じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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4月20日に放送された『チコちゃんに叱られる!』で「おすし屋さんの湯飲みが大きいのはなぜ?」という話題が取り上げられた。確かに高級寿司屋では大きな湯飲みが使われていた記憶はあるが、私が普段利用している回転寿司屋の湯飲みは写真に示すように小さい。各座席ごとに給湯の蛇口がついているので、別段、おかわりしたところで店員さんに手間をかけることはない。

2025年04月20日(日)




【連載】チコちゃんに叱られる! おすし屋さんの湯飲みが大きいのは?

 4月20日(土)に放送された表記の番組についての感想・考察【4月19日(金)の本放送は長野県北部を震源とする最大震度5弱の地震のため打ち切り】。
 この回は、
  1. メジャーリーガーがひまわりの種を食べるのはなぜ?
  2. おすし屋さんの湯飲みが大きいのはなぜ?
  3. タイムカプセルを埋めるようになったのはなぜ?
という3つの話題が取り上げられた。本日は2.の湯飲みについて考察する。

 放送では、湯飲みが大きいのは「お茶のおかわりをさせないため」であると説明された。日比野光敏さん(清水すしミュージアム名誉館長、愛知淑徳大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 寿司屋で大きな湯飲みが出されるようになったのは1820年代(江戸時代)の屋台が始まり。
  2. 江戸時代の寿司と言えば、押し寿司を箱に詰め家に持ち帰って食べるのが一般的だった。
  3. 1820年代に屋台で売る握り寿司が誕生。その場でさっと立ち食いするファストフードのような店だった・
  4. 屋台の表側には作り置きした寿司、ガリがあった。屋台の裏には椅子があり普段は座って接客。シャリやネタがあり、寿司が少なくなると魚をさばいて新たな寿司を握った。
  5. 屋台の客は働き盛りの男性が多かったため、現在の3倍の大きさ。客はこれらを2〜3個食べていた。
  6. 寿司のネタには脂が含まれているため、食べると舌には魚の脂が残る。そのまま違うネタを食べると味がバッティングして美味しく感じない。そこで活躍するのがお茶のカテキン。カテキンは魚の脂をリセットしてくれる。
  7. お茶は熱いほど魚の脂を溶かす。その場合、湯飲みが大きいほどお茶が冷めにくい。放送で実験したところ以下のようになった。
    • 小(100mL)、中(250mL)、大(370mL)の湯飲みに沸騰したお湯を入れる。
    • お湯を入れた直後の温度は、小が83.6℃、中が86.3℃、大が88.9℃で、すでに温度差があった。
    • 10分後には、小が61.3℃、中が67.5℃、大が69.9℃となり、湯飲みが大きいほど熱さをキープできることが分かった。
  8. 湯飲みが大きいほど厚みがあるので冷めにくいとう効果もあった。
  9. 屋台の寿司屋は基本的に一人で営業するため、握る、接客、お茶、会計というようにやることがいっぱいあった。そこで、お茶のお替わりをさせないため、一杯で済むように大きい湯飲みが使われるようになった。
  10. 実際に寿司屋でインタビューしたところ「(お替わりの)ひと手間が省ける」、「小さいとすぐにお茶が冷めてしまう」といった声があった。
  11. お茶がぬるくてガブ飲みされてしまうと、寿司をたくさん食べてもらえないというデメリットもある。放送ではガブ飲みできるぬるいお茶(50℃)と、ガブ飲み困難な熱いお茶(90℃)の2条件で、食べた寿司の数をカウントするという実験が行われた。
    • 検証目的は伝えない。
    • 上掲の写真と同じような小型の湯飲みが使用された。
    • 「ぬるい」条件では寿司を1皿食べるごとにお茶をガブ飲みしており、
    • 「熱い」条件では熱すぎでなかなかお茶を口にできない。
    • 撮影対象となった2人組【いずれも若い男女】では、「ぬるい」が25皿、「熱い」が28皿となり予想通りであった。事後インタビューでは「熱い」条件は「いつも通り食べた」、「ぬるい」条件では「お茶をガブ飲みしたことでいつもより少ない」という回答があった。
    • もっとも、他に4組で検証したところ、「ぬるい」条件の2組は30皿と28皿、「熱い」条件の2組は14皿と21皿で、予想とは逆で「ぬるい」条件のほうがお寿司をたくさん食べていた。
    ということで、お茶の熱さと寿司の摂取量は「人それぞれ」であると結論された。



 ここからは私の感想・考察を述べる。まずCopilotに「高級寿司屋さんでは大きい湯飲みが使われていますが回転寿司屋さんの湯飲みは小さめです。なぜでしょうか?」と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
興味深いポイントですね!湯飲みのサイズの違いには、いくつかの理由が考えられます。
  1. お茶の提供スタイルの違い**
    高級寿司屋では、職人が淹れた熱々の上質な茶をゆっくり楽しむ文化が根付いています。大きめの湯飲みを使うことで、お茶の温かさを長く保ち、食事の間じっくりと味わえます。
    一方、回転寿司屋では、客が自分で急須や給湯器からお茶を注ぐスタイルが多く、短時間で食事を済ませることを前提にしているため、小ぶりな湯飲みが適しています。
  2. 滞在時間への配慮**
    高級寿司屋では、お客さんがゆっくりと食事を楽しむ傾向があるため、頻繁にお茶を注ぎ直す手間を減らし、よりリラックスできるように大きめの湯飲みが使われることがあります。 回転寿司屋では、回転率が重要であり、スムーズな食事の流れを考えると、小さい湯飲みのほうが適していると言えるでしょう。
  3. お店のスペースとコスト**
    回転寿司屋では、お皿が次々と流れるレーン上に置かれたり、テーブルスペースが限られていたりするため、コンパクトな湯飲みが場所の有効活用につながります。また、大きな湯飲みを多数用意するより、小さいもののほうが管理しやすく、コストも抑えられる可能性があります。
こうした理由が組み合わさり、それぞれのお店のスタイルに合った湯飲みが使われているのでしょう。こういった細かな違いにも日本の食文化の奥深さが感じられますね!


 寿司屋の大きな湯飲みと言えば、魚偏の湯飲み(こんな感じ)が思い出される。もっとも寿司ネタとして使われる魚と、湯飲みに記されている魚は必ずしも一致しないようだ。

 ちなみに私自身は対面型の高級寿司屋は殆ど利用したことが無いので、今でもどのような大きさの湯飲みが使われているのかは分からない。対面型の店を利用したのは人生で10回未満ではないかと思われる。理由は、お金がかかりすぎるということが第一だが、食べている様子を監視されているようで落ち着けないというのも大きな理由になっている。なので、仮に私が大金持ちになったとしても、回転寿司に通い続けることになるだろう【もちろん同じ回転寿司屋でも1皿500円平均のような「高級」店に切り替えるかもしれないが】。

 次回に続く。