じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 9月7日と9月8日の月の出の方位と時刻の比較。↓の記事参照。

2025年09月9日(火)




【小さな話題】月の出は毎日どのくらい遅くなるか?

 楽天版(9/8)に満月の月の出、深夜の皆既月食、翌日の朝焼けの写真を掲載した。
 9月8日にも月の出の写真を撮ろうと思い国立天文台で月の出の時刻を調べたところ、9月8日の月の出時刻は18時39分となっていて前日7日より28分しか遅くなっていないことが分かった。
 月の出の日々の遅れは確か50分ではなかったか、もし毎日の遅れが30分だったとすると48日経たないと同じ時刻に月の出にならないため1か月の長さが変わってしまう。ということでさっそくChatGPTに質問したところ、以下のような回答をいただいた。

【質問】月の出の時刻はまいにちズレていますが、最長で何分、最短で何分ぐらい遅くなりますか? 北緯:34.6667°の岡山から観察するものとして教えてください。


【回答】 いい質問です ― 結論を先に書きます。
  • 平均値は「約49〜50分」遅くなります(つまり翌日はだいたい50分後に月が出る)。([NASA Science][1], [ウィキペディア][2])
  • しかし日ごとの増分は変動が大きく、\*\*岡山(北緯約34.6667° のような中緯度)で観察すると概ね「最短で約20〜30分程度、最長で約60〜75分程度」\*\*遅くなることがよくあります。ひと月の中でも 20分台〜70分台と振れることが報告されています。


理由(簡単に):
  • 月は地球の周りを東向きに進んでいるので、地球が一回転して同じ方向を見るためには追加で回転する必要があり、その分が平均約49分になります。
  • ただし月の軌道は傾いていて(赤道からの赤緯=「月の緯度」=デクライン)、速度も完全な一定ではありません(離心率や近地点・遠地点の影響)、さらに月の通る経路(天球上での進み方)が季節や18.6年周期の「月の立ち(lunar standstill)」で変わるため、日々の「遅れ」は上下に振れます。これが **最短 ≒ 数十分(20?30分)**、**最長 ≒ 1時間を超える(60〜75分程度)** になる主因です。


補足・実用メモ: 「その日の正確な増分(昨日の月出時刻に対して今日は何分遅いか)」は年・月・日によって変わるので、**正確に知りたい場合は天文暦やオンラインの月出計算(たとえば天文台・almanac・timeanddate等)で岡山の地点・年を指定して確認**するのが確実です。


ということで日ごとの差分の最小・最大を実際に計算してもらったところ、以下のようになった【要約・改変あり】。
2025年の岡山(北緯34.6667°)での月出時刻表(国立天文台ECOのローカルカレンダーから)を日付ごとに読み取り、隣接する日(翌日)との「月出時刻の差(何分遅くなるか)」を計算しました。方法と結果を簡潔にまとめます。
  • 最短(翌日との差が最も小さい):27分(2025年6月19日 → 6月20日。月出 0:05 → 0:32)。
  • 最長(翌日との差が最も大きい):73分(2025年12月6日 → 12月7日。月出 17:59 → 19:12)。
  • (参考)一般的な平均増分はやはり 約49〜50分前後 です(よく知られている値)。
 以上の情報はAIが数式に基づいて計算したものではなく、ローカルカレンダーに表示されている月の出時刻を読み取って長い順に並べ替えて得られたものであった。手作業なら丸一日かかるところを瞬時に調べてくれるところはさすがAI。また計算式を使わず、実際の表から時間の長さを読み取るというけっこう古典的な「人海戦術」ならぬ「何でも収集戦術」で結果を出しているところが興味深い。

 では数式で計算できる最短・最長時間はどうなっているのか? 以下のように質問してみた。

【質問】岡山を観測点とした場合、月の出から月の入りまでの時間は最短と最長でどのくらい変化していますか?

 いただいた回答は以下の通り。但し数式部分は表示できないので省略。


 いい質問です ― 結論を先に書きます。
岡山(北緯 34.6667°)で見る場合、月が地平線上にある時間(=月出から月入まで)はおおむね最短で約 9.05 時間(約 9時間 3分)、最長で約 14.95 時間(約 14時間 57分)ほどになります。 つまり「最短 ≒ 9時間、最長 ≒ 15時間」で、最大で約 6時間近く違うことになります。

【数式省略】

 月の赤緯は地球の赤道傾斜(約 23.44°)に月軌道傾斜(約 5.1°)が重なるため、理論上の最大振幅はおおよそ ±(23.44°+5.14°) ≒ ±28.6°、最小振幅は ±(23.44°-5.14°) ≒ ±18.3° 程度になります。これらの極値を用いて上の式で計算すると、先に示した最短/最長の値が得られます(計算値は小数第2位まで示すと約 9.049 時間 と 14.951 時間)。
 「いつ」どのくらいかは**月の赤緯(季節・朔望・18.6年周期で変化)**に依存します。北に偏った時は長く、南に偏った時は短くなります(北半球の観測点の場合)


 ここで18.6年というような「周期」が出てきたので、次のように質問してみた。

【質問】月の出の日々の遅れの間隔が長くなったり短くなったりする現象には周期性がありますか?

いただいた回答は以下の通り【要約・改変あり】。


はい、あります。 月の出時刻が「平均すると約49?50分ずつ遅れる」のに対して、実際には日によって 20?30分しか遅れない日 もあれば 70分以上遅れる日 もあるのは、偶然ではなく天文学的な周期的要因によります。

◆主な周期性の要因
  1. 月の赤緯変化(1か月周期)
    月は黄道面から最大 ±5° 程度傾いた軌道を通るため、1か月の中で「天の赤道に近いとき」と「大きく北/南に寄るとき」があります。
    赤緯が大きいときは月の通る角度(地平線に対する出没の傾き)が変わるため、月出・月没の時刻差が大きくなったり小さくなったりします。
    このため 日ごとの遅れの増減にはおおむね「朔望月(約27.3日)」に同期した変動が現れます。
  2. 月の近地点・遠地点(27.55日周期)
    月の軌道は楕円で、近地点では速く、遠地点では遅く動きます。
    そのため、赤経方向の進み方も一定でなく、**月出の遅れが「やや短くなる時期」と「やや長くなる時期」**が繰り返されます。
  3. 季節による影響(年周)
    地球の自転軸の傾きにより、黄道面と地平線との関係が季節で変わります。
    これが「月出の遅れ幅」をさらに変動させ、1年周期の揺らぎを生じさせます。
    特に冬至付近の日本では「月が斜めに昇る」ため、1日あたりの月出の遅れが大きくなる傾向があります。
  4. 18.6年周期の「月の最大・最小の立ち」
    月の軌道傾斜面が歳差運動するため、約18.6年で「赤緯の振れ幅」が最大(±28.6°)から最小(±18.3°)へと変化します。
    この周期によっても「月の出遅れの変動の幅(20分台〜70分台)」が長期的に変わります。

◆まとめ
  • 短期的(1か月):朔望月と同じ周期で「遅れが短くなったり長くなったり」を繰り返す。
  • 中期的(27.5日程度):近地点・遠地点による速度変動。
  • 周期:季節による地平線との角度差。
  • 長期的(18.6年周期):月の赤緯の最大・最小変化。


 以上のほか、「lunar standstill」や、潮汐についても質問させていただいた。以下はその抜粋。
lunar standstillとは
  • 月の軌道は黄道に対して約5.1°傾いています。
  • このため、月の赤緯は±18.3°から±28.6°まで変動し、約18.6年周期で「最大振れ幅(major standstill)」と「最小振れ幅(minor standstill)」が訪れます。
  • 簡単に言うと「月が空でどれくらい高く・低く昇るか」の幅が長期的に変わる現象です。
  • 2024年末(12月)から2025年6月にかけて。特に 6月11日の full moon southern extreme が観測的に注目されました。
まとめ
lunar standstillは「大潮・小潮の強さ」には直接関与しない。
ただし、1日の潮汐の非対称性(日潮不等)の度合いを18.6年周期で変動させるため、長期的な潮汐パターン(特に高緯度地域)に確実に影響を与えています。
「lunar standstill」というと地球が静止する日の原題『The Day the Earth Stood Still』からの連想で月が静止するように思ってしまうが、6月11日に特に何かが起こったという記憶は無い。但しこの日は満月であり、翌日の8時42分が赤緯最南となったことから、南の空、最も低く輝く満月になったと推測される。こちらの表を閲覧してみると、
  • 月の出:6月11日19時38分 方位125.3°
  • 南中:6月12日0時19分
  • 南中高度:26.2°
  • 月の入り:6月12日4時59分 方位234.4
となっていた。月が出ていた時間は9時間40分で、上掲の理論的最小値9時間3分には及ばないがかなり短かったことが分かる。