じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 8月28日の19時半頃から、旭川・中原橋下流のあたりでサプライズ花火が打ち上げられていた。
 8月24日の日記に記したように、今季は、自宅マンションからみて、 というように4方向で花火が打ち上げられたが、いずれも岡山地域の花火大会リストには上がっていない。また開始時刻もマチマチであった。

 今回の方向からの打ち上げは、手前に三野公園・天神社の山があるため、噴火しているように見えてしまう。

2025年08月29日(金)




【小さな話題】ケンボー先生と山田先生〜辞書に人生を捧げた二人の男〜(6)鱈はうまい

 8月27日の続き。8月16日にNHK-BSで再放送された表記の番組のメモと感想。

 放送では続いて、『明国』初版と、1952年に出版された『明国』改訂版(二版)が合計で700万部に及ぶ驚異的な売れ行きを記録し、戦後の一時期には小型国語辞書の市場を独占的する勢いであったと紹介された。
 そんななか、昭和30年代に入ると、編者たちは更なる改訂に向けて、喫茶店の個室で毎週のように研究会を開くようになった。そのメンバーには、見坊豪紀を中心として、山田忠雄のほか、
  • 金田一春彦
  • 柴田武(『三国』と『新明解』の両方の編者)

 研究会ではさまざまな衝突があり、例えば『鱈』の語釈について山田は「『たら』はうまい。美味」と書くことを提案、さらに「私の住んでいる富山県では、たらはうまい」と主張した。三省堂の辞書出版部長や役員をつとめた小林保民さん(当時87歳)は山田の人柄を『直情径行』(自分の主張を間違っていると思わなければあくまで主張する)と評した。
 喫茶店個室で研究会をしているとき、喫茶店店主がブルーフィルムを持ってきた。見坊、柴田、金田一春彦は喜んで見たが、山田だけは挨拶もせずに帰ったという。金田一春彦は、

いやにかたいんだなと思ってましたが、しかし(のちに)新しい『明解国語』でああいう風な「恋愛」を書く人がね

と当時の感想を述べている。
 金田一春彦は見坊豪紀については、

見坊くんって人はね、足踏まれても「私の足の上にあなたの足が置かれております」なんてそんな風な感じ

と評しており、放送では「飄飄」が当てはめられていた【金田一春彦が見坊を「飄飄」としたのかどうかは不明】。

 ここまでのところでいったん私の感想・考察を述べる。
 まず、『鱈』の語釈だが、『新明解』第七版の語釈は、

北日本および北洋でとれる深海魚。うろこが細かく、腹は白くてふくれている。身や卵は食用。また、肝臓から肝油をとる。

となっていて「うまい」とは記されていなかった。もっともすでに取り上げた「白桃=おいしい」のように他にもいろいろな言葉に「おいしい/うまい」が出てくるようだ。ChatGPTに尋ねたところ、『新明解』第七版では、以下のようになっている。
◆「うまい」が出てくるもの
  • ビール 「麦を発酵させて造った飲み物。のどごしがよく、うまい。」
  • すし(鮨・寿司) 「酢で味付けした飯に、魚介類や卵などを組み合わせた食べ物。うまい。」
  • うどん 「小麦粉を練って作った太めのめん類。関西風はだしがうまい。」
  • 天ぷら 「魚介や野菜を小麦粉の衣をつけて油で揚げた料理。揚げたてはうまい。」
  • 刺身 「新鮮な魚介を生のまま切ってわさび醤油などで食べる料理。新鮮だと特にうまい。」
  • 漬物 「野菜を塩やぬかに漬けたもの。ご飯のおかずとしてうまい。」


◆「おいしい」が出てくるもの
  • そば(蕎麦) 「そば粉を練って細長く切っためん。つゆにつけて食べるとおいしい。」
  • カレーライス 「カレーをかけたご飯。子供から大人までおいしく食べられる。」
  • 味噌汁 「みそを溶かした汁に豆腐や野菜を入れたもの。朝食に飲むとおいしい。」

◆特徴的な傾向
  • 「うまい」は 大人向け・通な味覚(酒・すし・刺身・天ぷら) に多い。
  • 「おいしい」は 子供から大人までの定番料理(そば・カレー・味噌汁) に多い。
  • 「新明解らしさ」は、単に客観的な説明ではなく、書き手の主観がにじみ出ているところにあります。



 以上の回答には『白桃』が含まれていなかったので、

「白桃」にも「おいしい」とつけられていますね。まだ他にもあるのでは?

と尋ねたところ以下のような回答をいただいた【要約・改変あり。出典は省略】。

素晴らしい着眼点です!ご指摘のとおり、「白桃」に加えて、さらに多くの食べ物の語釈に「おいしい」「うまい」「美味」「味がよい」といった評価表現が掲載されています。以下、第八版(2020年)をベースに、Webで確認された一覧を整理しました。

◆『新明解国語辞典(第八版)』で味の評価が含まれる食べ物一覧
  • ### 「おいしい」が語釈に含まれる項目(8語)
    • **がんにく(眼肉)**
    • **かんぱち(間八)**
    • **きんとき(金時)**
    • **ばかがい(馬鹿貝)**
    • **はくとう(白桃)**: 果汁が多く、おいしい。
    • **はまぐり(蛤)**: 食べる貝として、最も普通で、おいしい。
    • **はも(鱧)**
    • **ふぐ(河豚・鰒)**
  • ### 「うまい」が語釈に含まれる項目(7語)
      **あこうだい(あこう鯛)**
    • **あまだい(甘鯛)**
    • **いしなぎ(石投)**
    • **えんがわ(縁側)**
    • **かも(鴨)**: 肉はうまい。([note(ノート)][1], [HonZ][4])
    • **しばぐり**
    • **しゃも(軍鶏)**

  • ### 「美味」が語釈に含まれる項目(36語の魚介など)

    例として:赤貝、鮑(あわび)、牡蠣(かき)、桜鯛(さくらだい)、シャモ、ずわいがに、とらふぐ…など多数。

  • ### 「味がよい」が語釈に含まれる項目(3語)
    • **いしだい(石鯛)**
    • **きいちご(木苺)**
    • **たい(鯛)**

  • ## 特に「白桃」に関する語釈の変遷
    「白桃」の語釈には「果汁が多く、おいしい」という記述があり(新版では定着)一方、初期の版(第3版など)ではこの評価表現はなく、単に「水蜜桃」と説明されていたという編集経緯もあります。
  • ## より包括的な一覧(2020年版に基づく総計。出典省略)

    | 評価表現 | 言葉の数 | 例 |
    | ---- | ---- | ---------------------------------------------------- |
    | 美味 | 36 語 | 魚介多数(鮑、桜鯛、ずわい蟹など) |
    | おいしい | 8 語 | 白桃、はまぐり、ふぐなど
    | うまい | 7 語 | 鴨、あこうだい、しゃもなど |
    | 味がよい | 3 語 | 鯛、木苺、石鯛 |

    合計 54 語が「味覚的評価」を含む食べ物として収録されていることが確認されています。