じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 5月15日の日記で青色の風鈴草(カンパヌラ・メディウム)を掲載したが、その後、白とピンクも咲きそろい、花壇をにぎわしている。


5月21日(水)

【ちょっと思ったこと】

平成の珍現象

 世の中、妙な現象が毎日のように起こっているが、その中でも私が一番クビをかしげるのは

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斉藤隆夫氏の演説

 夕食後にNHK「その時歴史が動いた我が言は、万人の声:〜太平洋戦争前夜、日本を揺るがした国会演説〜」を視た。斉藤隆夫氏のことは、この日記でも数回ほど取り上げたことがあった[直近では2003年3月28日]が、今回の番組で演説の経緯や、斉藤氏ご自身について詳しく知ることができた。

 番組サイトや2002年3月7日の日記にもちょっと記したように、斉藤隆夫氏が行った重要な国会演説としては
  1. 1936年5月7日の第69帝国議会における演説。有名な粛軍演説。
  2. 1938年2月24日の第73帝国議会における演説。国家総動員法への反対演説。
  3. 1940年2月2日の第75帝国議会における演説。日中戦争の処理をめぐって政府の姿勢を正す。
の3件があり、「聖戦ノ美名二隠レテ、国民的犠牲ヲ閑却シ、曰ク国際正義、曰ク道義外交、曰ク共存共栄、曰ク世界ノ平和、斯ノ如キ雲ヲ掴ムヤウナ文字ヲ列へ立テテ、...」というのは2月2日の演説である。この「聖戦の、」以下のかなりの部分は議長により削除され「帝国議会議事録」には残されていないが、録音盤を通じて生の声を聴くことができる。また2月2日の演説を行ったことにより、斉藤氏は同年3月7日に衆議院議員を除名された。

 3月28日の日記にも記したが、斉藤氏の演説は、決して反戦平和を求める内容ではなかった。これは
  • 国家競争は道理の競争ではない。正邪曲直の競争でもない。徹頭徹尾力の競争である。
  • 国家競争の真髄は何であるか。日く生存競争である。優勝劣敗である。適者生存である。適者即ち強者の生存であります。強者が興って弱者が亡びる。過去数千年の歴史はそれである。未来永遠の歴史もまたそれでなくてはならないのであります。
  • この歴史上の事実を基礎として、我々が国家競争に向うに当りまして、徹頭徹尾自国本位であらねばならぬ。自国の力を養成し、自国の力を強化する、これより他に国家の向うべき途はないのであります。
とちゃんと述べていることから分かる。斉藤氏が主張されたのは、「立憲政治の究極の目的は、国民の共同意識を以て、政治の元動力と為すに在り」というシビリアンコントロールの重要性にあったのだろう。軍人が政治を支配すれば行き着くところは、武力による決着のみである。その危険性は粛軍演説の中にも示されている。

 斉藤氏がいま国会におられたら、おそらく有事立法を積極的に推進されたであろう。但し、それはあくまで自国の主体的なシビリアンコントロールのもとでの防衛である。アメリカ依存型では決してない。「聖戦の、」の前段の部分では、アメリカが未来永劫、日本の守護神となりえないことがちゃんと主張されているのである。すなわち
 かの欧米のキリスト教国、これをご覧なさい。彼らは内にあっては十字架の前に頭を下げておりますけれども、ひとたび国際問題に直面致しますと、キリストの信条も慈善博愛も一切蹴散らかしてしまって、弱肉強食の修羅道に向って猛進をする。これが即ち人類の歴史であり、奪うことの出来ない現実であるのであります。
この部分が番組で紹介されるかどうか注意深く視ていたが、予想通り、そこまでは触れられなかった。




 斉藤氏から学ぶべき点はさらに2つある。1つは、自ら時間をかけて原稿を書き上げ、鎌倉の海岸で何度も練習をされたということ。その内容は格調高い漢文調となっている。いまの時代、口語調になったせいもあるのだろうが、今ひとつ重みが感じられない。

 もう1つは、外圧に屈せず、身の危険も顧みずに信念を貫く姿勢である。斉藤氏の除名は軍の圧力によるとされているが、当時の国会議員たちは銃剣を突きつけられて除名に賛成したわけではない(わずかながら反対票もあった)。「圧力に屈する」というよりも保身を優先するあまり、主体的な判断ができなくなった議員ばかりであったと言うべきなのだろう。

 そういう意味では、今の時代、これからの時代も、別段銃剣で脅されなくても、翼賛的な政治が行われてしまう危険性は常にあるように思う。









阪神ファンにとっていくらメデタイことだと言っても、5月21日の時点で、貯金15、2位と7ゲーム差というのはちょっと出来過ぎじゃないだろうか。しかも2位巨人の貯金がわずか1つ、ヤクルト、中日、広島が同率5割というのは、どういうこっちゃ!