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じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 【2025年10月】オーストラリア南西部・フラワーハンティング(32)グラスツリーの花茎

 カリー・バレー・リゾートから次の宿泊地マーガレットリバーに向かう途中、グラスツリーが何本も花茎を出している光景があった【写真左、写真中】。

グラスツリーの概要は以下の通り。

英名 Grasstree / Balga / Blackboy
学名 Xanthorrhoea preissii
和名はススキノキ。
  • 多年生植物で、平均寿命は600年。
  • 黒い木の幹の部分の成長は非常に遅く、1年でたったの1-2cm、50年で約30cm成長。
  • ある程度成長すると槍のようなが幹の上部中心から生え、数年に1回、細かな数千の花を咲かせる・山火事に耐えて生き続ける植物の一種。

 なお写真右は2025年5月にスペイン・カナリア諸島で見かけたエキウムの花茎。形は似ているが葉っぱや生育のサイクルは全く異なる。

2026年2月20日(金)




【連載】3か月でマスターする古代文明(18)ヒッタイトの「鉄の帝国」神話(5)現代社会と考古学

 昨日に続いて、

●2025年10月15日初回放送 (3)ヒッタイト “鉄の帝国”のヒミツ

の話題。

 今回の放送では、政治や現代社会と考古学の関係についていくつかの興味深いコメントがあった。

 まず、ヒッタイトが『鉄の帝国』であると特徴づけられた時代背景について。放送によれば、ヒッタイトを含めた西アジア・オリエント地域の発掘はヨーロッパ人によって行われた。キリスト教の影響を受けたヨーロッパ人にとってオリエントは西洋文明の起源地であり、自分たちの国家や文明や源流を求めて研究にのめり込んだ。特にヒッタイト語はドイツ語に近い言語であり、ドイツ人の中には自分たちの祖先にあたる人たちの一派ではないかと考える人もいた。当時は帝国主義の時代であり、優れた民族や優れた文明が周りの弱い文明を従えるのが当然であるという風潮があった。この考えがヒッタイトにも投影され、ヒッタイトが強い武器、新しい技術をもって周りの国々を従えていったと解釈された可能性があるという【改変あり】。但し、現在のドイツは多文化主義に変化しており、「ヒッタイトは、武力で周りの国々を従えていったというような帝国主義ではなかった」と考えるドイツ人研究者も多いという。

 第二次大戦後のヨーロッパと異なり、戦後の日本では「ヒッタイト=鉄の帝国」というイメージは残り続けた。その原因についてゲスト解説者の津本英利さん(古代オリエント博物館)は次のように説明しておられた【改変あり】。
  • 日本は戦後のある時期、鉄の生産が世界一になったこともあり、新しい技術を開発して国を強くしたという考えが受け入れられやすかった。
  • 教科書の影響で増幅された。
 スタジオ解説者の関雄二はこのことについて以下のようにコメントされた【改変あり】。
  1. 「考古学研究が研究者が生きている時代を反映する」ということはちょっと怖い気もする。
  2. 一方において考古学は現代の「私たちの立場」を知ることもできる。ここに実は考古学と文明研究の面白さがある。





 放送でもう1つ興味深かったのは、多民族・多言語という特徴が20世紀後半のアメリカに似ているという指摘であった。アメリカでは黒人の人権運動やヒスパニックの増加といった諸問題を何とかしてまとめあげていこうという大変さはよく似ている。
 ヒッタイトが消滅した原因とされている異常気象や社会の分断はまさに今の我々と同じ問題であった。ヒッタイトの崩壊が社会の分断から来たというのは、現代社会を考える上でも重要。とはいえ単純なアナロジーも危険。ということでChatGPTに、
【質問】ヒッタイトが消滅した原因として異常気象と社会の分断を挙げる説が有力だと聞きました。この考えは現代社会にどう関連する可能性がありますか?

と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。




ヒッタイト帝国(特に**ヒッタイト帝国**)の崩壊(前12世紀頃)は、いわゆる「後期青銅器時代の崩壊」の一環として理解されています。近年は、

* **長期的干ばつ(気候変動)**
* **交易網の寸断**
* **内乱・王位継承争いなどの社会分断**
* **周辺勢力(いわゆる“海の民”)の侵入**

が複合的に作用したとする「複合危機モデル」が有力です。
  1. ヒッタイト崩壊モデルの構造

    ヒッタイトは、首都**ハットゥシャ**を中心とする広域帝国でしたが、

    * 中央集権的行政
    * 広範な穀物供給ネットワーク
    * 外交同盟(例:エジプトとの和平条約)

    に強く依存していました。

    近年の古気候研究では、前1200年前後に**数十年規模の深刻な干ばつ**があった可能性が示唆されています。農業生産が落ちれば、

    > 食糧不足 → 反乱 → 統治能力低下 → 外敵侵入

    という悪循環が起きやすくなります。

    ここで重要なのは、「気候変動それ自体」よりも、

    > **環境ストレスが社会の結束を弱め、既存の政治構造を崩壊させた**

    という点です。

  2. # 現代社会との関連可能性

    ヒッタイト崩壊は「過去の話」ではなく、現代社会に対して複数の示唆を与えます。
    • ## ① 気候変動は“直接の破壊者”ではない

      現代の地球温暖化も、単に気温が上がること自体よりも、

      * 水資源の不均衡
      * 食料価格の高騰
      * 難民の増加
      * 国家間緊張

      を通じて**政治的不安定を誘発するリスク**が問題です。

      例えば、

      * シリア内戦前の干ばつ
      * サヘル地域の砂漠化

      は、環境ストレスと社会不安の連動事例として議論されています。

    • ## ② 高度に相互依存した社会の脆弱性

      ヒッタイトは広域交易に依存していました。
      現代社会はそれをはるかに超える**グローバル・サプライチェーン依存型社会**です。

      * エネルギー供給
      * 半導体
      * 食料輸入

      のいずれかが長期停止すると、社会全体が揺らぎます。

      青銅器時代の国際秩序崩壊は、

      > 「高度に統合された世界ほど、連鎖的に崩れやすい」

      という歴史的教訓を示しています。

    • ## ③ 社会の分断が危機対応力を低下させる
      ヒッタイト末期には王位継承問題や地方勢力の自立傾向が見られます。

      現代でも、

      * 政治的分断
      * 情報の分極化
      * 合意形成の困難

      が進むと、危機対応能力が落ちます。

      危機は「物理的要因」よりも、

      > **社会の統合度(social cohesion)**

      によって被害規模が決まる可能性があります。


  3. # 重要な違いもある

    ただし、単純なアナロジーは危険です。
    現代社会は、

    * 科学的予測能力
    * 備蓄技術
    * 国際機関
    * 情報通信網

    を持っています。

    ヒッタイトには存在しなかった**制度的リスク管理機構**がある点は大きな違いです。

  4. # 結論

    ヒッタイト崩壊の現代的意味は次の一文に要約できます:

    > **気候変動そのものよりも、それに対する社会の統合度と制度的耐性が運命を分ける。**





 現代社会がこの先どうなるかは分からないが、自国優先主義が国家間を分断し、国際機関主導の全地球規模での環境保護が破綻し、偶発的に起こった核戦争で地球環境は回復不可能な壊滅的な状況に陥るというリスクはますます増加しているように思える。私自身はおそらくそれ以前に寿命が尽きてこの世を去るが、この先何十年も生きるはずの子や孫たちのためには、人類滅亡を少しでも先延ばしするために1つでも貢献しておきたいという気持ちは持ち続けている。