じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【ちょっと思ったこと】
苦いゴミ袋 11/13朝のNHKニュースによれば、ゴミ袋を破って中の残飯をあさり繁殖している都会のカラス対策として、つつくと苦い味がするゴミ袋が開発されたという。 出勤直前だったためメモをとっておらず不正確になるが、これを開発したのは宇都宮大学の研究グループ。番組によれば、カラスは視覚的弁別にはすぐれており、例えば、ゴミ袋に目玉模様をつけてもじきに慣れてしまう。また嗅覚には鈍感。しかし、味覚刺激には敏感で、苦い味をしみこませたゴミ袋が有効であることが実験的に示された。 カラス被害については、9/3の日記で東京都の対策にふれたことがあった。その際にも中期的にはゴミ対策が重要という結論であったようだ。カラスにつつかれないゴミ袋が開発されれば大きな成果が期待される。 もっとも番組の映像で拝見した限りでは、「苦いゴミ袋」法にはいくつか問題点があるように思える。
もっとも、上記1.にも述べたように、化学物質を使うのは想定外の環境問題を引き起こすような気がしてならない。まずは、ゴミ袋が破られないようにネットかけ(世田谷ではちゃんと配備されていた)を徹底することだろう。そして根源的には、生ゴミは庭先で堆肥化するなど自家処理をすることだ。 |
【思ったこと】 _21113(水)[教育]戦後教育の終焉と日本型高等教育のゆくえ(5)高等教育のプライバタイゼーション 昨日の日記の続き。今回は「研究セッション報告3」 ●「高等教育のプライバタイゼーションの動向」 森利枝氏(大学評価・学位授与機構) について感想を述べさせいただく。 まず、そもそも「プライバタイゼーション(Privatization、日本語では私事化、民営化、大学に関しては私学化という意味)」という聞き慣れない言葉だが、森氏や、コメンテーターの丸山氏(国立学校財務センター)も指摘されたように、レヴィの研究に依拠した
そのような曖昧さはあるものの、世界的な流れとしてプライバタイゼーションが進んでいることは否定できない事実である。この背景には、11/11の日記でも述べたように、「生産手段は私有化されるため国立大学はなくなる」という市場原理に基づく改革の流れが一方にある。また、森氏が指摘されたように、「私立セクターでは意思決定の際に「公共善public good」へのアカウンタビリティを考慮する度合いが比較的小さくて済み、またそのプロセスにおいて比較的少ない人数が関与するだけで済む」(←出典は国連文書のようだ)という利点がある。 御報告の後半では、大学に対する評価や適格認定の問題が取り上げられた。大学の第三者評価をめぐる議論はめまぐるしく、私自身十分に把握していないのだが、まずは自己点検・自己評価から外部評価、さらに第三者評価という流れがあることは承知している。また、いずれの場合も、まずは努力目標として推奨され、後には義務規定へと変えられていった。2002.8.には、国立大に加えて私立大も評価を受けることが義務づけられるような答申が出された。 [※11/14追記]ここでいう答申は、中教審・大学の質の保証に係る新たなシステムの構築についてのことを示すようだ。 ディスカッションの中で私が疑問に思ったのは「認証評価機関」の正確な意味である。フロアからの発言では「認証評価をする機関」と受け止められているような印象を受けたが、現在、国会で改正が検討されているという学校教育法69条の文言では「認証を受けた者による評価」というようにも読みとれる。「認証」という言葉が評価機関を形容しているのか、評価の内容を形容しているのか、調べてみる必要がありそうだ。[11/14追記→※] ちなみに、森氏によれば、上記の「認証評価機関」は、どうやらアメリカの奨学金給付に関わる機関認証基準がモデルになっているらしい。もっとも日本にこれが導入されるにあたっては、「高等教育機関の自発的な組織であること」、「アクレディテーションを主たる目的とする組織であること」という項目が除かれてしまった。これについての問題点はフロアからも指摘された。 御報告の最後のところでは、プライバタイゼーションという概念が動向の記述であって規範ではないこと、「国立大の評価→独法化→全大学の(認証)評価」が進行していること、さらに、国立大独法化といいつつも運営交付金が配分されることにおいて疑似私学化である点などが取り上げられた。 午後のセッションでは、森氏の報告に対して、丸山文裕氏(国立学校財務センター)から興味深いコメントが出された。その中では、「ヘビのような動き」という例えが面白かった(出典はリースマンの「蛇行行進」論らしい)。蛇行するヘビの体の一部は、違う方向を向いているようにも見えるが、全体としては前進しているという例えで、国立大法人化や大学評価をとらえようというものである。このほかフロアからの「マーケットで議論するのか、コミュニティから議論するのか。学習者の視点も大切」という発言も興味深かった。 [※11/14追記] 「認証評価」に関しては、こちらに資料があった。以下、関連部分を抜粋すると、 第六十九条の二の次に次の四条を加える。 第六十九条の三 大学は、その教育研究水準の向上に資するため、文部科学大臣の定める ところにより、当該大学の教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備(次項にお いて「教育研究等」という。)の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公 表するものとする。 大学は、前項の措置に加え、当該大学の教育研究等の総合的な状況について、政令で 定める期間ごとに、文部科学大臣の認証を受けた者(以下「認証評価機関」という。) による評価(以下「認証評価」という。)を受けるものとする。ただし、認証評価機関 が存在しない場合その他特別の事由がある場合であつて、文部科学大臣の定める措置を 講じているときは、この限りでない。 専門職大学院を置く大学にあつては、前項に規定するもののほか、当該専門職大学院 の設置の目的に照らし、当該専門職大学院の教育課程、教員組織その他教育研究活動の 状況について、政令で定める期間ごとに、認証評価を受けるものとする。ただし、当該 専門職大学院の課程に係る分野について認証評価を行う認証評価機関が存在しない場合 その他特別の事由がある場合であつて、文部科学大臣の定める措置を講じているときは、 この限りでない。 前二項の認証評価は、大学からの求めにより、大学評価基準(前二項の認証評価を行 うために認証評価機関が定める基準をいう。次条において同じ。)に従つて行うものと する。 第六十九条の四 認証評価機関になろうとする者は、文部科学大臣の定めるところにより、 申請により、文部科学大臣の認証を受けることができる。 文部科学大臣は、前項の規定による認証の申請が次の各号のいずれにも適合すると認 めるときは、その認証をするものとする。 一 大学評価基準及び評価方法が認証評価を適確に行うに足りるものであること。 二 認証評価の公正かつ適確な実施を確保するために必要な体制が整備されていること。 三 第四項に規定する措置(同項に規定する通知を除く。)の前に認証評価の結果に係 る大学からの意見の申立ての機会を付与していること。 四 認証評価を適確かつ円滑に行うに必要な経理的基礎を有する法人(人格のない社団 又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。次号において同じ。)である こと。 五 次条第二項の規定により認証を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない 法人でないこと。 六 その他認証評価の公正かつ適確な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。 前項に規定する基準を適用するに際して必要な細目は、文部科学大臣が、これを定め る。 認証評価機関は、認証評価を行つたときは、遅滞なく、その結果を大学に通知すると ともに、文部科学大臣の定めるところにより、これを公表し、かつ、文部科学大臣に報 告しなければならない。 認証評価機関は、大学評価基準、評価方法その他文部科学大臣の定める事項を変更し ようとするとき、又は認証評価の業務の全部若しくは一部を休止若しくは廃止しようと するときは、あらかじめ、文部科学大臣に届け出なければならない。 文部科学大臣は、認証評価機関の認証をしたとき、又は前項の規定による届出があつ たときは、その旨を官報で公示しなければならない。 第六十九条の五 文部科学大臣は、認証評価の公正かつ適確な実施が確保されないおそれ があると認めるときは、認証評価機関に対し、必要な報告又は資料の提出を求めること ができる。 文部科学大臣は、認証評価機関が前項の求めに応じず、若しくは虚偽の報告若しくは 資料の提出をしたとき、又は前条第二項及び第三項の規定に適合しなくなつたと認める ときその他認証評価の公正かつ適確な実施に著しく支障を及ぼす事由があると認めると きは、当該認証評価機関に対してこれを改善すべきことを求め、及びその求めによつて もなお改善されないときは、その認証を取り消すことができる。 文部科学大臣は、前項の規定により認証評価機関の認証を取り消したときは、その旨 を官報で公示しなければならない。 第六十九条の六 文部科学大臣は、次に掲げる場合には、第六十条の政令で定める審議会 等に諮問しなければならない。 一 認証評価機関の認証をするとき。 二 第六十九条の四第三項の細目を定めるとき。 三 認証評価機関の認証を取り消すとき。 |