じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

9月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] イラン・シーラーズ近郊ナグシェ・ロスタムで見たアーティチョークに似た花。9月2日の日記でもとりあげたが、中央アジア一帯で広く繁殖しているようだ。どなたか種名を教えていただければ幸いです。大きさもアーティチョークそっくりだが、茎部分に鋭い棘がありうっかり触るとひどい目にある。放牧された羊などに食べられなかったため結果的に生き残った植物と言えるだろう。

9月5日(日)

【思ったこと】
990905(日)[一般]家庭用電源についての疑問(2)アース線の必要性

 昨日の日記の続き。今回は
 このほか、国によってはアース線付の3ピンプラグ(と言ってよいのだろうか)を使っている所もあるようだが、このアース というのはどの程度の必要性があるのだろう日本ではアース線が無かったために事故が起こったというような話はあまり聞かないように思うのだが....。
という疑問の部分について、みのべさん(どくだみ荘日記)からお寄せいただいた情報をご紹介させていただく。なお改行部分を一部改変してあります。ご容赦ください。
米国はラインのどちらも接地されていないので、アースをコンセントまで引いてくる方式ですが、日本では片側が接地(アース)されているのでコンセントには通常アースがありません。しかし機器のアースは感電防止や発煙発火事故防止の観点からみれば重要だと思います。

卑近な例では洗濯機のアースがあります。もし筐体にアースが取られていない場合、接地されていない側の電極がなんらかの絶縁不良によって筐体に触れた場合、身体がそれに触れれば筐体→人体→大地という電流のループが出来るので感電事故となります。しかしアースが取られていれば銅線の方が人体よりも電気抵抗は小さいのでそちらのルートで電流が流れる手目に感電しません。

その他、ノイズ抑止やEMIなどの電波障害対策、雷サージ対策としてもアースをすることによって、筐体を大地と同電位化しておくことは重要だと考えられてします。アースはなかなか奥が深い世界で元東芝のエンジニア(現イトケン研究所)の伊藤健一氏がたしかアースのことについて書いた本をシリーズで出していたと思います。昔、会社の本を借りて読んだので、いま書名を思い出せないのですが。
 どうもありがとうございました。このほか、お互いを更新する掲示板で、Shiroさん(Island Life)や山口まさじさん(けやき抄)、Eメイルにて複数の方々より情報を寄せていただいた。重ねて感謝いたします。

 日本国内では、台所や風呂場(洗濯機設置場所)などを除くと、普通アース線につなぐ端子は家庭内には設置されていないように思う。いっぽう、私の家のコンセントを注意深く観察すると、左側の穴が約8.5mm、右側が7.5mmほどで、左のほうが大きくなっている。しかし、それにつなぐプラグのほうには左右の大きさに特別の違いが見あたらず、何も考えずに差し込んでいる。これって、何か決まりがあるのでしょうか。学会出張中のためすぐにはお返事できませんが、掲示板などでお教えいただければ幸いです。
【日本心理学会年次大会で思ったこと(1)】

 名古屋市の中京大学で行われている日本心理学会第63回大会に参加。今年度は7月末の日本行動分析学会のほうに全エネルギーをつぎこんだので、今回は自分の個人発表と、会場での個別的な接触を主たる目的として参加した。

 そんななか、ワークショップ7「成功する心理学者」がたいへんタメになった。このワークショップは、企画・司会が東海女子短期大学の小野寺孝義氏、話題提供が小野寺氏のほかに守一雄氏(信州大学)、岡本浩一氏(東洋英和女学院大学)、佐藤達哉氏(福島大学)という、学界でも一二を争う論客揃い(←失礼)。これを聴けただけでも名古屋まで足を運んだ甲斐があったと言ってもよいぐらい価値のある内容だったと思う。

 「成功する心理学者」という思わせぶり?のタイトルは、C.J.Sindermannの邦訳『成功するサイエンティスト、丸善』に由来するものだという。心理学の研究の方向性についての本質的な議論ばかりでなく、必要悪としての「心理学者としてちゃんと就職しかつ出世するためのノウハウ」のような、これまで学会年次大会では正面切って口にされたことのなかった話題まで活発な話題が提供された。

 時間が無いので、今回は小野寺さんが日本心理学会の学会誌『心理学研究』について1982年〜1999年最新刊(第2号まで)をデータベース化して分析した結果の中から面白いと思った点をいくつか。なお、以下はあくまで私が聞き取ったメモに基づくもの。正確なデータは小野寺さん御自身の論文等を参照していただきたい。
  • 1982年以降、『心理学研究』に投稿された論文の第一著者は638名で、これは日本心理学会の最新の会員数の13.5%にすぎない。
  • 著者の推定年齢(←心理学会名簿に大学卒業年が記されている)は33.06歳。最頻値は27歳。投稿者の年齢幅は22歳から67歳まで及ぶが、そのうち20〜39歳の投稿者による論文が全体の82.10%を占めている。
  • 著者の所属大学を調べると、15の大学の所属者の論文だけで論文総数の51.5%を占める。Top5は広島大、京都大、九州大、筑波大、東京大。
  • 著者の出身大学のトップは京都大。
  • 10件以上引用された研究者は38人。殆どの論文は1回程度しか引用されていない。
  • 4件以上引用された論文は31篇あるが、その中身は、日本語(漢字・仮名表記や言語など)に関するものが8本、尺度に関するものが6本、材料や資料を提供しているものが2本などとなっていた。
  • 国際的な学術誌297本のうち、日本心理学会が発行する英文誌(Japanese Psychological Research)の被引用ランキングは263位、上記の『心理学研究』の順位は293位とほとんど最下位に近い。
 ここからの意見は私個人のものになるが、小野寺さんから提供していただいたデータを大ざっぱに見ると、『心理学研究』掲載論文の多くは、大学院生が博士号を取るための必要基準(たいがいの大学院では、レフェリー付の学術誌に第一著者として2〜3本以上の原著論文を掲載していることを博士論文提出の資格要件としてしている)を満たすために投稿したものである言っても過言ではないだろう)。
 私の後期の授業では、『心理学研究』の論文も題材としながら実験的方法の意義と限界、一般性、現実行動との関連などを考えていく予定。今後も必要に応じて言及していきたいと思っている。明日以降に続く。
【新しく知ったこと】
【今日の畑仕事】
心理学会出席のためお休み。
【スクラップブック】