じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 1957年8月頃。50年前の東京・文京区・小石川後楽園。岡山の後楽園だったら、四季折々、訪れているが(直近の写真はこちら)、東京の後楽園のほうは、この写真が撮られた時以降、全く訪れた記憶がない。案内サイトによれば「(小石川)後楽園は昭和27年3月、文化財保護法によって特別史跡及び特別名勝に指定されています」ということだから、50年経ってもそんなに景色は変わっていないはずだ。

 写真を見ても、園内の記憶は全く無いが、園の外を、見慣れない赤っぽい電車が通ったことだけは思い出せる。但しそれが、開通まもない丸ノ内線だったのか、オレンジ色の中央線だったのかは不明。そのうち、再訪して確めたいと思っている。

※個人情報保護のため、私以外の登場人物はすべてボカした。


10月6日(土)

【ちょっと思ったこと】

今年の台風は、変わり種揃い

 10月2日にフィリピンの東で発生した台風15号(KROSA)は、一時は「大型で猛烈な」台風に発達し、沖縄県南西地域に暴風と大雨をもたらしたが、台湾に上陸した後は山脈に通せんぼされて行き場を失い、反時計回りに一回転してから再び、北西方向に向かっている(10月7日6時現在)。米軍の予想では、10月11日には岡山に到達する可能性ありとなっているが、果たしてどうなることやら...。

 それにしても今年の台風は、変わり種が多い。

 9月30日の日記で取り上げたように、1つ前に発生した台風14号は風速15m以上の強風圏が半径850kmにも及ぶ「超大型」台風と呼ばれたが、中心気圧は最盛時でも975hPaどまりであった。

 10月7日朝の時点では、15号のほか、16号(ハイエン)と17号(ポードル)が日本のはるか東海上にあるが、16号はごく弱く、また17号は、少し前からあった雲のかたまりが、温帯地域に北上してから「唐突に台風へと昇格」(←デジタル台風から引用)するなど、まことに風変わりである。

 温暖化でまだまだ暑いと思いきや、最新の天気図を見ると、大陸には1042hPaの冬の高気圧があり、モンゴル・ウランバートルでは最低気温がマイナス10度以下となっている。なんだか、わけのわからない天気図だ。

【思ったこと】
_71006(土)[心理]日本心理学会第71回大会(16)“ネガティブ”な要因のポジティブな生かし方(2)

 表記のワークショップの参加感想2回目。

 ワークショップの1番目は、坂本真士氏による

●ネガティブな思考・感情のメリットに関する検討

という話題提供であった。坂本氏はまず。楽天イーグルスの野村監督の「キャッチャーは究極のマイナス思考やないとあかんのや」という言葉を引用された。ここでさっそく疑問が生じたのだが、プロ野球のキャッチャーが最悪の事態を想定しながらプレイをすることは確かであろうが、これはあくまで感情を伴わない予測であって、いちいち落ち込んだりはしていないのではなかろうか。つまり、感情抜きのマイナス思考であって、今回のテーマとは若干意味が異なるように思われる。同じことは囲碁や将棋でも言える。「こういう手を指したら、相手のコマがこう動いて、五手詰めで一巻の終わり」などというように展開を描くのはマイナス思考かもしれないが、それは、局面の展開の1つとして列挙したに過ぎない。いっぽう、胃のバリウム検査で異状が見つかった時に「これは胃癌かもしれない。しかも末期的で、あと半年で死ぬかもしれない」というようなマイナス思考をする時には、不安で頭がいっぱいとなり決して冷静では居られない。今回のテーマは、不安を伴うようなケースに焦点を当てていたのでは無かっただろうか。

 次に坂本氏は、進化心理学の観点から示唆されることとして、精神疾患にも適応的な側面があること、また、悲しみというのは、将来の損失につながる行為を避けようと動機づけるし、泣くことは、他者から共感を引き出し他者との絆を強める効果があることなどを挙げられた。さらに、社会心理学からの示唆として「対処的悲観主義」や「セルフ・ハンディキャッピング」、臨床心理学からの示唆として「トラウマ後の精神的成長」、ことわざでも「勝って兜の緒を締めよ」や「同類相哀れむ」などがあるという事例を挙げ、ネガティブ感情や思考にも適応的で有用で生産的な側面があることを指摘された。

 なお、坂本氏によれば、悲観性と楽観性は、米国では一次元の両極に位置づけられ、また、個人のポジティブな面を見つけてそれを伸ばす文化があるのに対して、日本やアジアでは、別の次元であり、ネガティブな面を見つけそれを変えようとする文化があるという(坂本・田中, 2002、←CiNiiで検索したところ、どうやら、資料 改訂版楽観性尺度(the revised Life Orientation Test)の日本語版の検討、健康心理学研究、15, 59-63.の論文のようだ)。ま、文化差の論議というのは概して決着がつかないケースが多いのだが、米国製の尺度を日本に導入する場合には留意が必要であろう。また、もし、日本人のほうがネガティブ面に目を向けやすいとするなら、お説の通り、そこから適応へのヒントを探すことには情報的価値がある。

 以上拝聴した部分はまことに興味深いものであった。但し、大学生を対象とした自由記述型アンケートをKJ法で分析するという後半の部分については、
  • 人生経験の乏しい大学生たちの回答結果からどこまで発見的な情報が得られるか?
  • 自身の経験に基づいて回答しているのではなく、世間一般で見聞きしたことを機械的に列挙しているだけではないか?
といった疑問が残った。もっと劇的な体験をした人、例えば、中途障害者、犯罪被害者、病気で家族を失った人、会社倒産で仕事を失った人、...などに、こまめに面接調査をしてまとめられたほうが、より生産的な知見が得られるのではないかという気がした。

 次回に続く。