じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 昨日の日記に、

バルコニーが南向きになっているマンションでは、いくら高層であっても、秋分の日前後から春分の日前後までの半年しか、日の出を眺めることができない。

と述べたが、月の出が見えるかどうかはかなり変動し、季節や月齢では一概には予測できない。南向きのバルコニーからは、
  • 月の出の方位が真東(90°)より南にある時は眺めることができる。
  • 月の赤緯が北に偏っている時は、月の出はもちろん、南中時も天頂付近を通るためバルコニーの庇に隠れてしまって見えない。
 左の写真は9月17日の05時32分に撮影した月と木星であるが、この日は月の南中高度が80°もあって、バルコニーから身を乗り出さないと撮影することができなかった【←身の安全を確保した上で撮影しています】。

 ところで、日本では月の南中高度が90°を上回る(=高度は通常 90°が上限なので正確には、「月が天頂の北側を通過する」ことがあるのだろうか。国立天文台の予報を調べたところ、今月の場合、小笠原(父島)では89.5°、那覇では88.6°が最大であり、僅かながら90°には達していないことが分かった。また、小笠原(父島)では8月20日に89.9°という表示がありこれがどうやら2025年の最大値であったようだ。なお、8月に月の赤緯が最北になったのは前日の8月19日0時48分で1日ずれている。ところが19日の南中高度は88.5°で20日より小さい。なぜこうなったのかをChatGPTに尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。

【質問】2025年8月に月の赤緯が最北になったのは8月19日0時48分でした。しかしながら東京都・小笠原(父島)の南中高度は、8月19日が88.5°、8月20日が89.9°で、20日のほうが高くなっています。赤緯が最北になった瞬間に近い19日のほうが南中高度が高くなると思うのですがどうして20日になったのでしょうか?

【回答。一部改変、省略あり】
これはとても良い観測眼ですね。ポイントは **「月の赤緯が最北=南中高度が最大」ではない** ということにあります。
  1. 「赤緯が最大のとき高度も最大」になりそうですが、実際にはそう単純ではありません。理由は **観測時刻(南中時刻)が必ず0時とは限らない** からです。
    • 月の赤緯は一日を通じてほぼ連続的に変化しています。
    • 8月19日0時48分に「赤緯が最北」になったとしても、父島での月の南中時刻はその瞬間から数時間ずれています。
    • 南中する時刻における赤緯が、必ずしも「赤緯最大時刻の値」ではないのです。
  2. 2025年8月の具体状況
    • 2025年8月19日0時48分:赤緯最大(+28.6°付近)。
    • しかし父島での月の南中は昼前(例えば10時台)で、すでに赤緯はわずかに減少し始めています。
      → この日の南中高度は 88.5°。
    • 8月20日の父島での南中時刻には、赤緯はピークからほんの少し下がっただけ(まだ+28.5°台)ですが、
    • → 南中時刻そのものが「赤緯の大きな値」に重なったため、高度は 89.9° まで上がりました。
    • つまり「赤緯最大になる瞬間」と「父島で月が子午線を通過する瞬間」とは数時間のずれがあり、**南中高度はそのずれ込みを反映した結果、翌日のほうが高くなった**というわけです。
    • まとめ
      • 「赤緯最大=南中高度最大」ではない。
      • 南中高度は、その地点の **南中時刻における赤緯** で決まる。
      • 父島では、赤緯最大(8/19 0:48)のとき月はまだ南中していなかったため、その日の南中高度はピークを逃した。
      • 翌日の南中時刻(8/20)は、赤緯がまだほとんど最大値に近い状態で起こったため、高度がより高くなった。
 なお、ChatGPTによれば、
  • 月の最大北赤緯は約 +28.6°。したがって 北緯 28.6 の地点では月が天頂の北側で子午線通過することがある。
  • 沖ノ鳥島(約 20.42°N) ― 起こる
  • 南鳥島(Minamitorishima, 約 24.3°N) ― 起こる
  • 八重山諸島(石垣・西表・与那国 等、約 24°前後)や沖縄本島(那覇 約 26.2°N) ― 起こる可能性あり)


 余談だが、「日本国内で月が天頂の北側を通過する」ことと「月が右から左に動いて見える」ことは別。右とか左というのは観察者本位の方向であり、例えば南半球で北の空にある月が左に動いて見えるのは、単に北のほうを向いて星空を眺めているからに過ぎない。南のほうを向いて、仰向けのポーズで星空を眺めれば右向きに見えるはずだ。日本国内で天頂付近にある月を眺める時も、南の方を向いて月を仰ぎ見れば左から右へ、北の方を向いて仰ぎ見れば右から左へ動いて見えるはずだ。

2025年09月16日(水)




【小さな話題】岡山県が一位と言えば?(4)平均余命一位(2)なぜ岡山は長寿県か?

 昨日の日記の最後のところで、
1983年頃からほぼ上位を続けていた項目として『都道府県別にみた平均余命』というのがある。こちらの平均寿命の比較の表では、岡山県の女性の平均寿命は87.673歳で、長野県の87.675歳に0.002歳だけ及ばず2位になっていた。
 こちらには、さらに新しい2020年のデータがあり、
  • 女性 1位 88.29歳
  • 男性 10位 81.90歳
という話題を取り上げた。岡山県の女性はどうやら40年以上前からずっと上位を保ち続けていたようである。また男性の10位というのも、47都道府県の数から見れば上位25%以内に入っており上位であることは変わりない。これはどのような理由によるものだろうか?

 なおここで1つ、統計データで陥りやすい誤りを指摘しておくが、たとえば「平均寿命のランキングが10年連続」ということが起こったとしてもこれは10個の独立したデータではないことに留意する必要がある。長生きの人が多い県があったとすると、その県に済む高齢者は翌年の調査でも生き続けて平均値上昇に貢献するはずだ。もちろん高齢者の一部はお亡くなりになるが、平均寿命が長い県と短い県で高齢者の死亡率が同程度であったとすれば翌年の調査でもランキングに変動は起こりにくい。
 もう少し分かりやすい例で言えば、都道府県別の成人の身長ランキングというのがあったとする。ある年の調査でトップになった県は翌年の調査でもトップになりやすい。なぜならば、成人の身長は毎年それほど変化しない。他県からの転入や他県への転出が大量に起こらない限りはランキングが変動する可能性は少ない【背の高い若者たちが大量に大都市に移住すれば、残された人たちの平均身長は背の低い高齢者ばかりの平均値になるので減少しランキングが下位になることもありうる】。

 元の話題に戻るが、岡山県女性の平均寿命が一位であるというデータについても、調査初年度の初期値が高くそのまま上位をキープしているのか、それとも最近になった急上昇してきたのかを見極めた上でないと正確な分析にはならないように思う。

 ということで、とりあえずChatGPTに、岡山県が長寿になった要因と考えられるものを挙げてもらった。

とても良い着眼点ですね。
岡山県の平均寿命が全国的に見ても上位に位置するのは事実で、特に2020年調査では**女性が全国1位(88.29歳)**、男性も\*\*全国10位(81.90歳)\*\*でした。なぜ岡山が長寿県になっているのかについて、いくつかの要因が考えられます。

◆## 岡山県が長寿になった要因と考えられるもの
  1. 気候・自然環境の穏やかさ
    • 温暖で降水量が比較的少なく「晴れの国」と呼ばれる環境。
    • 冬の厳しさや夏の極端な高温多湿が他地域より穏やかで、心血管疾患や呼吸器疾患などへのストレスが少ない。
  2. 野菜・果物を中心とした食習慣
    • 桃、ブドウなど果物や、瀬戸内の野菜・魚を含む食材が豊富。
    • 魚介類(特に青魚)、大豆製品、野菜の摂取が多いことが、心血管系や生活習慣病予防につながるとされる。
  3. 医療体制の充実
    • 岡山大学病院を中心に、高度医療を提供できる中核病院があり、西日本での医療拠点の一つ。
    • 人口当たり医師数・病床数が全国平均より多めで、医療アクセスが良い。
    • 脳卒中・心疾患などの急性期医療に強い。
  4. 生活習慣・健康意識
    • 健診受診率が比較的高く、生活習慣病の早期発見・治療につながっている。
    • 喫煙率が低め(特に女性)。
    • 高齢者でも就労や社会参加している人が比較的多く、心身の活動性が保たれている。
  5. 災害リスクの低さ
    • 岡山は「自然災害が比較的少ない県」として知られる(地震・台風・豪雪などの被害が少ない)。
    • 高齢者の生活環境が安定しやすく、寿命にプラスに働いている可能性。

◆## まとめ
岡山県の平均寿命が全国トップクラスになったのは、**「穏やかな気候 × バランスの良い食文化 × 医療体制の充実 × 生活習慣の良さ × 災害リスクの低さ」** という複数の条件が重なった結果と考えられます。

 以上のChatGPTの分析について若干の異論を唱えるとすれば、以下の点が挙げられるかと思う。
  • 冬の厳しさや夏の極端な高温多湿が他地域より穏やかで、心血管疾患や呼吸器疾患などへのストレスが少ない。」とあるが、岡山の冬は結構寒く氷点下になる日も多い。妻の実家のある北九州では屋外で育てられる植物(例えばシコンノボタン、ヒメツルソバ、皇帝ダリア、オオキバナカタバミなど)の地上部分は岡山ではたいがい年内に枯れてしまう)。
    また夏場は猛暑日、熱帯夜が多いほか、平均気温が30℃以上の日も全国屈指の多さとなっている。つまり夏場は夜中になるまで30℃以上が続く。私個人の経験から言えば「岡山の猛暑に耐えられる人は、世界各地のたいがいの暑さには耐えられる
  • 桃、ブドウなど果物が豊富」とあるが、いずれも高級品であり、私のような年金生活者にはなかなか手に入らない。
  • 岡山大学病院を中心に、高度医療を提供できる中核病院がある。」というが、高度医療の対象者はごく一部の人たちであり、平均寿命を延ばす要因にはなりにくいように思う。たいがいは標準治療のみ。

 なお「災害リスクの低さ」については次回に考察する予定。

 次回に続く。