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じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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【2025年10月】オーストラリア南西部・フラワーハンティング(12)「ウェーブロック」+「塩湖での浮遊体験」がオススメ
 『ウェーブロック・ホテル』宿泊の翌日、このホテルの女性オーナーのご厚意により、彼女が所有している広大な土地の中にある塩湖プールと花園 を案内してもらった。
 写真はその1つ、塩湖をプールとして整備したものであり新たな保養施設を造る計画もあるという。
 ウェーブロック自体はパースから片道340kmもかけて訪れるべき観光地かどうか疑問だが、こうした塩湖プールで浮遊体験をしたり、タラソテラピー的な温浴施設を整備すれば観光産業として発展する可能性があるように思う。

2025年12月26日(金)



【連載】チコちゃんに叱られる! 人はなぜスポーツを見る?/競馬に熱中するのはミラーニューロンシステムにより脳内で馬のように走るためか?

 
 昨日に続いて、12月19日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察【岡山では19日は別番組。20日朝のみ放送】。本日は、
  1. サンタさんのトナカイが赤鼻なのはなぜ?
  2. 人はなぜスポーツを見る?
  3. 霧吹きで霧が出てくるのはなぜ?
という3つの話題のうち2.について考察する。

 放送では、人がスポーツを見るのは「自分も脳の中で一緒にプレーするから」が正解であると説明された。脳科学の研究を重ねてきた田中昌司さん(上智大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 人がスポーツを見て熱狂できるのは脳の中で一緒にプレーしている状態になっているから。
  2. スポーツ観戦している時、脳内では『ミラーニューロン』という神経細胞がまるで自分が一緒にプレーをしているかのように反応している。
  3. ミラーニューロンとは他者の行動を自分がしているように脳内で反応する神経細胞のこと。
  4. ミラーニューロンが働くとき、脳では運動系(側頭葉後部→頭頂葉下部→前頭葉の運動前野)という体の動きを制御する3つの部位が活動している。この3つの部位が連携することで、見たものを脳で再現することができる。これをミラーニューロンシステムという。
  5. ミラーニューロンシステムは日常生活のいろいろな場面で働いている。
    • 会話中に笑顔になると相手も笑顔になる。
    • あくびがつられる。
    これらはすべてミラーニューロンシステムの働き。
  6. 表情を真似ることはより円滑なコミュニケーションを行うことに役立っている。
  7. 赤ちゃんが大人の真似ができるのもミラーニューロンシステムのおかげ。
  8. 私たちがスポーツを見ている時、ミラーニューロンによって脳内で選手の動きを真似している。
  9. ホームランの映像を見た時は自分自身がホームランを打った感覚になって興奮してしまう。
  10. 【番組スタッフからの質問】「笑顔を見た時に笑顔になる」というように同じ動作が起こるのであれば、スポーツを見た時にも選手と同じように体が動いてしまうのではないか? →ミラーニューロンの働きは脳内でのプレーでリハーサルのようなものなのであまり動かない。動くのを我慢させるようなブレーキをかけるシステムもある。
  11. デッドボールなどの痛そうな場面で顔がゆがむのは、脳にブレーキをかけるほどでもない動きだから。
  12. 自分が経験したことのあるスポーツや応援している選手の動きにはミラーニューロンが強く反応する。


 ここまでのところでは、スポーツを見ている時の脳内の反応が解説されたが、これだけでは「なぜスポーツを見てしまうのか?」の答えにはなっていない。要するに、「スポーツ」という事象がなぜ観戦行動を強化するのかを説明しなければならない。この点について田中昌司さんは、

ミラーニューロンが働くと脳の報酬系が活動する。スポーツを見てミラーニューロンシステムの働きで脳内でプレーすればするほど、報酬系がもたらす喜びも大きくなり、またそれを味わいたくてスポーツを見てしまう。ミラーニューロンシステムは「見ることを体験することへと変換する装置」とも言える。私たちはその働きによって体験を共有し世界をより広く豊かに感じ取ることができる。

と解説された。

 放送ではさらに、「スポーツ観戦している人たちは脳内でスポーツをした気になっているのか?」という検証実験が行われた。
  • プロバスケットボールの2チームそれぞれを会場で応援している3名×2=6名が参加。
  • 試合前と試合後のテストステロン値を計測。
  • 勝利したチームのファンは脳内で一緒にプレーをしていたため試合後のテストステロン値が高くなると予測。
  • その結果
    • 勝利チームのファン3名のテストステロン値は、+3.12、+23.95、+7.88というように3名とも上昇した。
    • いっぽう敗北チームのファン3名のテストステロン値は、-12.3、-46.51、-8.25というように3名とも減少した。
というようになった。選手と同じ気持ちになっているのではないかと解釈された。


 ここからは私の感想・考察を述べる。

 まずミラーニューロンシステムが、子どもの言語習得、運動スキルの習得などで重要な役割を果たしていることは確かであり、スポーツ観戦の際にも脳内でプレーをしている可能性があることには異論はない。しかし、スポーツの中には真似をしにくい種目もある。またスポーツ以外にもいろいろな対戦や競争場面がある。今回の「ミラーニューロンシステムの働きにより脳内でプレーをしている」説では、選手等の真似ができない競技はあまり観戦されないと予想されるはずだが、実際はどうだろうか? 例えば、
  1. スキーのジャンプの観戦:殆どの観戦者はジャンプの経験が無い。
  2. スケート(スピードスケート、フィギュアスケート)の観戦者は必ずしもスケートができるわけではない。
  3. 各種ラジオ中継では、選手等の細かい動きは見られない。
  4. 将棋や囲碁の観戦者は必ずしもそれらの上達者だけではない。

 さらに馬券を買わずに競馬中継に熱中する人は、脳内では自分が馬になった気持ちになって一緒に走ろうとしているのか? という疑問もある。
 ということで、他者が何かに一生懸命に取り組んでいる姿を見て共感するということは必ずしも「ミラーニューロンシステムの働きにより脳内でプレーをしている」では説明できない。より統一された共感の理論で説明できるのであれば、わざわざスポーツ観戦だけを切り離して別の理論で説明する意義はないように思う。

 あと、番組で紹介されたテストステロンの実験だが、『ミラーニューロンシステム』説であるなら、勝敗にかかわらずファンたちは「選手と一緒にプレーをした」気分になることで試合後の数値が上昇するはずだ。そうではなかったということは、単に試合の勝ち負けという結果が数値に影響を与えただけであって、ミラーニューロンシステムが働いた証拠にはなっていないように思えた。

 次回に続く。