じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【連載】チコちゃんに叱られる! 人はなぜスポーツを見る?/競馬に熱中するのはミラーニューロンシステムにより脳内で馬のように走るためか? 昨日に続いて、12月19日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察【岡山では19日は別番組。20日朝のみ放送】。本日は、
放送では、人がスポーツを見るのは「自分も脳の中で一緒にプレーするから」が正解であると説明された。脳科学の研究を重ねてきた田中昌司さん(上智大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
ここまでのところでは、スポーツを見ている時の脳内の反応が解説されたが、これだけでは「なぜスポーツを見てしまうのか?」の答えにはなっていない。要するに、「スポーツ」という事象がなぜ観戦行動を強化するのかを説明しなければならない。この点について田中昌司さんは、 ●ミラーニューロンが働くと脳の報酬系が活動する。スポーツを見てミラーニューロンシステムの働きで脳内でプレーすればするほど、報酬系がもたらす喜びも大きくなり、またそれを味わいたくてスポーツを見てしまう。ミラーニューロンシステムは「見ることを体験することへと変換する装置」とも言える。私たちはその働きによって体験を共有し世界をより広く豊かに感じ取ることができる。 と解説された。 放送ではさらに、「スポーツ観戦している人たちは脳内でスポーツをした気になっているのか?」という検証実験が行われた。
ここからは私の感想・考察を述べる。 まずミラーニューロンシステムが、子どもの言語習得、運動スキルの習得などで重要な役割を果たしていることは確かであり、スポーツ観戦の際にも脳内でプレーをしている可能性があることには異論はない。しかし、スポーツの中には真似をしにくい種目もある。またスポーツ以外にもいろいろな対戦や競争場面がある。今回の「ミラーニューロンシステムの働きにより脳内でプレーをしている」説では、選手等の真似ができない競技はあまり観戦されないと予想されるはずだが、実際はどうだろうか? 例えば、
さらに馬券を買わずに競馬中継に熱中する人は、脳内では自分が馬になった気持ちになって一緒に走ろうとしているのか? という疑問もある。 ということで、他者が何かに一生懸命に取り組んでいる姿を見て共感するということは必ずしも「ミラーニューロンシステムの働きにより脳内でプレーをしている」では説明できない。より統一された共感の理論で説明できるのであれば、わざわざスポーツ観戦だけを切り離して別の理論で説明する意義はないように思う。 あと、番組で紹介されたテストステロンの実験だが、『ミラーニューロンシステム』説であるなら、勝敗にかかわらずファンたちは「選手と一緒にプレーをした」気分になることで試合後の数値が上昇するはずだ。そうではなかったということは、単に試合の勝ち負けという結果が数値に影響を与えただけであって、ミラーニューロンシステムが働いた証拠にはなっていないように思えた。 次回に続く。 |