じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] ことしもゴールドスティック(別名クラスペディア、ドラムスティック)が見事な「花」をつけた。多年草化しているため、特に世話をしなくても毎年同じ時期に花を咲かせてくれる。


5月14日(金)

【ちょっと思ったこと】

ニート彗星を堪能する

 夕刻、最近では珍しいほどに空が澄んでいたので、妻と一緒に岡山空港近くの丘の上でニート彗星(2001 Q4)を眺めた。この丘は、かつてヘールボップ彗星の写真を撮ったり、獅子座流星雨を眺めた場所でもある。渋滞さえ無ければ自宅から車で20分で行かれるというのがまことにありがたい。

 この日の彗星は、予報では、木星と土星を結ぶ線の中点よりやや左下のあたりに位置しているはずであったが、最初のうちは肉眼はもちろん、双眼鏡でも、なかなか見つけ出すことができなかった。

 双眼鏡でしばらく探索を続けた結果、双子座の2つの星を結ぶ線を双子の間隔の2倍ほど左に延ばしたあたりに、アンドロメダ銀河のようにぼんやりと広がっているのが見えた。双眼鏡では彗星のまわり、視野ギリギリのところに台形状に4個の星があり、また、それより離れた右上に散開星団が20個ほど見えたが、核の部分はそれより暗く、肉眼ではそこに何かがあるなと、やっと分かる程度であった。

 とはいえ、見かけ上の核はヘールボップ彗星並みに大きく、またこの日は、左上方向に尾が伸びているのを確認することができた(長さは、北斗七星のひしゃくの底の間隔の1/3程度)。14日以降にこちらのギャラリーに、鮮明な写真が多数投稿されるのものと期待している。

 余談だが、20時半すぎ、木星から金星方向のあたりに、木星と同じくらいの明るい流星を目撃、流星痕まで見えた。あれだけの規模のものは、獅子座流星雨のときでもそうザラにはなかったと思う。




クイズダービー復活版

 夕食時、「もう時効だョ全員集合史上最強!花の芸能界オフレコトークバトル」という番組のなかで、大橋巨泉、篠沢教授、はらたいら、竹下景子、井森美幸さんといった懐かしい顔ぶれが登場し感激した。

 番組自体は1992年まで続いていたというが(但し、司会は徳光和夫に交代)、私が視ていたのはたぶん1976年の番組開始から10年間くらいではなかったかと思う。

 なかでも、はらたいらさんがテレビに登場するのを視たのはおそらく20年ぶりであった。巨泉や篠沢教授より元気無さそうに見えたが、妻の話では、はらたいらさんは、更年期障害に悩まされていた時期があったとか。ネットで検索したら、体験記を出されていることが分かった。




21世紀ビジネス塾:「集中研」の意義

 ニート彗星見物から戻ってきたところで再びテレビのスイッチを入れたら、21世紀ビジネス塾という番組が始まるところだった。いつもなら、すでに就寝時間であるが、たまたまこれに気づいたのはラッキーだった。

 この日は今度の“日本”は追い越されないという話題で、山形大学の城戸淳二教授が出演された。

 番組記録サイトにあるように、城戸教授は、液晶テレビやプラズマテレビに変わる次世代のディスプレイーとして期待される「有機EL」研究の第一人者である。城戸教授の業績はノーベル賞受賞確実と断言できるほど物凄いものらしく、街の灯りもテレビも将来はみんなこれに替わってしまう可能性があるというから大変なものだ(以下、あくまで長谷川の聞き取りによる)。

 城戸教授は、工学系研究者が自分で物づくりに携わることの大切さを指摘しておられた。装置はすべて納入業者任せ、研究者は装置のボタンを押すだけというのでは、創造的な研究は生まれない。装置に不具合があった場合、ただ単にメーカー技術者を呼んでそれを指摘するだけでは、技術開発のノウハウの最も大切な部分はメーカーに持って行かれ、ついには海外に流出してしまう。どうやら、一流誌掲載の論文数や英語発表力だけで研究者を評価していてはダメなようだ。

 番組によれば、「有機EL」開発では、白い光を出す技術が難しいと言われてきた。専門的なことは分からないが、たまたま学生の「失敗」実験で白っぽい色が得られたことが、大きな進歩につながったという。ネットで検索したところこちらのサイトに、もう少し詳しいエピソードが紹介されていた。

 私が一番関心を持ったのは、「分散研」ではなく「集中研」というプロジェクトの組み方である。従来、日本では、大型のプロジェクト予算を獲得しても、参加する研究者のあいだで「平等に」分配し、個別に研究を進め、期間が終わるころに成果発表会や論文集を刊行するという形で完結するスタイルが多かった。これは、COEでも、科研費でも、また学長裁量のプロジェクトなどでもしばしば見受けられる。しかしこんなやり方では、大規模は装置は購入できないし、情報はどんどん流出するし、責任体制も不明確となる。これでは海外に負けてしまう。「集中研」方式の大切さがよく分かった。もっとも、この場合、個々の研究者の貢献をどう評価していくのかという別の問題が出てくるかもしれない。競争原理、成果主義が重視される世の中では、プロジェクト全体についてはもちろん、個人の努力をどう適切に評価していくのかが課題であるように思う。

 なお、城戸教授の公式サイトの中には独り言という、私のような素人でもある程度理解できるような面白いエッセイが満載されている。リストは未更新だが「バカの壁」を読むとバカになるのか?という最新の書き下ろしも興味深い。