Copyright(C)長谷川芳典 |
※クリックで全体表示。 |
半田山植物園で見かけた上弦の月と紅梅。月は見た目には梅の花の3倍くらいの大きさに見えるが、写真に撮ると一輪の花の大きさと殆ど変わらない。 |
【連載】チコちゃんに叱られる! 『冷やかし』『指揮棒』『ムチンについての訂正』 昨日に続いて、2月16日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
まず2.の『冷やかし』の語源であるが、放送では「紙を冷やす間のひまつぶし」であると説明された。 斗鬼正一さん(江戸川大学)&ナレーションによれば、
ここからは私の感想・考察になるが、私は、『冷やかし』の語源は「からかう」という意味の『冷やかす』から派生したものだと思っていた。念のため『新明解』を参照したところ、 (一)〔うらやみの気持を交えるなどして〕からかい気味に相手の高揚した気分に歯止めを掛けるようなことを言ったり したり する。「『早く帰りたい』と言うと『新婚さんはいいね』と同僚から冷やかされた」念のためBingに「『冷やかす』という言葉はいつ頃から使われていますか?」尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。 「冷やかす」という言葉は、江戸時代に作られた最大規模の遊郭街である吉原から生まれた言葉だと伝わっています。吉原では、遊女たちが店先に並び、客の目を引くために着飾っていました。その際、職人たちが吉原をぶらぶらして、遊女たちに声をかけて時間を潰していたことから、「冷やかしの客」という表現が生まれました。また、からかったりすることを「冷やかす」というのは、遊女たちが店先で言葉を発することを控えるように言われているのに、返答に困るような声を投げかけて困らせる様子からきています。現在は、その場の雰囲気を冷めさせるような意味でも使われることがありますが、本来の意味とは少し異なりますね。1上記では『冷やかし』の語源は放送内容と同じであった。『冷やかす』については「遊女たちが店先で言葉を発することを控えるように言われているのに、返答に困るような声を投げかけて困らせる様子からきています。」と説明されていた【出典はこちら】。 なお、goo辞書によれば、『冷やかす』と『からかう』等の違いについては、以下のように説明されていた。 1 「からかう」は、人間だけでなく動物などに対してもいう。また、「冷やかす」「茶化す」が、言葉による行為であるのに対して、「からかう」は、言葉だけでなく態度や行為でも示される。確かに、「犬をからかう」とは言うが、「犬を冷やかす」とは言わない。ちなみに上記の「冷やかす=相手の高まった雰囲気や気持ちに水を差して冷(さ)ますようなことを言って、面白がる場合にいう」という説明であれば、吉原遊郭や浅草紙職人とは関係がない。語源はともかく、「高まった雰囲気や気持ちを冷ます」という一般的な意味として通じるように思う。但し買物の際の「冷やかし」とは共通性がなくなる。 最後の3.の指揮者の指揮棒については、放送では「図形を見やすくするため」が正解であると説明された。野本由紀夫さん(玉川大学)&ナレーションによれば、
なお、指揮棒は必ず持たなければならないというルールは無い。指揮棒を持たないことで描く図形は小さくなるが、そのぶん、空いた手で繊細な指示が出せる【指揮棒を持たないで指揮をするファビオ・ルイージの画像が紹介された】。 オーケストラの演奏で指揮者が必要なのかどうかについては中学生の頃からずっと疑問に思っていた。もっとも指揮者は練習段階から楽団を指揮しているはずで、じっさいの公演ではその成果が披露されるわけだから、本番の時だけ指揮者無しにするというわけにもいかないとは思っていた。ま、観衆にとっても指揮者の身振り手振りを通じてそれぞれの曲のイメージをつかむことができるので、やはり必要であろうとは思う。 指揮棒の話題のあと塚原アナから、過去の番組内容について訂正があった。 2023年7月28日および今年1月18日に放送された「なんでウナギはヌルヌルしているの?」に一部誤りがあった。ナメコ、オクラ、ヤマイモなどのヌルヌルした成分はムチンと呼ばれるタンパク質だと説明したが、異なる成分であった。かつては植物性のヌルヌルしてていた成分もムチンと呼んでいたが現在では動物性のものだけをさす。チコちゃんの番組では時たま、進化生物学やら脳科学やらにこじつけたトンデモ「解説」が飛び出し、このWeb日記でも何度も指摘をさせていただいているところであるが、放送の中で訂正をしたというのはかなり珍しい。この番組での説明は青少年から高齢者まで広く伝えられ影響を及ぼしていると思われる。バラエティ番組だからといっていい加減に制作することなく、専門家の説明であってもかならず別の専門家から点検を受けた上で放送するべきであろう。 |