じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 撮影時にVサイン(ピース)のポーズをとっているかどうかを比較したところ。
  • 1978年はポーズとらず
  • 2003年で初めてポーズをとっていたようだ。もっとも背景のコンドリリ峰の山容に合わせて鳥が羽を広げたポーズをとっているようにも見える。
  • 2018年と2019年の写真では、はっきりVサインのポーズになっている。



2024年7月20日(土)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「写真を撮る時のピース(Vサイン)の謎」

 7月19日(金)に初回放送【岡山は7月19日は別番組のため、NHKプラスで視聴した】された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. なぜ写真を撮るときに日本人はピースをする?
  2. なぜ誕生日を祝う?
  3. 【こんなんのコーナー】「コンパス」って言いながら「パソコン」と書けない現象
  4. 噴水ってそもそもなに?
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 放送ではまず、ピースのポーズで写真を撮る習慣は世界共通ではないことが空港でのインタビュー等を通じて紹介された。
  • アメリカ:肩を組んで撮ることが多い。
  • イタリア:腰に手を当てる。スタイリッシュに写るから。
  • メキシコ:顔だけ違う方向を見る(カメラのほうを見ない。
  • ブラジル、オランダ、ドイツ、フランス:「ポーズなし」の回答が多かった。

 国や民族ごとに異なる文化を比較し研究している桃井和馬さん(恵泉女学園大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。まず、本来のVサインの由来は、
  1. まずピースサインが世界的に広がったきっかけは諸説あるがベルギーの元法務大臣ヴィクトル・ド・ラブレーが広めたという説が有力。第2次世界大戦真っ只中、ヒトラー率いるドイツがベルギーを制圧していた。ラブレーはベルギーの公用語であるフランス語のVictoire(勝利)とオランダ語のVrijheid(自由)などの頭文字をとってVサインを作った。目的はベルギー国民に「この国を占領する者に同じサインを繰り返し見せつけて彼らがベルギー国民に取り囲まれていることを知らしめ最初の失敗を犯すことをわれわれが今か今かと待ち構えていることをわからせようではないか」と説明しベルギー国民の一致団結・ドイツへの圧力をかけることにあった。
  2. その後、V for Victory(勝利へのV)キャンペーンとしてイギリスを中心とした連合国の間でVサインが広がる。
  3. 1945年、ドイツは無条件降伏しその翌日イギリスのチャーチル首相は群衆の前でVサインを披露し戦争の勝利を高らかに勝利を宣言した。これがVサインが世界中に広がるきっかけに。
  4. Vサインがなぜピースサインとして広まったきっかけは1969年にアメリカ・ニューヨークで3日間にわたって開催された伝説のコンサート「ウッドストック・フェスティバル」。愛と平和をテーマに約50万人の観客を集めた。
  5. 当時カリスマ的人気を誇っていたジミ・ヘンドリックスがアメリカ国歌を演奏しながらVサインをした。当時アメリカ大統領のリチャード・ニクソンは演説中などにVサインを披露していたことから、ウッドストックでのVサインにはベトナム戦争を続ける国家に勝利し平和を取り戻すという痛烈な皮肉が込められていた。
  6. 戦争に反対する人々も「ピース」の掛け声とともにVサインを掲げ反戦デモを行ったことから戦いの勝利を意味するVサインだけでなく平和への意思表示としてピースサインが世界中に広まった。
であった。では日本ではなぜ井上順さんのせいで写真を撮るポーズとして広まったのだろうか。このことについては以下のように解説された。
  1. 井上順さんは1963年、16歳のときに『ザ・スパイダース』に加入しボーカルとして活躍。バンド解散後もタレント・俳優として活躍。
  2. 1972年ごろ、井上さんは小型カメラのCM撮影でアメリカへ行った時にホテルやレストランでもピースサインを何度も見聞きした。CM撮影時にアドリブで「ピース!」のポーズをとったところ大きな話題になり、人々も写真を撮るときマネするようになった。
  3. しかしCMひとつで国民の習慣は変わってしまうのだろうか。それを確かめるために茨城県に住むスタッフ橋爪の家族のアルバムを確認したところ、CM公開前の1972年以前にはピース写真は一枚もなく、1977年の写真で初めてピース写真が登場していることが確認された。
  4. ピースサインはもともと一部の反戦でで使われていたが一気に広まったのはジミ・ヘンドリックスの影響だと補足説明された。
 ここからは私の感想・考察になるが、ピース(Vサイン)の謎については、以前チコちゃんの番組で取り上げられたことがあったような気がしたが、今回が初回放送ということなので別番組だったようだ。この日記のどこかに書いた記憶があるのだが検索で見つけることはできなかった。直近のTV番組としては、3月13日に『ほっと関西』というNHKのローカル番組で放送されたことがあり、どうやらこれが元ネタになっているようだ。なおリンク先では、KONICAのカメラのCMであったことを示す画像もあった。

 さて、日本人は井上順さん出演のCMの影響でピースのポーズをとるようになったという説だが、たった1つのCMだけでこんなに影響が出たというのは信じがたいところがある。じっさい、放送に登場したスタッフ橋爪さん【番組スタッフの名前なのか、『スタッフ橋爪』という芸人がおられるのか未確認】のアルバムでも、1977年頃になってからピースのポーズが出現している。私自身も過去の写真をチェックしてみたが、私の場合は2003年のボリビア山旅の時に初めてそのようなポーズをとっており、2018年や2019年頃はほとんどすべてピースポーズ(私の語彙ではVサインポーズ)に変わっていることがわかった。2018〜2019年にはいくらなんでもKONICAのフィルムカメラのCMは流れていないので、何か別の影響を受けたはずだが、当の本人もどうしてそうなったのかが分からないのだからどうしようもない。おそらく考えられるのは、写真を撮って貰う時に「はい、ピース」と言われて、何気なくその指示に従ってしまうためかもしれない【もっとも私の場合、セルフシャッターで撮った写真でもピースのポーズになっていたりする。】

 次回に続く。