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【連載】ヒューマニエンス「“左と右” 生命を左右するミステリー」(4)三葉虫は左に逃げるか?/鱗食魚 昨日に続いて、1月8日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、 ●「“左と右” 生命を左右するミステリー」 についてのメモと感想。 昨日の日記に述べたように、『左右』は本来『六方』の一つであり、
放送ではまず、5億年前・カンブリア紀に栄えた三葉虫に化石を見ると右側がよく欠けていたという例が紹介された。放送では、このことから「三葉虫は左側に逃げる特性を持っていたかもしれない」と述べていた。念のためBingにも尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。 三葉虫の化石には右側が欠けたものが多く見つかっているのは、他の動物に食べられた跡だと考えられています。三葉虫は海底を這ったり泳いだりして生活していた底生生物で、捕食者に襲われる危険にさらされていました。三葉虫は危険を感じると、ダンゴムシのように丸まって身を守ることができましたが、それでも完全には防げなかったようです。右側が欠けた理由は、三葉虫の複眼が左右に1対あったため、右目で捕食者を見つけて左側に逃げようとしたからだと推測されています。しかし、その際に右側の殻が噛まれて欠けてしまったのでしょう。 ここで少々脇道に逸れるが、これは全く逆で、右側に逃げる特性を持っていた可能性もあるように思われた。 三葉虫は化石として残っているだけなので、実際にどのような動きをしていたのかは推測するほかはないが、左側に逃げれば右後ろが噛みつかれる可能性も高いいっぽう、左後ろのほうが捕食者に近いためより噛みつかれやすくなる可能性もある。 さらに考えなければならないのは、左側が欠けた三葉虫の化石が見つかりにくい理由としては、
これに似た話はなぞなぞでも見かける。昨年11月28日に解答編を掲載したクイズの中に、 ●第二次大戦中、アメリカ軍は敵の射撃による爆撃機の損失を抑える方法を検討した。任務から戻った爆撃機が受けた損傷の場所を集計したところ、羽根と胴体の部分に損傷が集中していることが分かった。このデータをもとに、爆撃機に装甲(補強)を施すとしたらどの部分が妥当だろうか? というのがあり、その正解は、 ●損傷の少ない部分を補強した。帰還した爆撃機のみのデータなので、羽根や胴体は多少の損傷を受けても撃墜されなかった可能性を示している。いっぽ う、損傷が少なかった部分というのは、その部分に損傷を受けると撃墜されてしまい、データとして収集できなかった可能性がある。 となっていた。 さて放送内容に戻るが、放送では、スタジオ解説者の竹内勇一さん(北海道大学)の研究室で飼育されている鱗食魚(りんしょくぎょ)が紹介された。水槽に金魚を入れると鱗食魚は鱗を剥ぎ取って食べるが、個体により口が右に傾いた「右利き(右側から攻撃)」と左に傾いた「左利き(左側から攻撃)」という2つのタイプがあるという【左右は、攻撃される魚の左右の面に対応していた。金魚の左側を攻撃するのが「左利き」】。 いっぽう、攻撃される側の魚は、鱗食魚の攻撃を避けるように体をくねらす。 鱗食魚が右利き、左利きのどちらになるのかは親からの遺伝で決まるが、その比率の毎年の変化を調べると50%を中心として、40%から60%のあいだで定期的に変化している。自然界での調査によれば、鱗食魚は、右利きと左利きのつがいになることが多くこれにより子どもも半々に産まれる。このことで、餌となる魚がどちらに体をくねらしても対応できるようになる。 このあたりのところでよく分からなかったのは、鱗を食いちぎられてしまう側の魚の回避行動が本能的な反射なのか(=無条件反射)、それとも、鱗食魚の接近という視覚刺激を手がかりとして、ある程度(オペラント行動として)学習され、回避率を高められるのかという点であった。但し、いずれの場合であったとしても、右利きと左利きの両方が生まれたほうが適応的であることは間違いなさそう。 次回に続く。 |