じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



01月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

クリックで全体表示。




 1月9日の午後、NHK-Eテレで、

「2024新春将棋バトル〜バラエティー四番勝負〜」

が放送された。本来は元日の16時から17時29分に放送される予定であったが、16時10分頃に能登半島地震が発生したため1月9日に延期となったようである。
 放送の中で特に興味深かったのは『天地創造将棋』というもの。ルールは、
  • 初期状態として、先手は6段目、後手は4段目に歩を並べる。歩以外はすべて持ち駒とする。【写真上】
  • 両者は、1手ずつ、自由に駒を選んで自陣の好きな位置に配置する。
  • すべての駒を並べ終えたら対局開始。【下の写真は戸辺七段(先手)と増田七段(後手)の対局例】
というものであった。
 Bingで尋ねたところ、上記のルールは変則将棋の1つではあるが一般にはあまり普及しておらず攻略法に関する研究も殆ど行われていないとのことであった。但し「このルールは、将棋の初期局面の多様性や駒の配置の自由度を高めることで、将棋の魅力を再発見するきっかけになるかもしれません。」とも指摘されていた。

 素朴に考えるとこのルールは、初期局面の変化が無数にあるため、伝統的な将棋よりもさらに多様な攻守の方略がありそうな気がする。但し、両者が攻めよりも入玉を優先した駒組みにすると、相入玉で常に千日手に終わる可能性もある。なので、例えば玉の位置だけは同じ筋(例えば3筋目)に固定するなど、両者の玉の守備陣の衝突が避けられないようなルールを追加する必要がありそうだ。



2024年1月16日(火)





【連載】ヒューマニエンス「“左と右” 生命を左右するミステリー」(2)左右のルール

 昨日に続いて、1月8日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、

「“左と右” 生命を左右するミステリー」

についてのメモと感想。今回から放送内容に入る。

 放送ではまず、人間の体や行動において、上(脳)、下(足)、前(目)というように、上下や前後は絶対的に固定された位置・方向があるのに対して、左右はどちらであっても何の問題も無いと指摘された。実際、左右どちらの手でもモノを食べられる。また、殆どの人は心臓が体のやや左、肝臓はやや右に位置しているが、それが逆転している人もあり、何の問題も無いとされている。にもかかわらず、なぜ左右の差が生じるのか? 確かに興味深いテーマである。

 続いて紹介されたスタジオゲストの竹内勇一さん(北海道大学)は、「左右」の研究を始めた背景として、
  • 私たちの体は一見すると左右対称だが、右利き左利きに代表されるように行動面では非対称
  • 右利きと左利きの人の脳に違いがあるのかどうかは分からない
  • 右脳・左脳との関係だけでは説明できない。
といった謎があると述べておられた。
 同じくスタジオゲストの松尾貴史さんは概ね左利きで、鉛筆や箸は左手で持つという。左利きが強く意識される場面としては、新幹線の改札口で左手で持った切符を右側に通すのが不便であるという話をしておられた。

 私自身は右利きなので普段は利き手由来の不便を感じることはないが、確かに、いろいろな道具や日常生活の諸場面では右利きに便利になるように造りや配置になっていることに改めて驚かされる。

 続いて、いろいろな場面での左右のルールが紹介された。
  1. 時計は右回り。
  2. 陸上のトラック競技は左回り。
  3. 道路の車線は、国により異なる。
 単細胞生物が誕生した時には左右は存在しなかった。ウニのように口と肛門が生まれると、その前後軸に対応して左右軸ができた。さらに、魚のように餌を求めて動く生物では、前後と、背と腹ができ、副産物として左右が生まれた。こうして見る限りでは「左右」は「おまけ」に過ぎないとも言える。
 いっぽう生命の誕生に不可欠なアミノ酸には左手型と右手型の2つのタイプがあるという。その2つの分布は銀河系の中の場所で大きく偏っており、太陽系はたまたま左手型が多い場所に位置している。結果として地球上の生物は左手型のアミノ酸を利用している。右手型のアミノ酸を人工的に作ることはできるがうまく機能しない。

 ここでいったん、私の感想・考察を述べさせていただくが、上掲の諸事例のなかで、時計がなぜ右回りなのかについては以前にも考察したことがあった。改めてBingに尋ねてみたが、「北半球では日時計が右回りに動くから」という説が一般的であるようだ。

 このほか、思いつく事例として「チベット仏教では右回り」というのがある。右手で壁面に設置されたマニ車を廻しながら一周することに関係しているのかもしれない(もっともボン教では逆に回すとか)。日本の寺院では拝観順路が結果として左回りになることもあるが、四国八十八か所は右回りとなっている。
 あと、海外旅行先でバス移動をするとき、座席が自由に選べる場合、左右どちら側に座るかという事例がある。私自身はその日の移動経路に応じて、できるだけ逆光にならない側を選ぶようにしている。このほか、曇りであれば、「車が左側通行の国では左座席、右側通行の国では右座席」とすることもある。理由は単に対向車に遮られないため。

 次回に続く。