じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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露地植えのヒヤシンス。ちょうどセンター試験が終了したところであるが、受験生たちもこの花芽のようにしっかりした花を咲かせてもらいたいものだ。
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【ちょっと思ったこと】
英語リスニングテストのマイナス報道/リスニングテストは必要かという議論 昨日の日記に引き続き、大学入試センター・英語リスニングテストの話題。昨日の日記の趣旨は、 この種の大型プロジェクトが実施された時、新聞やテレビは、トラブルがあった部分だけを過大に取り上げて正義の味方よろしく責任を追及するが、もっとポジティブな面にも目を向けるべきである。でなければ99.923%の成功(21日報道時点)の努力が報われず、誇りを持てなくなる。ということであった。 その後に判明したトラブルとしては
最後の5.のトラブルだが、これはいったいどうしたことだろう? 1台のICプレーヤーの不具合が起こる確率を1/1000であると見積もると、続けて3回不具合になる確率は10億分の1となるが、これはちょっと考えにくい。1回目の不具合で受験生が大パニックを起こし、ICプレーヤーが正常に作動していたにもかかわらず不具合であると勘違いしたのか、機器操作自体に恐怖を感じてしまったのかは不明だが、とにかく、何が原因で4回も受験することになったのか、監督側の対応に問題は無かったのか、事故原因をちゃんと知らせてほしいところだ。 なお、私自身は、リスニングテストのトラブルを限りなくゼロに近づけるための努力については、技術水準の高さを統制のとれた組織力両面において大いに評価すべきだと考えているが、そもそもリスニングテストが必要かどうかという議論に関しては、不要論を唱えてきた(昨年1月21日の日記参照)。 今回の音声問題がこちらに公開されていたので試しにやってみたが、問題自体は別段、ケチをつけるような内容やレベルではない。私が疑問に思うのは、こういう問題を、スクリプトで出題した場合と、音声で出題した場合で、正答率にどれだけ差があるのだろう?という点にある。 例えば、Question No.2は、男性のお客が ●Can you show me that tie with circles under the stripes? というように店員に頼んでおり、こちらに図示された4つのネクタイのうちどれかということが問われている。 この問題に答えられるためには、「tie」、「circles」、「stripes」の意味と、「under」という位置関係を理解できる必要があるが、それらの意味を知らない受験生は、いくら鮮明な音声を聞いても答えられないはず。では、これらの意味を知っていて、音声では聞き取りができなかったという受験生がどれだけ居るのだろうか。もし、リスニングテスト成績が、単語力や文法理解力と100%の相関があるとしたなら、わざわざお金をかけて、また、そのために多くの監督要員をストレスに晒してまでリスニングテストを実施する必要は全く無い。いっぽう、リスニングテストを実施しなければ測れないものが単なる音声識別力であったとすると、そういうことで点数に差をつけることがセンター試験としてふさわしいのかという議論が出てくる。このあたりは大学入試センターでもちゃんと分析しているはずだとは思うが、どうなっているのだろう。 「リスニング能力が大切だからリスニングテストを実施すべきだ」というのは、テストとはどういうものかを知らない人の主張である。テストというのは何かを測り、それをもって差をつける手段なのである。リスニング能力が大切であるとしても、それが別の物差し(例えば、音声を伴わない文字だけのテスト)で十分に測れるのであればわざわざ実施する必要はない。 [※1/23追記] Web日記仲間のKeirohさんからコメントをいただいたので、以下にその一部を転載させていただきます(改行部分等は一部改変)。どうもありがとうございました。 やはり,表面妥当性(と言うまでもなく「英語の音声の試験ですよ,というもっともらしさ」や, 指導への波及効果(と言うまでもなく「リスニングが試験に出るから音声を重視した指導をしなさいよ,という暗黙の指示」)と,そういうところが導入の主な要因かと思っています。 |