じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 行きつけの花屋で処分品(10円)で買った千成瓢箪がいっぱい実をつけた。なお、写真は借りている畑の西側部分。右下には人参が植えてある。

8月6日(金)

【思ったこと】
990806(金)[生活]出発日を間違えて1日得をした私

 8/8の昼に岡山を出発し17日までの10日間、息子と二人で某所に旅行する計画になっている。ところが、どういうわけか出発日は明日の土曜日であると思いこんでいた。その思いこみに従って、8/10締め切りの『研究と教育』(教官の業績についての自己評価印刷物)の文書を完成させたり、今日が最後...と畑からメロンや瓢箪を収穫したり。これで旅行の準備万端と思っていたところ、テニスの短期集中コースから戻ってきた息子が明日も練習に行くと言う。明日は出かける日じゃないか、そんなはずはないとカレンダーを確認してみると、出発予定日の8/8は日曜日であることに気づき驚く。

 しかし、出発日を1日早めに勘違いしてしまったことで、土曜日の予定がまるまる空いてしまった。大げさに言えば、人生のなかで1日分をおまけにもらったようなものだ。さて、何をしようか。このさい更新をサボっているフリーHPを整備しておこうか、大学構内の雑草取りでもするか、畑の草取りをしようか、などといろいろ考えている。

 さて、ところで、これから先の約10日間、息子と私はどこに行くのでしょうか。せっかくなのでこれをクイズとさせていただく。行き先を当てたいという奇特な方は、お一人様1回限りで、下のフォームから解答を送信してください。締切は8/8の朝までです。賞品はありませんが、正解者のご芳名は旅行終了後に公開させていただきます。

息子と私はどこへ行くのでしょう?クイズ
 

ご芳名:(HN可能。半角カナでの記入はできません)

E-mailアドレス:(公開しません)

ホームページURL:(リンクしてもよろしい方はご記入を)

息子と私の旅行先:(地名、および旅行目的など。半角カナでの記入はできません)

受付は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。[8/8追記]
【行動分析学会で思ったこと(2)】
990806(金)[心理]教育改革と行動分析

 他の話題をとりあげていたためにぷろくらしてしまったが、8/2の日記の続き。連載2回目は、日本行動分析学会第17回年次大会(7/29〜7/30、北海道医療大学)の2日目に行われたワークショップA:「教育改革と行動分析」についての感想。講演者は、鳴門教育大学の島宗理(しまむね・さとる)さんであった。島宗さんは、慶応大学卒業後、行動分析学のメッカであるウェスタン・ミシガン大学のマロット教授のもとで学位を取得。行動分析学会会員の中でも特に英語が達者な研究者として知られている。

 今回の講演は、島宗さんが今年2月から1カ月間、米国各地の教育事情を調査研究された成果の一部を紹介されたものである。英語が達者で米国の文化に精通している島宗さんならではの貴重な情報が数多く含まれていた。

 島宗さんは、本題に先立って、日米比較を行うにあたって次のようなステレオタイプな反応が伴いやすいことを指摘された。
  1. 文化や仕組みが違うから意味がない?
  2. アメリカはこうだから日本もまねるべき??
 島宗さんの講演から脱線してしまうけれど、この手のロジックは日本の生活習慣や教育制度、政治問題などを扱う場合にしばしば使われるものだ。反対意見の強い法制化をすすめるにあたって、もし同じような制度や習慣がアメリカ(あるいは世界各国)にあれば「外国ではこういうことは当たり前だ。だから日本でも...」というロジックを持ち出す。その一方、外国と異なる制度を押し通そうという時には「日本には古来の文化や仕組みがあるので、外国と同じ制度を採用するわけにはいかない」という主張を展開する。ひょっとすると、いま国会で論議されているような問題の中でも同じようなロジックが使われているかも....。

 で、島宗さんの主張のほうだが、上記2つのロジックはどちらも間違っている。大切なのは
成功例・失敗例の分析からヒントをつかむ
ことにあるのだという。米国であれ日本国内であれ、参考にすべき仕組みや制度があれば、まずは先入観を持たずにその実態を把握する。そして、その中の成功例や失敗例を具体的に分析して、自分たちの仕組みや制度の改善に活かすことが大切という意味だ。

 今回、島宗さんが紹介されたのは、ディレクト・インストラクション(direct instruction、直接教授法)、プレシジョン・ティーチング(precision teaching)、School-wide intervention(学校全体による問題行動への取り組み)の3点であった。このうち、3番目の話題は教師・子供関係ばかりでなく、校長やPTAなどとのそれぞれのあいだの関係を改善するなかで問題行動に対応しようという試みであるのに対して、前2者は教授法の話題であって異なる性格のものであった。ここでは時間の関係で一番最初のディレクト・インストラクションについてのみ簡単に述べたいと思う。

 この学習指導法は1960年代より開発され、(1)教授内容の徹底的な内容分析、(2)概念学習のモデル、(3)暗記から応用という法則を教えて般化させる、などの特長がある。幼稚園から9年生レベルまでの教材と教師用台本が用意されている。テスト出版により繰り返し改善されているところも大きな特長と言える。

 講演では実際の指導場面を撮影したビデオが上映された。登場した教師は事前に十分な訓練を受けておりマニュアル通りに指導を進めている。集団学習場面において、合図から一斉反応を引き出す。積極的な反応を重視し、誤反応は即時にチェックされ修正される。ちょっと見た限りでは、日本国内のどこかの英才教育塾でも行われているような印象を受けた。

 次に今回の講演の聴講者が生徒となってこの指導法が実演された。事例は、「すべての鳥には羽根がある」→「鷲は鳥である」→「だから鷲には羽根がある」という演繹法の勉強であった。上にも述べたように、先生(ここでは島宗さん)の合図に従って素早く一斉に反応していくのがミソだ。

 ディレクト・インストラクションが注目された1つの背景には、Stebbins et al.(1977)が行った各種の学習指導法の比較結果がある。この研究によれば、ディレクト・インストラクションは、Parent Education、Behavior Analysis(カンザス大学)、 Cognitive Aurriculum、Open Educationなど9通りの指導法のうちで、Basic Skills(読み書き算数のようなもの)、Cognitive(問題解決)、Affective(自尊感情)という3つの指標いずれにおいても最高成績をおさめたことがあげられる。学会のHPがこちらに、またこれを商品化しているSRAのHPがこちらにある。関心をお持ちの方は直接アクセスされるとよいだろう。

 島宗さんによれば、近年、行動の流暢性(fluency)を向上させることが学習達成を維持させていくための最も有効な手段であることが多くの基礎的研究の中で示されてきているという。この指導法も基本的にその流れにそって開発されてきたものである。この点について、これまで創造性問題に多少関与してきた私の立場から言えば、例えばギルフォードのモデルにある流暢性、柔軟性、独創性、精緻性のうちの柔軟性とか独創性の部分はどう伸ばされるのだろうか、とか、ベアの言う「リアルタイム(オンライン)創造性」、「多段階創造性」、「パラダイム転換創造性」などはどうやって伸ばせるのだろうかという疑問も出てくる。例えば上の演繹法の勉強の時に、ある子供が
  • 先生、鳥って何ですか?
  • すべての鳥に羽が無いっていうのはどうやって証明したんですか?
  • 卵からかえった雛はツルツルでまだ羽根が生えていないけれど、鳥では無いのでしょうか?
なんていう疑問を持った時にどこで解決してやれるのだろうか、などとふと考えた。

 ただ、特に公立小学校のような教育現場では、創造性を伸ばす何タラ言っている以前の問題として、とにかく最低限の基礎学力を向上させるというニーズはかなり高いのだろう。そういう意味からは、行政サイドとしても、最小限度の人的コストで(平均されたレベルでの)最大限の教育効果を引き出すためにはどういう指導法が有効かといった議論が今後も続くことになろうかと感じた。
【ちょっと思ったこと】

【新しく知ったこと】
【生活記録】
【今日の畑仕事】
  • メロン、瓢箪、キュウリ1本、ミニトマトいっぱい収穫。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。)】