じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
昨日に引き続きヒマワリの画像。ヒマワリというのは普通、東向きに咲くものが多いのだが、右下の株はなぜか天頂を向いて咲いている。種が重くなったときどうなるのか、ずっと気になっている。 |
【ちょっと思ったこと】
最高気温、全国トップ? 7月14日の岡山市の最高気温は36.5度。ざっと調べたところ、県庁所在地としては全国トップとなった模様。大学構内では、「からだの芯まで熱せられるようだ」という声さえ聞かれた。 苫田ダムと岡山市の水道代の関係 14日のローカルニュースによれば、苫田ダム完成で、岡山市の水道料金が来年度から値上げされる公算が大きくなってきたという(こちらに関連記事があった)。 このニュースを聞いておゃ?と思ったのは、吉井川上流の苫田ダムと、旭川を主要な受水源とする岡山市がどういう関係にあるのだろう、ということだった。検索したところ、こちらに小学生向けの解説があり、県東部の西大寺地区周辺は確かに吉井川の恩恵を受けていることが分かった。とはいえ、これはごく一部。だいいち、そんなに水の需要は無い。 苫田ダム建設をめぐっては、かつて地元の奥津町がダム反対を町是として長い間ダム建設反対の立場を貫いてきたが、最終的には着工されることになった。岡山市内でも反対の声はあったようだが、ごく一部の団体の活動に限られていたように思う。ここへきて、まさか岡山市の水道代にはね返るとは思いもよらなかった。 ちなみに今年の岡山は空梅雨模様であったが、4年前のもっとひどかった時でも旭川水系で干害が起こったという話は殆ど聞かなかった。岡山県三大河川の中で水不足が一番おこりやすいのは、高梁川だそうだ。 |
【思ったこと】 _40714(水)[心理]「活きる」ための心理学(8)最近の「血液型性格判断」事情 自治体主催の生涯学習講座の出講2回目(7月3日実施)のメモの続き。 こちらの資料集に記してある通り、「血液型性格判断」については、1994年にエスプリ論文、その後1997年に『発掘!あるある大事典』で、「検証! 血液型性格のウソ・ホント」なる特集があった時にいくつか追記をした程度で、その後はすっかり遠ざかっていた。その理由は、このページはなぜ長期間、開店休業状態になっているのか。に書いた通りだ。要するに、特に話題になるような出来事が無かったというのが主たる理由であった。 もっとも、今年の6月頃、TBS系のホムクルなる番組が、北大医学部のS教授なども登場させて、 最近の医学によって『血液型が性格に関わりがある』ことは、もはや否定しようのない事実となった。などと吹聴、また、ネットで検索したところ、私は番組自体は視ていないのだが、TV朝日系の「決定! これが日本のベスト」という番組でも、今年の6月13日に血液型ランキングなる放送をやっていたことが分かった。 この時期になぜ、こういう話題が執拗に取り上げられたのかはよく分からないが、たぶん、従来のクイズもののネタが底をつき、単純なトリビア知識提供だけでは視聴率が維持できなくなったことに一因があるのではないかと思う。 さて1994年あるいはそれ以前には、「血液型性格判断」批判の論点の1つとして、「フリーサイズ効果」と言われるものがあった。要するに、誰にでも当てはまるような特徴を、ちょっとだけ形容詞を変えて、すべての血液型に当てはめるというトリックであった。 しかし、最近のテレビ番組は、フリーサイズではなく、むしろ「決めつけ、ステレオタイプ型」が目立つようになってきた。じっさい、上掲の血液型ランキングでは、
●血液型ですべてが決まる訳ではありません。決めつけや偏見はやめましょう。 などと、血液型差別だという告発を恐れたのか、アリバイ的な断り書きが書かれているが、断れば免罪というものではなかろう。「血液型ですべてが決まる訳ではありません。」という文は、裏を返せば、「少なくとも部分的には血液型で決まる」と言っているのと同じだ。ちなみに、上掲のもう1つの番組「ホムクル」でも「A型は几帳面」、「O型は社交的」、「B型はマイペース」といった特徴づけが行われていた[6/19の日記参照]。 このように具体的な主張が行われていることは、じつは心理学者にとってはむしろ喜ばしいことである。なぜなら、主張が具体的でるということはそれだけ、反証可能であるということ。例えば、2つの番組ではいずれも、「B型はマイペース」とされているが、それが本当に、日常生活行動に影響を及ぼすほど顕著なものであるかどうかは、
また、もし血液型ランキングが主張するように、本当に「B型が悪性インフルエンザに弱い」であれば、インフルエンザワクチンの在庫が少ない時にはB型から優先的に接種すればよい(←「ホムクル」ではA型が「免疫力が弱い」と言っていたようだが、どっちが正しいのだ??)。 なお、これらの議論は、本シリーズの目的である「講義録」から逸脱するので、別スレッド「血液型差別をネタにしないと娯楽性を保てない番組、それをもり立てる大脳生理学者 」という連載の続編として、時間がある時に取り上げていきたいと考えている。 講義では、「血液型性格判断」を肯定的に紹介するWebサイトを長年にわたり開設している男性が6/26付朝日新聞記事(土曜版?)で紹介されていたことにも触れた。記事の中でこの男性は
第一に、昨日の日記でも書いた通り、日本の心理学者たちの多くは、決して「学術的に血液型と性格は無関係との立場を貫いて」いるわけではない。昨日引用のエスプリ論文でも強調している通りであり、「関係が無いという作業仮説のもとで、一貫したデータを求めていかなければ科学的な議論とは言えない」と主張しているだけなのだ。「絶対に関係がないとは言えない」とか「関係があるかないか」という二者択一型の議論は、単なる「揚げ足取り」であって、科学的議論にはなじまない。 第二に「ぼくが納得できる客観的な論理が何一つ示されていないから」という点だが、この方は、今から4年ほどまえに、ネット界屈指の論客(←あくまで長谷川の主観的評価による)である渡邊芳之氏と、30回にわたる手紙の交換をやっている。その記録はこちらに全文保管されている。 やりとりを丹念に読めば分かるように、この論争は、明確に渡邊さんの勝利に終わっている。である以上、この男性の「ぼくが納得できる客観的な論理が何一つ示されていないから」という部分は「ぼくは、客観的な論理を何一つ理解できなかった」と言い換えるべきである。 ちなみに、あの論争の前半では「長谷川」の名前が何度か出ているが、渡邊さんに言わせれば、私は「議論をうち切った心理学者」の一人に加えられているのだろう。しかし、私にはやっぱり、渡邊さんは、「論争」の相手選びを誤っていたのではないかと思えてしようがない。 とはいえ、そこに保管されているメイルやりとりの記録が「科学的思考」を教える教材として有用であることは間違いない。 |