じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 楽天版(5月22日付け)に百間川分流部〜旭川土手の写真を掲載したところであるが、この近くの旭川左岸からは、右岸にあるラ・ム−の大黒天像を眺めることができる【写真上】。河川敷に樹木が生い茂っているため、森の中にそびえ立っているように見える。【この大黒天像建立時の様子はこちらにあり】
 大黒天像は他のラ・ム−やディオにも設置されているが、少し前、某ホームセンターの隣にあった像は、ヒンドゥー教の四面神のように見えていた。



2024年5月22日(水)




【連載】隠居人が楽しめる素数の話題(13)ダイヤル数(巡回数)と素数と十進法の関係

 昨日に続いて素数の話題。

●かーるのゆっくり数学 近年解明された素数の法則 6選【総集編】
を中心にメモと感想を記す。今回は『素数の逆数』をめぐる話題。但し、今回は、その一部の紹介にとどまっていた。

 さて、総集編の最後に紹介されたのは、『ダイヤル数(巡回数)』に関する話題であった。動画では、素数pの逆数1/pを計算すると、p=7の時に、

1/7=0.142857...

という循環節が表れる。この6桁の数の並びは、1〜6をかけると、左端の数字が右端に移動するように数字の並びが巡回する。

142857 × 1 = 142857
142857 × 3 = 428571
142857 × 2 = 285714
142857 × 6 = 857142
142857 × 4 = 571428
142857 × 5 = 714285
となる。また、
 上掲の右辺の数値を3つずつに分けて足し合わせると999になるという点も興味深い。(例えば、142+857=999。714+285=999など)。

 動画では言及されていなかったが、ウィキペディアではこのほか、
142857 × 7 = 999999
となることや、8以上のかけ算についても以下の性質があることが紹介されている。
8倍以上では規則性が崩れてしまうように思えるが、先頭の数桁を切り取って末尾に加えれば規則性が保たれる。

142857 × 8 = 1142856 → 先頭の1を末尾の6に加える → 142857
142857 × 9 = 1285713 → 先頭の1を末尾の3に加える → 285714
142857 × 10 = 1428570 → 先頭の1を末尾の0に加える → 428571
142857 × 11 = 1571427 → 先頭の1を末尾の7に加える → 571428
142857 × 12 = 1714284 → 先頭の1を末尾の4に加える → 714285
142857 × 13 = 1857141 → 先頭の1を末尾の1に加える → 857142
142857 × 14 = 1999998 → 先頭の1を末尾の8に加える → 999999
142857 × 15 = 2142855 → 先頭の2を末尾の5に加える → 142857
142857 × 16 = 2285712 → 先頭の2を末尾の2に加える → 285714

142857は6桁であるが、このように、6桁を超えるぶんの桁を左(上位)から切り取って右(下位)に加えるという操作を行うのである。

これは、より大きい数でも成り立つ。

142857 × 71 = 10142847 → 左2桁の 10 を残りの 142847 に加える → 142857
142857 × 52989018 = 7569852144426 → 右から6桁ずつ 7、569852、144426 と区切ってそれぞれを足す → 714285
 さて、素朴に考えると、上記はすべて『142857』の性質であって素数一般の性質とは言いがたい。しかし動画によれば、ダイヤル数は、pが素数の時の1/pの循環節に限って現れることが分かっているという。じっさい、p=17の時の、

1/17=0.0588235294117647......

という循環節もまたダイヤル数になる。ウィキペディアによれば、
  1. 一般に、全ての巡回数は、ある単位分数を小数で表したときの循環節になっていることが証明されている。(ただし、循環節の頭に 0 がある場合の扱いは適切に定める。)
  2. 巡回数のもととなる単位分数の分母は必ず素数である。しかしその逆は成り立たない。
  3. ある p-1 桁未満の 9 の列が p で割り切れるときには、素数 p からは巡回数は得られない。
    (例) 13は素数であるが 1/13=0.076923076923... からは巡回数は得られない。これは 999999 ÷ 13 = 76923 と割り切れることから判定できる。
  4. 素数 p の逆数 1/p の循環節が巡回数になるためには、その循環節が p-1 桁であることが必要十分である。そのような素数は、小さいものから順に 7, 17, 19, 23, 29, 47, 59, 61, 97, 109,… である。
  5. やや高度にはなるが、合同算術を用いた言い換えもある。例えば十進法においては、素数 p がこの性質を持つことは、10 が mod p における原始根の一つであることと同値である。
 上掲の「素数 p の逆数 1/p の循環節が巡回数になるためには、その循環節が p-1 桁であることが必要十分である。」については動画でも言及されていた。なお、ダイヤル数が無限に存在するかどうかは分かっていないという。




 ここからは私の感想・考察になるが、ダイヤル数については、私はイマイチ興味を持てないところがあった。それは、ダイヤル数の性質があくまで十進法に依存しており、記数法に依存しない素数の性質とは言いがたいと思ったからである。もっともウィキペディアでは、十進法以外の場合として、
  • 二進数における0011
  • 五進法における032412
  • 十二進法における2497
が挙げられていた。

 ちなみに、十進法で上掲のような性質を持つダイヤル数が存在するのは、上掲にも記されているように、

十進法においては、素数 p がこの性質を持つことは、10 が mod p における原始根の一つであることと同値である。
ということに関係しているらしい。

 巡回数という呼称で思い出したが、私が高校生の頃、『循環数』という法則を考えたことがあった。但し『循環数』は私が勝手に名づけたものである。それは、

●十進数の右一桁目の数(一の位の数)は5乗すると同じ数に戻る。ではn進法では何乗すると元に戻るか? もしくは、nがどのような場合は元に戻らないのか?

という問題であった。この問題は私には独力では解くことができなかったが、同時『大学への数学』の愛読者仲間だったTさんに手紙を出したところ、数週間後に解答を送ってもらった。これまた原始根を用いた解法であった。せっかくなので、この証明を『大学への数学』に投稿したが高校生向けではないという理由でボツに。その後『数学セミナー』の『エレガントな問題を求む』にも投稿したがやはりボツになった【1998年5月31日の日記参照】。
 しかしいま考えると、『大学への数学』でボツになったのは私の人生にとってはプラスに働いたと結論できる。ヘタに褒められたりすると有頂天になって自分の能力を過大評価してしまい、数学者を目ざそうとしたかもしれない。しかし、最近、数学系の解説動画を視聴していても痛感することだが、大学での数学は高校とは比べものにならないほど難解であり、仮にまぐれで数学科に入学しても、私なんぞは確実に落ちこぼれてしまったと予想される。こちらの動画でも触れられているように、理学部数学科では指導教員などからさまざまな排他的な言葉が浴びせられているようだが、努力だけでは克服することはできない。隠居人であればこそ楽しみながら数学の初歩を学ぶことができるのだ。

 次回に続く。