じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 夏はバルコニー、冬は室内の窓際で数年以上にわたり育てているコチョウランが4鉢あるが、最近、そのうちの1鉢が今年3回目の花をつけた。この株は、6月頃に1回目の花芽を出したが私の不注意で運搬中に折ってしまった。その後7月下旬には写真右のようにたくさんの花が1か月近く咲いており、いったん散ったあと、9月下旬になって3度目の花芽が出てきた。今回は数輪程度にとどまると思われるが、年に3回も開花するとはスゴい。

2025年09月25日(木)



【小さな話題】戦略的悲観主義(1)Julie K. Noremの『The Positive Power of Negative Thinking』

 私はもともと物事を悲観的に捉える傾向がある。悲観的な観点から最悪の事態を想定しそれに備えた周到な準備を行い、それなりに覚悟をしておけば、
  • 結果的に最悪の事態に至らなかったとすればメデタシメデタシ。
  • 想定通りになったとしてもジタバタしない。
これに対して物事を楽観的に捉えることは、気楽でストレスの少ない人生を送れるように見えるが、何も準備してこなかったため、最悪の事態に陥った時にはうろたえてしまい、絶望に打ちひしがれるか、ひたすら神に祈りを捧げて奇蹟を願うことになる。
 心理学の研究によれば、いっぱんに楽観性は適応的、悲観性は不適応的と考えられることが多いが、その一方で,悲観的思考にも適応的な機能が存在することが,対処的悲観性(Defensive Pessimism)の研究から示されているという【例えば、こちらの文献参照。リンク先では「Strategic Pessimism」は、「戦略的悲観主義」ではなく「方略的悲観主義」と訳されている】。

 定年退職と同時にすべての学会を退会したこともあって、2018年以降の最新の研究の動向は把握できていないが、最近、YouTube動画やChatGPTとの対話を通じて、悲観主義について新たな知見を得ることができた。ちなみに一口に「悲観主義」と言っても、少なくとも
  • 長年の経験を通じて凝り固まった悲観主義
  • 物事を楽観的にも悲観的にも捉えることができるが、あえて戦略として悲観主義を選ぶ場合
という2通りがある。ここで考察するのは後者の「戦略的悲観主義」である。

 上掲の文献にも言及されているように、この考え方はJulie Noremらによって提唱された。以下、ChatGPTに概要を説明してもらった。



「戦略的悲観主義(strategic pessimism)」は心理学で実際に研究されている考え方で、特にアメリカの心理学者 **Julie Norem(ジュリー・ノーレム)** らが提唱した概念です。

◆## 戦略的悲観主義とは
  • **あえて最悪の事態を想定して備えることで、不安を和らげ、現実的な行動につなげる認知戦略**。
  • 「どうせ失敗するに違いない」と単に落ち込む悲観主義とは違い、むしろ **パフォーマンスを高めるための工夫**として働きます。


◆## 特徴
  1. **最悪の事態をシミュレーションする**
    * 例:「試験で失敗したらどうしよう」「プレゼンで質問に答えられなかったらどうしよう」などを徹底的に想像する。
  2. **準備・対策を徹底する**
    * 想定した最悪の状況に備えて、必要以上に勉強する、答えを用意する、練習を重ねる、といった行動をとる。
  3. **安心感を得る**
    * 「最悪のケースも対処できる」と感じられることで、むしろ心が落ち着く。

◆## 楽観主義との違い
  • **楽観主義者**:良い結果をイメージし、それを励みに行動する。
  • **戦略的悲観主義者**:悪い結果をイメージし、それを回避するために準備する。

どちらも「モチベーションを高め、結果を良くする」ための戦略ですが、アプローチが異なります。

◆## がん患者との関連で言うと
「最悪の事態を想定して覚悟しておけば、何が起きても耐えられる」という考えは、まさにこの **戦略的悲観主義**に近い発想です。
つまり、単なる悲観ではなく、**悲観をうまく使って前向きな備えにつなげる**姿勢ですね。



さらに、ChatGPTにお願いして、Julie K. Norem(ジュリー・K・ノーレム)の研究と著書『The Positive Power of Negative Thinking』について整理してもらった。


Julie K. Norem(ジュリー・K・ノーレム)の研究と著書 *The Positive Power of Negative Thinking* について整理しますね。

◆## 著書の概要
  • **タイトル**:*The Positive Power of Negative Thinking: Using Defensive Pessimism to Harness Anxiety and Perform at Your Peak*
  • **著者**:Julie K. Norem(米国ウェルズリー大学心理学教授)
  • **出版年**:2001年

この本でノーレムは「防衛的悲観主義(defensive pessimism)」=「戦略的悲観主義」の考え方を一般読者向けにわかりやすく紹介しています。

◆## Defensive Pessimism(防衛的/戦略的悲観主義)の定義
  • 未来の出来事に対して **「最悪の事態を想定」** する。
  • その想定を使って **準備や対策を徹底** することで、不安をエネルギーに変える。
  • ただの悲観とは異なり、**パフォーマンスを高める戦略** として機能する。


◆## 研究からわかっていること
  1. **高不安の人に有効**
    * 強い不安を抱える人が「戦略的悲観主義」を用いると、不安を抑え込むよりも成績や仕事のパフォーマンスが高まる。
  2. **「期待しないことで安心」**
    * 失敗を想定しておくことで、「実際は思ったより悪くなかった」と感じやすくなる。
  3. **楽観主義者とのパフォーマンス比較**
    * 予想外に差は出ない。むしろ、**楽観主義者は「うまくいくだろう」と信じて頑張り、悲観主義者は「失敗するかも」と想定して頑張る**、という違う道筋で同じ成果に到達する。


◆## 本の中の主張のポイント
  • **「ネガティブ思考=悪」ではない**。
  • 大事なのは「どう使うか」。
  • 悲観的な人は、無理にポジティブになろうとせず、「悲観をうまく利用して備える」ほうが健全。
  • ネガティブな想定は「心配性の人の武器」になり得る。


◆## がん患者や病と向き合う場合への応用
  • 「再発するかも」「副作用がつらいかも」と想定して備える → 事前に対策や心の準備ができる。
  • 結果として、「思ったより耐えられる」「準備したから落ち着いている」という安心感につながる。




 AIによる紹介にはたまに間違いがあるので注意が必要だが、わずか数分で洋書1冊の概要が丸ごと読めてしまうというのは私のような老い先短い隠居人にはありがたいことだ。

 次回に続く。