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じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 毎年この時期に高齢者ケア関連の講義(オンライン)を担当させていただいている。その教材として音声付きのパワーポイントファイルを作成した。その際に手こずったのが、それぞれのページ(スライド)に解説音声を挿入する作業であった。YahooのAIアシストによれば、主な方法は以下の3通り。
  1. プレゼンテーション編集中に録音する
    1. PowerPointを開き、音声を挿入したいスライドを選択します。
    2. 上部タブの「挿入」から「オーディオ」を選択し、「オーディオの録音」をクリックします。 <
    3. 「サウンドの録音」ウィンドウで、録音データの名前を入力し、録音ボタン(赤い丸アイコン)をクリックして録音を開始します。【青色の枠内】
    4. 録音終了後、「OK」ボタンをクリックすると、スライド上にスピーカーアイコンが表示されます。【緑色の円内】
  2. スライドショーでナレーションを録音する
    1. マイクをPCに接続し、PowerPointでプレゼンテーションファイルを開きます。
    2. 「スライドショー」タブから「スライドショーの記録」を選択し、「先頭から記録」または「現在のスライドから記録」をクリックします。
    3. 「スライドショーとアニメーションのタイミング」と「ナレーション、インク、レーザーポインター」にチェックが入っていることを確認し、「記録の開始」をクリックします。
    4. スライドを進めながらナレーションを録音し、最後のスライドまで進むと自動的に録音が終了します。各スライドの右下にスピーカーアイコンが表示されます。
  3. PCに保存されている音声ファイルを挿入する
    1. PowerPointを開き、音声を挿入したいスライドを選択します。
    2. 上部タブの「挿入」から「オーディオ」を選択し、「このコンピューター上のオーディオ」をクリックします。
    3. 挿入したい音声ファイルを選択し、「挿入」をクリックすると、スライド上にスピーカーアイコンが表示されます。
私は従来より上記1.の方法で録音してきたが、せっかく心を込めて喋っても1.4.の段階でスピーカーアイコンが表示されず録音に失敗するトラブルが多発した。なかには10回以上繰り返しても録音できないスライドがあり、サウンドレコーダーで音声ファイルを作成し、上掲3.の方法でどうにか挿入することができた。

 この現象はコロナ禍でのオンライン授業の教材作りの際にも生じることがあったが、今回はほど多くは無かった。原因は不明。

2025年10月11日(土)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「痛い」という電気信号の伝達と金属線を流れる電流の違い

 10月10日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は『今夜は生放送! 生だけにいろんなことに生チャレンジするけどうまくいくかとっても心配 決戦は金曜日スペシャル』と題して生放送で行われた。取り上げられた話題は以下の通り。
  1. 「痛い!」ってとき体の中ではなにが起きている?
  2. なぜ早口ことばを言うようになった?
  3. 時計の針が右回りなのはなぜ?
本日はこのうちの1.について考察する。

 放送では、「痛い!」と感じる仕組みは「電気信号&化学物質のリレー」が正解であると説明された。痛みを感じる仕組みに詳しい神田浩里さん(兵庫医科大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 電気信号&化学物質のリレーをしているのが神経細胞。
  2. 体の隅々まで張り巡らされている神経細胞は『中枢神経』と『末梢神経』に大きく分けられる。
  3. 中枢神経は脳と脊髄。末梢神経はそれ以外の全身にある。
  4. 例えば手が何かにぶつかって刺激を受けると、末梢神経(脳・脊髄以外)が外からの刺激の情報を中枢神経(脳・脊髄)に送る。
  5. すると、中枢神経がその情報を分析して「痛い!」と判断する。このときに初めて「痛い!」と感じる。
  6. 個人差はあるが、刺激を受けて「痛い!」と感じるまで約0.3秒以内。脳に近ければもっと早い。
  7. 中枢神経や末梢神経のもとになっているのが神経細胞。長いヒモのような形をしていて全身の皮膚の内側から脊髄まで伸びているものと、脊髄から脳まで伸びているものとがある。
  8. 脳には1㎜程度のものもあり、全身の神経細胞はおよそ1000億個が複雑に張り巡らされている。
  9. 神経細胞は「刺激を受けた」という情報を伝えるが、ミクロの世界まで見ると、電気信号と化学物質のリレーが行われている。
  10. 例えば小指をぶつけた場合、小指にある神経細胞の軸索が「刺激があった」という情報を受け取る。
    • 軸索は通常は内側がマイナス、外側がプラスの電位になっているが、刺激が入るとその部分のプラスマイナスが入れ替わる。この時に電気信号が生まれる。
    • 隣り同士のプラスマイナスでは、電気はプラスからマイナスに流れるため、この性質を利用して電気信号は神経細胞の中を伝わっていく。
  11. 神経細胞の間には僅かに隙間がある。電気信号が細胞の端に達すると化学物質の受け渡しが行われる。
    • 神経細胞の端はシナプスと呼ばれ、そこには化学物質の入った袋のようなものがある。
    • 電気信号がシナプスに到達するとシナプスにある門が開き、その周辺にあるカルシウムイオンCa2+がシナプスの中に入る。
    • するとカルシウムイオンに袋が反応して動き出し、化学物質を放出。
    • 化学物質の中身は神経の種類によって異なるが、刺激を伝える末梢神経では主にグルタミン酸が放出される。
  12. 脳に届いた情報は脳の様々な部分に伝わり情報処理が行われる。大脳皮質・体性感覚野に情報が伝わると小指の刺激を認識し「痛い」と感じる。
  13. 電気信号が伝達される途中で化学物質に置き換えるポイントがあるのは、化学物質から再び電気信号に変わる時に少しだけ情報を書き換える役割があるから。これによりぶつけた直後より少し後のほうが痛みが弱まる。つまり自分を守るための情報の書き換えが行われる。
  14. ぶつけた時に「痛い!」と声を出したりさすったりするのは、体性感覚野の隣にある運動野にも情報が伝わり、口や手を動かすように指令が出されるから。これらも痛みの軽減になる。

 以上の解説の後、神経細胞のリレーのプロセスがスタジオに設置した巨大ドミノセットで再現された。
 ここからは私の感想・考察を述べる。神経伝達の仕組みはたぶん高校の授業で習った内容であり、別段意外性は無かった。このような地味な話題が取り上げられたのは、単に、この回が生放送であったため、巨大ドミノ倒しを実演する目的で採用されたのではないかと思われた。
 巨大ドミノ倒しのゴールでは岡本さんの頭上から金タライが落下し岡本さんが「痛い!」と叫んだことで「痛みが脳に伝わった」ことで成功とされた。岡本さんは首にコルセットを付けていたものの頭頂部は無防備。理論上は安全の範囲かもしれないが、物理的な刺激を加えることは打ち所が悪ければ脊髄を痛める恐れがあり、かなり危険ではなかったかと思われた。

 解説の中で1点、「電気はプラスからマイナスに流れるため、この性質を利用して電気信号は神経細胞の中を伝わっていく。」とあったことについては、小学生の頃から疑問に思っていたことがあった。それは、電子の流れと電流の流れが逆になることだ。これを機会にChatGPTに以下のような質問をしてみた。

電流はプラスからマイナスに流れる性質があるそうですが、電子はマイナスからプラスに流れると聞いています。なぜ逆になるのでしょうか?

いただいた回答は以下の通り。


とても良い質問です。
これは「**電流の定義**」と「**電子の実際の動き**」が違う方向に定められているために起こる現象です。順を追って説明します。
  1. そもそも「電流」とは
    電流とは、
    > 「電荷が流れる向き」

    のことです。
    正の電荷(+)が動く向きを電流の向きとして **定義** しています。
  2. ところが、金属の中で実際に動いているのは「電子」
    金属などの導体の中で電気を運ぶのは、**電子(−の電荷)** です。
    電子は負の電荷をもつため、電圧をかけると **マイナス極からプラス極へ** と移動します。
  3. 電流の向きが「逆」になる理由
    もし「正の電荷が右へ動く」としたら、それは「負の電荷が左へ動く」ことと **同じ効果** を持ちます。
    つまり、電子が左から右に流れるとき、「正の電荷が右から左へ動いている」と考えるのと同じ電流が生じます。

    そのため、
    • 電流:+の電荷が流れる方向(定義上) → **プラス → マイナス**
    • 電子:実際に動く粒子(−電荷) → **マイナス → プラス**
    となり、**方向が逆になる**のです。
  4. 歴史的な事情(なぜこうなった?)
    実は、この「逆向き問題」は歴史的な偶然です。
    18世紀に電気が研究され始めた頃は、まだ「電子」が発見されていませんでした。
    そのため当時の科学者(特にベンジャミン・フランクリン)が、

    > 電気は「正の電気」が流れている

    と**仮定して定義**してしまったのです。
    その後、電子が発見されて「実は逆だった!」とわかったのですが、すでに回路理論や電気工学がすべて「電流=正電荷の流れ」で統一されていたため、そのまま現在まで使われ続けています。
  5. ### 🔹まとめ

    | 項目 | 向き | 理由 |
    | --------- | ------------------- | ------------------ |
    | **電流の向き** | + → − | 正電荷が流れる向きとして定義された |
    | **電子の流れ** | − → + | 電子は負の電荷なので、反対方向に動く |
    | **なぜ逆?** | 歴史的な定義(フランクリン時代の名残) | |



 以上の回答でほぼ納得できたが、上掲の電気信号の伝達では、定義上の問題としては片づけられないように思う。なぜなら電気信号は明らかに小指から脳へと伝えられているのであって、ぶつかった時の当初の痛みは、脳から小指に伝わるわけではないからだ。ということでChatGPTに、

足の小指が何かにぶつかったとき、痛みを伝える電気信号が神経細胞を通って脳に伝えられます。そのさい軸索はプラスマイナスが入れ替わり電気信号が生まれるとされており、隣り同士のプラスマイナスでは、【電気はプラスからマイナスに流れるため】、この性質を利用して電気信号は神経細胞の中を伝わっていくと聞いています。しかし【電気はプラスからマイナスに流れるため】というのが電流の定義上の向きであるとすると、実際には電気信号は脳から小指の方向に伝わっているということにはなりませんか?

と質問したところ、以下のような回答をいただいた。




非常に鋭いご質問です。
ここでの混乱の原因は、「**電気信号**」という言葉が、
①電流の向き(電荷の移動の向き)と、
②神経における**情報の伝達方向(インパルスの伝播方向)**
を混同しやすいことにあります。順を追って整理してみましょう。
  1. 神経の電気信号とは「活動電位(アクションポテンシャル)」
    足の小指をぶつけたときに起こる「電気信号」は、金属線を流れるような**電子の流れ**ではありません。
    神経細胞(ニューロン)の**膜の内外での電位の変化**(プラスマイナスの入れ替わり)が **波のように伝わる現象**です。
    これが「活動電位」と呼ばれるものです。
  2. 神経細胞の軸索で起きていること
    ふつう、神経細胞の膜は:

    * 内側がマイナス(約 −70mV)
    * 外側がプラス

    になっています(静止膜電位)。
    刺激が加わると、局所的にナトリウムイオン(Na⁺)が細胞内に流れ込み、その部分の**内外のプラスマイナスが逆転**します(脱分極)。
    すると隣の部分にも影響が伝わり、そこも次々とプラスマイナスが入れ替わる──
    この**波が伝わっていくこと**が「電気信号が伝わる」という現象です。
  3. 「電流の向き」と「情報の向き」は一致しない
    ここがポイントです。
    神経の中でも、局所的にはイオンが動いて電流が生じます。
    しかし、その「電流」は正負のイオンがあちこちに動く**局所的な微電流**であって、金属線を流れるように一方向に電子が走るわけではありません。

    つまり:

    | 観点 | 方向 | 内容 |
    | ------------------ | -------------- | ---------------------- |
    | **情報の向き(信号の伝播方向)** | 小指 → 脳 | 活動電位(膜の電位変化)の伝播方向 |
    | **局所的な電流の向き** | 部位ごとに異なる(往復する) | Na⁺が入ったりK⁺が出たりして電流が生じる |

    したがって、「電気はプラスからマイナスに流れるから、信号は逆向きに伝わるはず」という推論は、

    **金属線での電子の流れ**のイメージを神経に当てはめたことによる誤解です。
    神経の「電気信号」は**電子の流れではなく、電位の波の伝播**なのです。
  4. イメージで言うと…
    海岸に並んだドミノを思い出してください。

    * 一つのドミノが倒れると、その隣も倒れ、次々と波のように伝わります。
    * でも、実際に「ドミノの板そのもの」が端から端まで移動しているわけではありません。

    神経の電気信号もそれと同じで、

    * **波(電位変化)は一方向に伝わる(小指 → 脳)**
    * **局所的なイオンの動きは前後で起こる(プラス・マイナスが行ったり来たり)**

    という関係です。
  5. ## 🔍 まとめ

    | 項目 | 内容 |
    | --------- | -------------------------------- |
    | 電流の定義 | 正電荷が流れる向き(プラス → マイナス) |
    | 神経信号の実体 | 膜電位の波(イオンの出入りによる電位変化) |
    | 情報の伝わる向き | 小指 → 脳(感覚神経の場合) |
    | 電流の向きとの関係 | 局所的には正負両方向の微電流が生じるが、情報の方向とは一致しない |

    要するに:

    > 神経を伝わる「電気信号」は、電流の一方向的な流れではなく、**プラスマイナスが入れ替わる波の伝播**であり、その波の進む方向が「信号の方向(小指→脳)」です。




 なるほど、「電気信号」というのは金属線での電流の流れとは別物だったのか? さすがAIだ。放送でドミノ倒しが使われた背景もよく理解できた。

 次回に続く。