じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 夫婦で後楽園の紅葉を見に行ったが、全般的に色合いは今ひとつだった。紅葉を見るだけだったら、むしろ岡大構内や運動公園のほうが見応えがあると思う。そんななか、比較的よく撮れた写真を1枚。なお園内では菊も展示されていたが、数はそれほど多くなかった。ガーデニングブームの中、伝統的な菊栽培の愛好家は増えているのだろうか。





11月10日(日)

【ちょっと思ったこと】


有給休暇取得率減少

 11/11の朝6時台のニュースによれば、サラリーマンの有給休暇日数は制度的には年々増加し、現在平均18.1日と過去最高になっているという。ところが実際に取得された日数は平均8.8日、取得率は48.4%と逆に低下。流通業界の33.7%を最低に、建設や金融業界が30%台の低い取得率にとどまっているという。

 この原因としては、リストラにより社員数が減り、結果的に残った社員の負担が増えたこと、また、成果主義の導入により仕事を休めなくなってきたこと、などが挙げられるという。

 上記の数字はあくまで有給休暇の日数に関わるものであり、週休二日導入やフレックス、裁量制などの影響は考慮されていないようだが、Web日記など拝見していても、休日出勤や残業など、ハードな生活を強いられている話はよく聞く(というか、仕事の都合でWeb日記すら書けなくなったという方もいる)。いっぽうに余暇の活用などと言われつつ、本当のところ、20〜30年前と比べて生活のゆとりは出てきたのだろうか。しかもそのわりには経済は発展しない。また、少子化が進めば労働者人口そのものが減る。この先どうなるのだろう。

【思ったこと】
_21110(日)[教育]戦後教育の終焉と日本型高等教育のゆくえ(2)

 11/8の日記に続いて、広島大学高等教育研究開発センター創立30周年記念の研究集会「戦後教育の終焉と日本型高等教育のゆくえ」(11/8〜11/9)の話題。2日目の午前中は、
  • 「市場原理が大学教育にもたらすもの」 大井玄氏(東京大学名誉教授)
  • 「地域社会と大学の役割」 宮崎正寿氏(高崎経済大学地域政策学部)
  • 「高等教育のプライバタイゼーションの動向」 森利枝氏(大学評価・学位授与機構)
という3人の方の話題提供があり、午後はそれぞれについての指定討論、さらにフロアを含めたディスカッションが活発に行われた。

 今回の研究集会は、内容が多岐にわたっており、Web日記に感想をまとめるのはなかなか難しいが、記憶が鮮明なうちに、まず、印象に残った論点やフレーズをメモしておきたい(初日の基調講演の内容を含む)。
  • 「グローバル化」は、戦略行動と経営的性質に適応するための挑戦としてとらえることができるが、実態よりもレトリックが共通認識されている観がある【"Globalization" is referred to as a challenge for fitness for strategic action and managerial quality. /Again, the rhetoric seems to be more common than the actual views and activities. 】
  • 「アメリカではの神」←これは良い言葉を聞いた。種々の会議で「アメリカでは」を何回使うかによって、その人の信仰の強さが測れそうだ。
  • 日本型高等教育とは何?
  • 改革のグランドデザイン
  • 事前規制→事後チェック
  • 「アメリカでは」による改革はアメリカナイゼーションになったか
  • 補完性原理(下【地方】でできないことだけ上【政府】がやる)、脱政府化
  • 評価(アセスメント)、適格認定(アクレディテーション)、さらには「認証評価」という新語の発明
  • プライバタイゼーション(私事化、民営化、私学化)は演繹的には定義困難。財源、管理形態、使命(誰を益するか)、慣用という4つの基準で公立期間と私立機関を明確に区別することは困難。
 今回の研究集会は、FDというよりも大学そのもののあり方が論じられたために、素人の私にはなかなかわかりにくく、また、それだけに新鮮でもあった。それにしても、行動原理が重視されているわりには、心理学や行動分析学の知見が活かされていないのはまことに残念。このあたり、この連載の次回以降に取り上げてみたいと思う。