じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 1月16日(火)は半田山植物園が休園日のため代替のウォーキングコースとして岡大周辺を歩いた。農学部農場では毎年いちばん先に開花するピンク色の梅の花が三分咲きとなっていた。


2024年1月17日(水)





【連載】ヒューマニエンス「“左と右” 生命を左右するミステリー」(3)改めて「左右」の定義

 昨日に続いて、1月8日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、

「“左と右” 生命を左右するミステリー」

についてのメモと感想。

 昨日の日記で、
単細胞生物が誕生した時には左右は存在しなかった。ウニのように口と肛門が生まれると、その前後軸に対応して左右軸ができた。さらに、魚のように餌を求めて動く生物では、前後と、背と腹ができ、副産物として左右が生まれた。こうして見る限りでは「左右」は「おまけ」に過ぎないとも言える。
というように番組の言葉を引用した。もっとも「左右が生まれた」というのは、「そのような方向軸が存在するようになった」というだけのことであり、自然界に厳然とした「左右」が存在しているという意味ではない。ウィキペディアではこの点について以下のように説明している。
  1. どちらが右で他方が左となるかは、人間の取り決めによってのみ区別できる。
  2. 社会として、つまり多数派・少数派の違いとしてそれが確定できるため、左右の区別は一般的通念として世界で広く使われるが、それすら往々にして混乱を生じる(「どっちだっけ?」「お箸を持つ方だよ」というよくあるやり取りがそれを示している)。
  3. 人間にとって、上下は重力の方向を、前後は自己の進行方向を示すというようにはっきりと異なる意味を持つのに対して、左右にはそのような判然とした価値の差が存在しないために、混乱が生じやすい。左右という概念・単語を持たない民族・言語もある。
  4. 人体がほぼ左右対称なことから、左右の概念は、様々な幾何学的な鏡像関係を区別するために持ち出される。たとえば回転の方向を指す「右回り」や螺旋などの「右巻き」である。これは日常会話だけではなく、数学における右手系や化学におけるキラル、物理学におけるヘリシティなど、科学の様々な分野においてもそうである。
  5. しかし純粋に幾何学的には、左右は本来六方の一つであり、その立場からすると、これらの左右は援用である。たとえば螺旋において、「右巻き」があるからと言って、「上巻き」や「後巻き」といった概念があるかというと、そうではない。従って、鏡像関係にある二つの螺旋のうち、片方が絶対的に「右巻き」という訳ではない。しばしば右ねじと同じ螺旋を「右巻き」と呼ぶが、それは人為的な約束事である。
  6. 一方で、巻き貝では、その巻く方向は、身体の左右と密接に結びついている。#軟体動物の場合で後述する。
  7. 螺旋;分野によっては、どちらの螺旋が「右巻き」と呼ぶ慣例であるかが決まっている。
    • つる植物では、両方の定義が使われており、混乱している。
    • 学術用語集では、いくつかの生物関係の分野で、巻き貝における「右巻き」「左巻き」と同じ定義を用いている。
    • ねじについては、右手を握り、親指を立てたときに四本の指先方向に回すと親指側にねじ込めるものを「右ねじ」という。

 要するに、
  1. 我々が住む三次元空間の位置は、x、y、zという3本の直交軸の座標で必要かつ十分に表すことができる。
  2. (真っ直ぐ進む場合)空間内の移動経路も2点の座標を結ぶ直線の方程式として表現できる。
  3. 進む方向が定まることで前後軸が決まる。これにより、当初のx軸を回転して前後軸にピッタリ合わせることができる。
  4. y軸とz軸をどのように回転させて上下軸と左右軸に合わせるのかということは、その空間にどのような力が働いているのかによって決まる。地球上では重力が働いているので上下軸は機械的に決まる。いっぽう無重力の空間や粘性の強い液体内では上下軸をどのように定めても不都合は生じない。
  5. 移動が起こらない空間でも、蔓が伸びる方向、巻き貝が成長する方向などが定まればその軸を中心として回転方向を定義することができる。
というようなこと かと思う。
 じっさい、例えばバネには右巻き、左巻きがあり、
巻き方向は、端末を起点として時計回りに巻かれていれば右巻、逆回転なら左巻となります。(ばねを立ててみて右上がりのものを右巻、左上がりのものを左巻と言えます。特に指定のない場合は右巻となります。
というように区別されているが、その代わりに、バネを端末が左になるように横に置いた時、手前側で上向きに巻いているか下向きに巻いているか、つまり「上巻き」か「下巻き」かというようにも区別可能である。

 同様に、アナログ時計の針が回る方向も、6時から12時までの部分では「上回り」、12時(0時)から6時までは「下回り」と表現することもできる。ふだん、時計は右回りだといっているのは9時から3時までの針の動きが右に動いているからにすぎない【針の先から見て中心が常に右側にあるから右回りであるとする説明もある】

 ここでふと思ったが、この世界では、「前後軸」、「上下軸」、「左右軸」はどういう順番で構成されていったのだろうか。これには普遍的な法則性があるわけではない。それぞれの生物にとっての利便性によって決まってくる。
  1. 植物は重力の影響を受けるので、まずは「上下軸」が重要。次に、蔓性の植物では巻く方向を決定づける「左右軸」が関わってくる。植物は3次元空間で生育するが「前後軸」が意味を持つかどうかは不明。じっさい、植物には前や後ろは存在しない。但し、日の当たる方向とか、葉っぱや枝の重なり具合では意味を持つかもしれない。
  2. 水中を泳ぐ魚や空を飛ぶ鳥では、「前後軸」、「上下軸」、「左右軸」は同じ程度に重要。
  3. 陸上を移動する動物は実質的に二次元空間に暮らしているため、普段は「前後軸」と「左右軸」だけで十分。空の上を飛ぶ猛禽類を警戒したり、木に登ったり、巣穴を作る時には「上下軸」が意味をなすかもしれない。
 ちなみに人間は原則として二次元空間を移動しているため、三次元空間の認識を苦手としている。将棋や囲碁などは二次元空間のゲームであり、「前後軸」と「左右軸」だけでルールを説明できる。三次元将棋というのも理論的には可能かと思われるが、実際に対局しようとすると何がどうなっているのかサッパリ分からなくなる。

 次回に続く。