【連載】隠居人が楽しめる素数の話題(11)ガウス素数(2)
昨日に続いて素数の話題。
●かーるのゆっくり数学 近年解明された素数の法則 6選【総集編】
を中心にメモと感想を記す。
昨日の日記では、上掲の総集編第五話の『ガウス素数』について取り上げた。この話題については、
といった別の動画で分かりやすく解説されている。物覚えが悪くなった私のような隠居人にとっては、数学の専門書は全く読む気になれないが、上掲のような解説動画で面白さを学べるというのはありがたいことである。
ここでいったん元の総集編動画の内容から離れて、いくつか生じたモヤモヤを解決しておく。
- i を掛けると90度回転
昨日の日記で、複素数平面上でのガウス素数の分布が対称性を示すのは、「虚数iを掛けることは、90度回転すること」になるためであると述べた。なぜ90度回転するのかは、じっさいに任意の複素数 a+bi にiを掛けていくことで簡単に理解できる。
- a+bi :複素数平面での座標をXY座標に置き換えると(a,b)
- i(a+bi )=ai+bi2=ai−b:XY座標では(−b,a)
- 同様に、i2(a+bi ):XY座標では(−a,−b)
- 同様に、i3(a+bi ):XY座標では(b,−a)
- 同様に、i4(a+bi ):XY座標では(a,b)
というように90度ずつ回転して元に戻ることが分かる。
- ある複素数がガウス素数の時は、inも掛けてもガウス素数になる
inも掛けても「素因数」が増えるわけではないので当たり前。素数に1nを掛けたからといって合成数になるわけではないのと同様。但し素因数分解の一意性については注意が必要。
- フェルマーの二平方定理
- 素数(有理素数)の中には2つの平方数の和で表される素数(2、5、13、17、29、37、41、...)と、表せない素数(3、7、11、19、23、31、43、47、...)があるが、2つの平方数の和で表される素数は、2、または4n+1型である。
- あらゆる自然数は4n、4n+1、4n+2、4n+3 のいずれかで表すことができる。これらを2乗して4で割った時の余りは0または1となるため、2つの平方和を4で割った時の余りは、0、1、2のいずれかになる。
- よって、ある素数が2つの平方和で表される場合、4で割った余りは必ず1になる(余りが0や2となるのは素数ではない)
- ということで、4n+3型の素数は2つの平方和では表すことができない。
- 上記より2を除く素数(奇素数)が平方和で表されるのは4n+1型に限られる。いっぽう、その逆、つまり4n+1型の素数は必ず平方和で表すことができる。この定理はフェルマーによって提起されたが、じっさいに証明したのはオイラーであった。また一文証明というのもあるという。
- 4n+1型の素数はガウス素数にはならない
上記より、4n+1型の素数は必ず、2つの平方和で表すことができる。そうすると、ある素数sは
s=p2+q2=(p+iq)(p−iq)
というように複素数のレベルでは素因数分解ができてしまうのでガウス素数にはなりえない。
次回に続く。
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