【小さな話題】新NISAは大赤字/資産運用立国では国が滅びる
各種報道によれば、金融庁は高齢者向けの少額投資非課税制度『プラチナNISA』を創設する検討に入った。その中では運用益などどを分配金として毎月払い出す「毎月分配型」の投資信託を高齢者に限定して対象に加える案が浮上しているという。
確かにいまの新NISAでは数字の上では資産は殖えるが【←後述するように必ずしも殖えるとは限らないが】、一部を解約すると同じ年内にはその非課税枠を再利用できないというデメリットがあり、けっきょく貯めるばかりで何のための資産だか分からなくなってしまう。じっさい、某エコノミストによれば、新NISAは非課税だが、その高齢者が生涯最高金額の資産を残して死亡すれば多額の相続税が発生する。つまり、政府には、非課税のエサでつっておいて相続税として回収するという魂胆があるのではないかと見方をしておられた。分配金が非課税で払い出される投信が新NISAに加わるようになれば、隠居人としてもそれなりにやる気が出てくるというものだ。
もっとも、先日来のトランプ関税のとばっちりで、4月17日朝の時点では私が新NISAで運用している投信は赤字状態が続いている。
新NISAの運用状況については2月28日に一度集計をしたことがあった。その時の『つみたて投資枠』の実績は、
- はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500) +7.25%
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス +7.02%
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) +6.61%
- 野村6資産均等バランス +4.46%
- つみたて8資産均等バランス +2.27%
- ひふみプラス -0.91%
- コモンズ30ファンド -3.11%
となっており、「全体ではプラスになっているが、『ひふみプラス』と『コモンズ30』は赤字が続いている。」と記したところであったが、4月17日朝の時点では、
- はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500) -6.9%
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス -5.7%
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) -5.6%
- 野村6資産均等バランス -3.5%
- つみたて8資産均等バランス -3.4%
- ひふみプラス -8.1%
- コモンズ30ファンド -11.3%
というように全ての銘柄で評価損となっていた。この状態が続くようでは、現金で保有するか、国債でも買っておいたほうがお得ということになってしまう。
さらに『成長投資枠』についてもザッと調べたところ、まず、比較的好成績のものとしては、
- ブラックロック・ゴールド・メタル・オープン Aコース +46.5%
- ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり) +17.9%
- ブラックロック・ゴールド・メタル・オープン Bコース +15.9%
- グローバル・フィンテック株式ファンド(為替ヘッジあり年2決算 +11.2%
などとなっているがこれらは例外的であり、殆どは評価損となっていた。特に損失が大きいものとしては、
- グローバル・ロボティクス株式F(為替ヘッジあり年2回決算型) -23.0%
- グローバル・ロボティクス株式F(為替ヘッジあり1年決算型) -22.8%
- 野村クラウド関連株式投信Aコース(為替ヘッジあり) -21.6%
- ティー・ロウ・プライス ニュー・ホライズンB 為替ヘッジなし -21.6%
- 米国NASDAQオープン Aコース -18.8%
- グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) -18.7%
- 東京海上・ベトナム株式ファンド(年1回決算型) -18.3%
- ノムラ・アジア・シリーズ(ノムラ・インドネシア・フォーカス) -18.2%
- ティー・ロウ・プライス 米国中小型株式B(為替ヘッジなし) -17.7%
- キャピタル世界株式ファンド -17.6%
- グローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジなし) -17.2%
- グローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジあり) -16.9%
- 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド -16.9%
- 次世代通信関連 アジア株式戦略ファンド -16.7%
- ピクテ・エコディスカバリー・アロケーション(年2)ヘッジあり -16.4%
- GSフューチャー・テクノロジー・リーダーズA 限定為替ヘッジ -15.8%
- DIAM VIPフォーカス・ファンド -15.3%
なお上掲の『成長投資枠』のデータは私がスポット的に購入した時点での約定価格が分母になっているため、一般的な1年間の運用成績とは一致していない。
ま、この先も波乱があるとは思われるが、こういうデータに一喜一憂するようでは隠居人生活の支障となる。楽観的に捉えていきたいと考えている。
なお、3月22日の日記にも述べたように、資本主義社会では、お金というのは人に働いてもらうためのツールとして機能しなければ何の意味もない。国民全員に1億円ずつ配ったとしても、お金と引き換えに働いてくれる人が居なければ紙切れ同然、あるいは単なる数値だけになってしまう。そういう意味では、国民全員が資産家になって遊んで暮らせるなどというのはあり得ない。まずは、働きたいと思っている人がちゃんと働けて、それにみあった報酬を得られるような雇用機会を保証する必要がある。またそのさい、人件費の高騰は避けなければならない。となれば、やはり技術立国は不可欠。そういう努力を怠って、「資産運用立国」を目ざすようなことをすれば国は滅びてしまうだろう。
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