じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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[今日の写真] なぜか今頃咲くタカサゴユリ。殆ど日が当たらず、北向きの寒い場所なのに、なぜ咲いたんだろう?



1月19日(木)

【ちょっと思ったこと】

個人投資家の生きがい

 1月20日付け朝日新聞に

●騒動で3億円損 みずほ誤発注で20億円トレーダー 27歳無職男性 「これまでは時代よかった」

という見出しの記事があった。

 6年前に株に興味を持ち、お年玉やアルバイトでためていた160万円を元手に株を始め、1月初旬には評価資産は100億を超えているという。昨年末のみずほ証券の誤発注の際にわずか10分ほどで20億円余りを手にしたことで一躍存在が知られるようになった。

 記事では、ライブドア強制捜査後のIT関連株の暴落で3億の評価損を出しているというが、ライブドア株本体や関連会社の株はすでに売り抜けており、19日には新興3市場で過去最大幅の急反発があったことから、殆ど痛手を受けていないのではないか。むしろ、今回のライブドア関連株を売り抜けていたことで、ますますカリスマ性が出てきたとも言える。ひょっとして、タイムマシンで未来からやってきた?

 もっとも記事によれば、御本人はここ数年、株の世界から足を洗うことを考えているという。。
夢のなかでもアメリ力市場のダウ平均株価の動きがでてくるような生活に「つらいだけの毎日」と思っていたからだ。

 株式投資は、時間をかけてデータを分析すれば、けっこう儲かるものだとは思う。 しかし、それに費やす時間的損失ははるかに大きい。

 株式投資に参加する人は何かを生産しているわけではない。儲ける人がいるということは、それと同じ額の損をする人がいるということ(但し、その損は、ずっと後になって確定する場合もあるし、自分自身の中で損益ゼロにおさまる場合もある)。

 努力の質と量に応じて結果が伴うような行動は、どんな種類であっても強化されるものだ。株式投資も、スポーツも、受験勉強もみな同じ。そして、スポーツでは記録更新や勝敗、受験勉強であれば偏差値や順位にこだわれば、同じように数字の虜になっていく。

 まっとうな仕事ばかりでなく、空き巣や振り込め詐欺のような犯罪行為であっても努力の量と質に応じて「成功」率が上がるならば、「やりがい」を感じるようになるはず。

 しかしそれによって、生き物を育てたり、物を作ったり、人のために尽くすような行動をする機会は奪われる。数字だけの虜になって貴重な人生を棒に振る。


【思ったこと】
_60119(木)[心理]医療・看護と福祉のための質的研究セミナー(5)書くことのコツ

 1月15日午後に大阪府立大中百舌鳥キャンパスで行われた

医療・看護と福祉のための質的研究セミナー「あなたにもできる質的研究:着想から投稿までのノウハウを教えます」

の参加感想の5回目。

 今回の基調講演の中で、田垣氏は、書くことのコツについていろいろと伝授された。それらは決して質的研究に限定されるものではない。卒論生や修論生にとって大いに参考になるだろう。なるほどその通りだと思った点をいくつか挙げさせていただくと、まず

●タイトルには「〜に関する一考察」というような冗長な語句は入れない

これは私のところでもすでに指導している。

 次に

●要約では、「〜について検討した」「〜について考察した」などとは書かず、何が分かったのかをしっかり書くことが大切。

という点。「検討した」という表現は種々の学会発表要約でもしばしば見られる。本当は、発表申込みの時点ではまだ結果が出ていないのかもしれない。

 もう1つ、これは質的研究に限定されたコツだが、

●質的研究をする理由を具体的に、先行研究をふまえながら書く

というのも大切なことだと思った。但し、「質的」研究を行うという意味は、単に質的なデータを扱うということではなく、なぜ面接法中心になったのか、行動観察や周囲の環境についても合わせて分析したのか、またそれらをしなかった場合は、なぜしなかったのかについてもちゃんと書くべきだというのが私の考え。

 田垣氏も何度か指摘しておられたと記憶しているが、とにかく「統計的解析は難しいからイヤだ」という理由で質的研究を行うというのでは敗北主義である。

 次回に続く。