じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

4月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] 講義棟前に咲くスノーフレーク。今年は開花が遅かったようだ。ヒガンバナ科で和名は鈴蘭水仙。なお、小学館の『園芸植物』では英名は「summer snowflake」と記されていた。なぜ「summer」が付くのかは不明。ランダムハウス英語辞典では、「summer snowflake」は「star-of-Bethlehem」というユリ科の植物とされていて別種のようだ。なぜだろう。


4月7日(木)

【思ったこと】
_50407(木)[一般]エスカレーターを歩くとなぜ危険か?

 4月8日朝6時台のNHK「おはよう日本」で、名古屋や東京でエスカレーターの上を歩かないように注意を呼びかけているという話題を取り上げていた。

 エスカレーターに乗る時、留まる人は左側に立ち、急ぐ人は右側をすり抜けて歩く(但し、大阪は逆。2005年3月22日の日記参照)という慣習が確立しているし、歩いて転倒しても自己責任の範囲ではないかと思ったが、これは、番組をよく聴いていなかったためらしい。ネットで検索したところ、名古屋市交通局のWebサイトの中にエスカレーターの正しい乗り方についてというページがあり、
 エスカレーターは、お年寄りやお体のご不自由な方、お子様など様々な方がご利用されています。

 エスカレーターには、事故防止のために様々な安全装置が取り付けられています。
 エスカレーターの上を歩いたり、走ったりすると、振動、衝撃等によりこの装置が作動し、エスカレーターが急停止して、思わぬ事故につながる場合があります。 

 また、エスカレーターの上を歩いたり、走ったりすると、他のお客様と接触し、転倒事故が起きることもあります。
と記されていることが分かった。要するに、急いで駆け上がる人(駆け下りる人)自身が転倒するから危ないのではなく、そのような行為によってエスカレーターが急停止した場合、他の利用者が転倒する危険がある。エスカレーターの利用者の中には、急停止した時にバランスを保てない人も多いので、やめてほしい。ということが第一の理由、他のお客と接触する危険が第二の理由であったのだ。

 となると、自分の都合だけで駆け上がったり駆け下りたりするのはよろしくないということになる。今後は手すりにつかまって利用するようにしよう。



 もっとも、東京都交通局では、「エスカレーター内を歩行する方と他のお客様が接触し、転倒して怪我をするトラブルが発生し」ということが主たる理由になっており、急停止の危険については触れられていなかった。「歩行の禁止や制限は、最終的にはマナーの問題でございますので」という記述に対しては、「急ぐ人のために道を開けることがマナーではないか」という反論も出そうな気がする。

 社団法人 日本エレベーター協会の注意文も「エスカレーターの上を歩いたり、走ったりするとバランスをくずし転倒、また乗客が多い場合は他の利用者に接触して押し倒すなど思わぬ事故につながる恐れがあります。特に大きな荷物をお持ちの場合は、ご注意ください。」となっており、急停止の危険には触れられていなかった。

 このあたり、単に危ないからやめましょうと注意を呼びかけるのではなく、接触による転倒の危険と、急停止がもたらす危険に分けて、具体的な解説があるとよいかと思う。

 素人目で考えるに、「接触による転倒の危険」が主たる理由であるならば、他に誰も利用してない場合には歩いてもよいことになる。いっぽう、「振動、衝撃等によりこの装置が作動し、エスカレーターが急停止」という危険の確率は、「上り」より「下り」のほうが大きいように思われる。下る時のほうが速く歩くし、一歩一歩の衝撃が大きい。また急停止した場合、慣性の力が低い方向にはたらくので下の方に転げ落ちる恐れがある。しかし、そうであるならば、「下り」のエスカレーターだけで注意を呼びかけてもよいはず。




 ところで、空港などで見かける「動く歩道」では、急ぐ人が通り抜けられるように左側(大阪は右側)に立つことが推奨されているように思う(使いやすさ日記『186. エスカレータ、動く歩道では左右どちらに立つか?@アムステルダム編』というサイトに、アムステルダムの空港の写真があった)。歩く歩道は水平方向の移動であり傾斜のあるエスカレーターに比べると、急停止による事故が少ないと考えられているためだろうか。




 このほか、ネットで検索したところ、まち・みせ観察記15【エスカレーター社会】という興味深い記事もあった。それによれば「1970年以前に、エスカレーターが導入されていた場所は、主として「顧客(=ユーザー)が付加価値への対価を支払うことを期待できる場所」であった。」という。確かに、私が子どもの頃は、エスカレーターと言えばデパートの中の乗り物であって、そんなに急いで利用するものではなかった。ところが、その後地下鉄の普及により、急ぐ人の標準的な移動手段として利用されるようになってくる。そうした中で「片側を歩行者のために開けるルールができあがった。」というのは納得できる説明である。