じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 1月13日の日記で、NHKみんなのうた『クマのぬいぐるみ』の話題を取り上げたことがあったが、その後、その曲をダビングしたDVDが見つかった。気づいた点は以下の通り。
  1. 1月13日の日記で「ぬいぐるみの持ち主は男の子であると思っていたが、今回、持ち主は女の子であったということに初めて気づいた。」と書いたが、今回見つけたアニメを見るとやはり持ち主は女の子であった。
  2. 歌詞の中に「五年前のクリスマス パパのサンタクロースが 君のために買ってきた」というところがあるが、アニメの中にその「パパのサンタクロース」がちゃんと登場していた【画像A】。なお女の子自身はこの時寝ていたので、サンタクロースの正体がパパであったことは知らなかったはず。
  3. ママによってぬいぐるみは一度捨てられた【ママが後ろ向きに移動しながら掃除機をかけていたところ、床に転がっていたぬいぐるみにつまずいて転倒。怒ったママはぬいぐるみの耳を掴んでゴミ袋と一緒に収集場所に運んだ】。私は、そのぬいぐるみがゴミ収集車の後部に載せられて運ばれている時に女の子がそれに気づいて収集車を追っかけて取り戻したと記憶していたが、じっさいのアニメでは収集車は確かにやってきたものの【画像B】、ぬいぐるみ自体はまだ収集場所に積まれたゴミ袋の山の上にあり、幼稚園帰りだった女の子が偶然それを見つけてゴミの山に駆け上って取り戻してた【画像C】ということが分かった。
  4. アニメは、ベッドの上に置かれたぬいぐるみが右目(向かって左側)からポロリと涙を流すシーンで終了【画像D。Dの文字の右側は右目を拡大したところ】。
  5. このぬいぐるみがその後廃棄されたのかどうかは分からない。「だけど今日からぼくなしで ひとりで眠れる」という歌詞の「今日から」が何の日なのかも分からない。
 なお、私が録画していたのと同じ放送記録はこちらにあるが、アニメ全体は公開されていないようだ。YouTubeなどでも著作権に配慮したためか、放送時のアニメとは別の映像に変えられている。ま、そのうちNHKの『○○周年記念』といった特集番組で放送されることになるだろう。


2025年01月24日(金)




【連載】NHK『ダークサイドミステリー 神秘の古代ミステリー 徹底検証!日本・ユダヤ同祖論(9)1960年代から1970年代の復活に影響を与えた4人

 昨日に続いて、2024年11月29日に再放送された表記の放送についてのメモと感想【初回放送は2023年7月13日】。

 昨日記したように、佐伯好郎、酒井勝軍、小谷部全一郎らによって唱えられた日ユ同祖論は、三国同盟を結んだドイツがユダヤ人弾圧を行ったことによりいったん下火になった。放送では言及されなかったが、酒井が1940年、小谷部が1941年に亡くなったことも下火になった一因ではないかと思われる。

 ところが、戦後になってそれまでとは別の形で復活。その経緯は以下の通り【要約・改変あり。敬称略】。
  1. 敗戦により「日本人は神の国の民」とする神秘的な思想は根底から否定された。これまでのよりどころを失ったまま日本は戦後の復興へと踏み出し始めた。
  2. 1960年代からの古代史ブーム
    • 高度経済成長期の中、精神的に余裕が出てきた日本人に原点探しの大きな波が盛り上がった。
    • 1967年、長崎県出身のアマチュア古代史研究家・宮崎康平が『まぼろしの邪馬台国』がベストセラーに。
    • 宮崎は九州各地から朝鮮半島までを調査し、邪馬台国は九州にあると結論。これにより一般読者の間でさまざまな邪馬台国論争が巻き起こった。
    • 長谷川亮一さん(立教大学)はこうした動きが日ユ同祖論が再び浮上する土壌を作ったのではないかと指摘。「それまで(歴史の)専門家がやるものだとイメージされていた古代史研究にアマチュアが自由に参加できると思われるようになってきた。むしろ自分たちがアマチュアだからこそできることがある、さまざまな議論を積み重ねていく、というのがちょうど1960年代後半のこの時期。その中で自分たちの「ふるさと探し」「ルーツ探し」という意識が生まれてきたのでは、とコメントされた。
  3. 1970年代
    • 『日本人とユダヤ人』(イザヤ・ベンダサン)、『世界経済を動かすユダヤの商法』(藤田田)がベストセラーになり、ユダヤ人に対する日本人の関心が高まった。
    • 本格的な日ユ同祖論の本として『大和民族はユダヤ人だった』(ヨセフ・アイデルバーグ)が登場。筆者のユダヤ人・言語学者のアイデルバーグは日本とユダヤの宗教や言語に共通点があると主張。発音や意味が似ている言葉を並べ、日ユ同祖論を展開した。この時期から日ユ同祖論について数多くの本が出版されるようになった。
    • 長谷川亮一さんはこうした現象について、「自分たちは古代と直接つながっているという思い込み。古代からの日本の連続性と、ヨーロッパあるいは中東イスラム世界におけるアダムとエバの連続性、その両方の慾望を叶える素材として出てくる。自分たちの身の回りにあるものあったものが、それこそ非常に古い(旧約聖書の)時代から続いていたということを、自分たちが気づいていなかったがそういうものがあるんだ。』というように、日本人の原点を旧約聖書の神秘的な世界に求める心理があったのではないかとコメントしておられた。


 ここまでのところで私の感想・考察を述べさせていただくが、1960年代は私にとっては小学校2年〜高校2年、1970年代は高校3年〜大学院ということもあって、まさに私自身がその場に居合わせた時代であった。もっとも60年代の邪馬台国論争も70年代の日ユ同祖論復活も、それぞれベストセラーとなった本が出版されていたことは知っていたが、本を買って読もうというほどの興味はいだかなかった。

 ここで改めて、ウィキペディアなどで上掲の人物について調べてみたが、それぞれなかなかユニークな経歴をお持ちであることが分かった。
  • 宮崎康平(1917-1980)
    • 1949年、地方巡幸に伴い昭和天皇の島原来訪、島原鉄道は路盤を強化する必要に迫られ、昼夜を徹した突貫工事が行われる。このときの過労によって、1950年に眼底網膜炎で失明する。しかし、昭和天皇の案内役を務めるため、鉄道のカーブの数を数え、何度も練習し務め上げた。昭和天皇は最後側近に言われるまで、宮崎が盲目だということに気づかなかったという。
    • 1950年、失明を理由に島原鉄道常務取締役を辞任した。このとき、会社は宮崎を慰留しているが、失明した者には仕事はできないと、これを固辞している。
    • 1956年2月、古川社長の死去に伴い島原鉄道の強い要請で再び常務取締役に就任する。1957年7月には島原大水害が発生、宮崎は鉄道復旧のため、1949年と同様に陣頭指揮に立つ。このとき、多数の土器が出土したことから宮崎は古代史の研究に強い興味を示すこととなる。
    • 1967年、『まぼろしの邪馬台国』を出版。同年創設された第1回吉川英治文化賞を受賞。なおこの書籍が妻・和子の口述筆記によるものであったことから同賞は夫妻に対して贈られている。
    • 1980年には『まぼろしの邪馬台国』の改訂版『新版 まぼろしの邪馬台国』を著し、併せて今後の邪馬台国研究の予定を公にするものの急逝した。62歳没。


  • イザヤ・ベンダサン (Isaiah Ben-Dasan)(公称1918年生まれ)
    • 外国人の名前だが、現在では、ベンダサンの正体は、『日本人とユダヤ人』の出版元であった山本書店の店主でベンダサン名義の作品の日本語訳者と称してきた山本七平であることは間違いがないとされる。
    • 筆名の由来は「いざや、便出さん」ではないかという推測が根強いが、実際のところは定かではない。山本に聞いたところ「ヘブライ語で、‘地に潜みし者で、誰もさがしだせない者’という意味」だと答えたというエピソードもあるらしい。
    • 本の内容については間違いも指摘されている。
    • この本がベストセラーになってから、『日本人と○○人』といった題名の比較型日本人論が一時流行しただけでなく、日本人が外国人を装って書かれた本(ポール・ボネ『不思議の国ニッポン』シリーズ、W・C・フラナガン『ちはやふる奥の細道』『素晴らしい日本野球』など)も多く出されるようになり、ついには「本物の外国人」が書いた日本寄りの著作の著者が、実は日本人なのではないかと勘繰られる事態まで生じている。日本人が外国人の名を騙る手法は、イザヤ・ベンダサン以前には週刊新潮で長期連載されていたヤン・デンマンの例もある。


  • 藤田田(ふじた でん。1926-2004)
    • 母親がキリスト教徒だったことから、「口」に「十字架」で、よい言葉を語るように、という意味で「田」という名前になったとされている。本人はクリスチャンではなく、「銀座のユダヤ人」を自称した。
    • 東京大学法学部在学時に授業料と生活費を稼ぐために通訳の仕事をするが、そこで出会ったユダヤ人たちが兵隊の位は下士官以下、「Jew」と軽蔑されているにもかかわらず貸金業で、贅沢な暮らしをしていたことに驚く。藤田は彼らと深く付き合うことで、「ユダヤ商法」を学んだ。
    • 1971年に日本マクドナルド、1989年に日本トイザらス(アメリカのおもちゃ専門チェーントイザらスの日本法人)、1991年に日本ブロックバスター(アメリカのレンタルビデオチェーン「ブロックバスター」の日本法人)を展開。また、世界一のネクタイ・スカーフ製造販売会社である英国タイラック社と提携し、日本タイラックを創業。
    • 経営者としての顔のほか、著述家としての一面を持っていた。『ユダヤの商法 世界経済を動かす』 (1972年)はベストセラーになった。「78:22の法則」「ユダヤ教徒になれ」「金持ちから流行らせろ」などの主張を盛り込んだ。
    • 日本語の研究と金儲け(株)が趣味で、日本マクドナルドを創業する際も、「McDonald's」を、英語の発音に忠実なカナ表記である『マク-ダーナルズ、または、マク-ダーヌルズ』とせずにアメリカ本社の反対を押し切り「日本語的に馴染みやすい3・3の韻になるよう」に『マクド-ナルド』とするなど、本業にもその成果を反映させた。


  • ヨセフ・アイデルバーグ(Joseph Eidelberg)(1916-1985年)
    • ウクライナ南部(1916年当時はロシア)のオデーサに生まれたユダヤ人。
    • イスラエルの軍人。放送では言語学者として紹介されたが根拠不明。
    • 日本を訪れるために、1963年に日本語の勉強を開始したときに、ヘブル語と日本語に発音と意味の同じ言葉が数多くあることに気がつき、日本人と失われた10支族の関係性を本格的に研究を開始する。
    • 「日本書紀」「古事記」「十七条憲法」「大化の改新の詔」など数多くの日本の文献を研究し、古代ヘブライ人と日本人の関係について独自の見解を発表する。
    • 神道・日本語・日本の歴史についての研究にあたっては、京都の護王神社の見習い神官にもなって研究を行った。
    • 日本語とヘブル語の単語を詳細に比較研究した結果、5000語以上のリストを作っていたとされる。
    • 遺稿となった「日本書紀と日本語のユダヤ起源」においては厳選した500語を分類して掲載している。
    • 「日本書紀」「古事記」「十七条憲法」「大化の改新の詔」の内容と、聖書に書かれている物語やトーラの教えとの共通点を詳細に研究し、文化や道徳観の共通点なども明らかにしている。

 こうしてみると、それぞれの方々の主張もユニークであるが、人物像のほうも興味深い。「マクドナルド」という発音が藤田田さん由来であることは今回初めて知った。

 次回に続く。