じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 野村證券取扱のNISA成長投資枠対象投信の運用状況。野村證券では255本の扱いがあり、このうち253本で2025年2月10日現在の1年間のリターンが表示されていた。
 画像はリターンの上位の1-5位、中位の125-129位、最下位の249-253位の運用成績を示す。なお、1年間の運用成績が黒字となったのは253本中236本であった。

 なお、『つみたて投資』は19本取扱となっており、1位のリターンは『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の30.47%、最下位のリターンは『コモンズ30ファンド』のマイナス1.03%。19本のうちリターンがマイナスになったのは『コモンズ30ファンド』のみであった。但しここでの運用成績は1年前の購入時の増減であって、毎月積み立てた時の12か月分の運用成績とは異なる。

↓の記事参照。

2025年02月12日(水)




【連載】最近視聴したYouTube動画(2)新NISAはお得か?

 昨日の日記で、最近になって視聴を始めたYouTube動画をリストアップした。今回は、その中の、

橋洋一チャンネル

で言及されていた新NISAについて考察する。

 橋洋一さんの新NISAに関するご発言としては、ご本人発信のチャンネルを含めて、以下のような動画やコンテンツが配信されている【順不同】。  あくまで私の理解であるが、指摘されている点は以下の通り 【要約・改変あり】。
  1. NISAははっきり言って「撒き餌」。どんどん投資してNISAが膨らんだあと、ぽっくり逝っちゃうと相続財産になる。相続税がまじめに高くてあるのは日本ぐらい。
  2. 新NISAの狙いは「源泉分離課税→金融商品課税(総合課税化)による税収増。
  3. NISAは私はやらない、他に投資物件があるから。私以外の人は自己責任で。自分で考えろ。金儲けの話を人に聞くっていうのは間違い。
  4. ほんらいは『物価連動債』のほうがお得だが金融機関に配慮して個人販売していない。
  5. 最近、NISAや投資信託をすすめられることが多いようだが、これらをやるのは、金融機関の職員を手数料で食わせるようなものである。夢のない話に聞こえるかもしれないが、貯金の方がよほどマシかもしれない。
  6. どうしても投資をやりたいという人には、国債をおすすめする。まず、売り買いにかかる手数料がほとんどない。金融機関から手数料を収奪されることもない。他にも、国民年金基金などの個人年金なら税制上の恩典があるし無難なので、変額保険や投資信託をやるよりもずっとおすすめだ。

 橋洋一さんとは関係無いが、新NISAに関しては他にも以下のような動画を視聴した。



 ここからは私の感想・考察を述べさせていただくが、新NISAの議論としては
  1. 投資信託は儲かるのか?
  2. 何歳まで資産を増やし続けるのか?
といった点があるように思う。

 まず1.だが、非課税制度としてのNISAと、新NISAの選択として株ではなく投資信託を購入した場合の損得は分けて考えたほうがいいかと思う。橋洋一さんの「NISAや投資信託をすすめられることが多いようだが、これらをやるのは、金融機関の職員を手数料で食わせるようなもの」というご指摘は、新NISAの制度ではなくあくまでアクティブな投信を購入した場合の話である。もっとも、金融機関に手数料を取られてもそれを上回る収益が得られるのであればそれはそれで悪くないとは思う。

 では投信は本当に儲かるのか。この点について、野村證券のサイトでこの1年間の運用成績を調べてみた。↑の画像が示すように、この会社で扱っている投信の1年間の運用成績は概ね黒字となっており、トップでは68.74%もの利益が得られたほか、中位の125〜129位でも12〜13%の黒字となっていた。253本のうち236本が黒字となっていることから、昨年の年初に成長枠対象投信をまとめて購入した人はかなり儲かっているのではないかと思われる。

 もっとも、これはたまたま昨年1〜2月初めの国内株が割安で(日経平均が3万3000-3万5000円、現在は3万8800円)、しかも当時の円高(1ドル140円台、現在は152円台)で為替ヘッジ無しの海外株の投信が相対的に割安で購入できていたためと考えることができる。この先特に懸念されるのはトランプ関税などによる世界規模の株価暴落、あるいは急激な円高であり、上掲の投信の運用成績が一挙に赤字化する恐れも無いとは言えない。ということで、少なくとも私の場合、老後の資金をすべて新NISAにつぎ込むことはかなり危ういのではないかと考えている。

 もう1つの「何歳まで資産を増やし続けるのか?」に対しては、「70歳過ぎて資産を増やそうとするのは無意味」というのが正解ではないかと思っている。いまのところ我が家では夫婦2人とも健康ではあるが、あと数年のうちにはどちらかが要介護になる可能性がある。もちろん健康状態の悪化に応じてそれなりにお金は必要だが、海外旅行などに出かけられるのはせいぜい75歳まで。そのあとはとりあえず自宅に籠もって、毎日1時間程度のウォーキングに出かける生活になるものと予想している。なので、勧められても勧められなくても、新NISAの利用はせいぜい旧NISAからの移し替え程度にとどまることになりそう。また万が一のリスクに備えて、投信保有は全資産の1/3程度に抑えておこうかと思っている。

 あと、少しだけ、若い世代の人たちへアドバイスをさせていただく。
  • 新NISAは銀行の窓口でも勧められることがある。また退職金の優遇金利の条件として投信の購入を押しつけられることもあるが、しょせんこれらは橋洋一さんのご指摘の通りで、金融機関を儲けさせるための仕掛けに過ぎない。そもそも自分たちが儲からないような無手数料の投信を銀行が勧めるわけがない。【なのでネット証券がオススメ】。
  • 銀行や証券会社の窓口ではしばしば、「いまこの投信が人気になっています」とか「この投信の運用成績がトップになっています」とか紹介されることがあるが、いま売れているということは基準価格がそれだけ値上がりしているということであり、そのぶん将来は値下がりするかもしれないというリスクをはらんでいる。むしろ、いま一番運用成績の悪い投信を買ったほうが将来値上がりするかもしれない。但し、運用成績が悪い投信にはそれなりの原因があるはずだ。上掲の画像では、ワースト5として、国内債券インデックス、自動運転関連株式(為替ヘッジあり)、インドネシアやブラジルの株式投信が挙がっていたが、それぞれ理由があればこその不振となっている。不振の原因がこの先も続くのか、それとも今が底値なのかを見極めた上で購入すべきであって、やみくもに安いから買うと痛手になることがある。



 次回に続く。