめの違いってなに?
- 「鍵閉めたっけ…」となるのはなぜ?
- 十二支の中でなぜ辰だけ架空の生き物?
- こたつの中の光が赤いのはなぜ?
さて、十二支の話題であるが、放送では「上へ昇っていく生き物といえば龍しか思いつかなかったから」が正解であると説明された。放送によれば、
- 十二支は中国の殷の時代(紀元前17〜15世紀頃)に誕生したと言われている。
- 古代の中国には12の周期で物事が一巡する考え方があった。
- もともとの十二支は1年を12に区切りその時期ごとの植物の成長過程を表す漢字で表したものであった。例えば「子」は、新しい命が種の中で芽生え始める様子を表している。
- しかし、植物の成長過程では覚えづらいため身近にいる動物に当てはめた。「辰」は「上へ伸びていく」という動物として「龍」が当てはめられた。龍は見たことがなくてもみんなが知っていたため覚えやすい生き物として十二支になった。
- 子:「種の中で命が芽生える」→「子どもの多い生き物」として鼠
- 寅:「これから根や茎が生まれる」→「力強い生き物」として寅
- 家畜として飼われていた動物
- 丑:「ねじる・曲げる」→牛
- 未:「いまだ成育中」→羊
- 酉:「完全に熟した状態」→鶏
- 亥:「骨組みや核」→猪(豚)
- 午:「交差する」→馬
- 卯:「おおう」→兎
- 山でよくみかける動物
そして「植物が蔓を伸ばしていく」漢字である「辰」に対しては「上に昇っていく生き物」として龍があてはめられた。当時は龍はなじみがあり実在する「恵みの雨を降らしてくれる」尊い生き物とされた。
その後十二支はモンゴル帝国の発展とともに世界に広まったが、一部はそれぞれの国の馴染みのある動物へと置き換わった。
- ベトナム:牛→水牛、兎→猫、羊→山羊、猪→豚
- トルコ:龍→魚
- イラン:龍→鯨
- カザフスタン:龍→カタツムリ
ここからは私の感想・考察になるが、放送の初めのほうでは『辰』は「根や茎の形が整う」と説明されていたが、後半ではなぜか「蔓を伸ばす」というように意味が変わってしまった。念のためウィキペディアでチェックしたところ、
『漢書』律暦志によると辰は「振」(しん:「ふるう」「ととのう」の意味)。草木の形が整った状態を表しているとされる。
後に覚え易くするために神話動物の竜が割り当てられた。東南アジアではナーガ、ペルシャではクジラや大海蛇、グルン族の十二支では鷲、トルコでは魚やワニ等の動物に置き換えられている。アンタレスを象徴するともされる。
となっていた。上に昇るという意味が「辰」にあるのかどうかは確認できなかった。
カザフスタンでは「辰年」は「カタツムリの年」に置き換えられているということであったが、昨年5月にアクタウやアルマティを観光した時には確認できなかった。Bingに尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
カザフスタンでは、中国の十二支に代わって、動物の名前を使った独自の暦を使っています。この暦は、カザフスタンの民族的・宗教的な特徴に合わせて作られたもので、イスラム教の影響を受けています。1
その中で、「辰年」は「カタツムリの年」に置き換えられていますが、その理由は、カザフスタンでは竜は不吉な生き物とされているからです。竜は、イスラム教では悪魔や邪悪な存在の象徴とされており、カザフスタンの民話や伝説にも、竜を退治する英雄の物語が多くあります。23
一方、カタツムリは、カザフスタンでは縁起の良い生き物とされています。カタツムリは、自分の家を背負って移動することから、家庭や家族の幸せを象徴すると考えられています。また、カタツムリは、雨を呼ぶという信仰もあるため、農業にとって重要な生き物とされています。?
BR>したがって、カザフスタンでは、「辰年」は「カタツムリの年」に置き換えられていますが、その根拠は、カザフスタンの文化や宗教に基づいていると言えます。
1: カザフスタンの暦 - Wikipedia
2: カザフスタンの竜 - Wikipedia
3: カザフスタンの民話 - Wikipedia
?: カザフスタンのカタツムリ - Wikipedia
(1) 2024年(令和6年)干支は辰!たつ年や竜(龍)の豆知識 .... https://allabout.co.jp/gm/gc/386622/.
(2) 「天皇誕生日」の変遷をたどると、暗い歴史に紐づけられた .... https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74064.
(3) 2024年は辰年 港北区内の”龍”紹介 伝承、儀式、造形物など .... https://www.townnews.co.jp/0103/2024/01/01/712795.html.
(4) 令和6年は辰年! :: 同志社女子大学. https://www.dwc.doshisha.ac.jp/research/faculty_column/6.
(5) 2024年は辰年!「ドラゴンのエンブレム」を持つ5つのチーム - Qoly. https://qoly.jp/2024/01/01/fwn77ze1-kit-lfb-1.
ちなみに私は1952年生まれの辰年であるが、ふだん干支のことを意識することは全く無い。ところが昨年12月、某銀行に登録していた電話番号の変更する際に、スマホから電話で手続をしようとしたところ、生年月日を伝えたあとで「干支は何ですか?」と訊かれたことがあった。本人の認証のためなのか、本人が認知症かどうかを調べるためだったのかはよく分からないが、突然じぶんの干支を訊かれたのでビックリした。
あと、干支で思い出されるのは1966年の丙午騒動であった。結果的に、丙午生まれの人は、受験で得をした可能性がある。次の丙午は2026年ということで、世界銀行はこのトレンドは継続しないと予測しているようだが、どうなるだろうか。デマが拡散しやすいSNSなどの影響が懸念されるところだが、そのいっぽう、政府の少子化対策がさらに徹底し、総理大臣が陣頭指揮をとって丙午迷信の撲滅に乗り出す可能性もある。
次回に続く。
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