じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
羽田空港を離陸するDC-10型機。ウィキペディアにも記されているように、すでに生産終了となっており、国内線で見かける機会はきわめて稀となった。
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【思ったこと】 _50913(月)[心理]日本心理学会第69回大会(4)血液型性格判断三昧の一日(4)遺伝子言説と血液型言説 日本心理学会第69回大会の参加感想の4回目。昨日に引き続き9月10日夕刻のワークショップ: 【9月10日 夕刻】ワークショップ 血液型と性格の科学性(話題提供:上村晃弘氏、安藤寿康氏、渡邊芳之氏/指定討論:大村政男氏) について感想を述べさせていただく。 ワークショップでは、上村氏に引き続き、安藤寿康氏が行動遺伝学の立場から、遺伝子言説と血液型言説について話題提供をされた。 「血液型性格判断」が信じられやすい理由としては、9月11日の日記で言及した“FBI効果”のほか、
安藤氏は、遺伝子言説と血液型言説が似ている点として
安藤氏によれば、ひとくちに「遺伝する」といっても、実は4つのレベルに分かれる。知能を例にとれば、最も決定的なのは、「species universal」のレベル。次に、きわめて重度な障害をもたらす(rare sivere disorder)レベルで、これは特定の1個の遺伝子が関与する。3番目は、「common mild disorder」のレベルでこれには複数の遺伝子が関与。そして4番目のレベルは、通常の正規分布に関与するレベル(←あくまで長谷川の聞き取りによるため不確か)。 行動遺伝学で対象とするのは4番目に関わる「遺伝」であり、そこでは、「おおゴッドモデル(OGOD、一疾患説、The one-gene one-disorder model)に代わって、 QTLモデル(Quantitative Trait Loci、量的形質遺伝子モデル)が有用なアプローチとなる。 このあとの難しい話はボロが出るので啓蒙書に譲ることにしたいが、要するに、QTLモデルでは、1個の遺伝子の寄与率は0.9%程度というようにきわめて小さいということだ。 私の紀要論文(pdf形式、近々、現行の画像ベースからテクストベースのpdfに変更の予定)に関連づけて言えば、「血液型性格判断」は
この日記でも何度も述べているように、「血液型性格判断」は、 血液型という情報を得ることで、自分あるいは他人の行動傾向を予測することができるかもしれない ことへの有用感、期待感に後押しされて、「信仰」され、テレビでも高い視聴率を得ているところがある。しかし、「実証された」と称して公開されている「調査結果」の大部分は、 ○○という行動傾向は、特定の血液型者で有意に多かった というものであって、条件つき確率の条件が反転している。ベイズの公式を当てはめればすぐに分かることだが、 ●Xをする人はY型に多い という情報を得たからといって、 ●Y型ならばXをするだろう という行動の予測には必ずしも役立たない。この部分への錯覚を指摘しておけば、レベル2の「実用的価値があるほどの顕著な差が見られるのかどうか、という日常生活への応用可能性についての議論」はすでにカタがついていると言ってよいように思う。 ●そんなこと信じても役に立たないばかりか弊害だらけだ さて、話題提供の3番目は、いよいよ、心理学界きっての論客、渡邊芳之氏の登場であった。私も、とっておきの質問を用意してこれに臨んだのだが、結果はいかに? 次回に続く。 |