じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 京王遊園地遠足(1957年9月26日)の2回目。アルバムの中に、金網越しに多摩川の土手が写っている写真があった。ウィキペディアの当該項目によれば、遊園地の跡地の一部は「京王テニスクラブとなって現在に至っている。」という。これが正確であれば、50年前の写真はこのあたりである可能性が高い。

 写真下は、現在の多摩川土手(狛江→京王多摩川)の様子。写真の一番下の右下隅のあたりの土手が50年前と同じ場所である可能性が高いが、この写真を撮った時は、そのような記憶は全く蘇らなかった。

 ちなみに、当時のアルバムには、この日は、遊園地で遊んだあと梨園に行ったと書かれてあった。幼稚園児が自分一人では無理なので、たぶん、形だけの「梨もぎ」であったはずだ。



10月10日(水)

【思ったこと】
_71010(水)[心理]日本心理学会第71回大会(19)“ネガティブ”な要因のポジティブな生かし方(5)

 表記のワークショップの参加感想5回目。

 今回、細越氏が紹介されたNorem & Illingworth (1993)の実験は
  • 対象者(対処的悲観者、方略的楽観者)に対して、
  • 最悪な状況や感情をいだかせる(思考促進)か、そういう考えが起こらないように単純課題をさせる(思考阻害)か、という操作を行い、
  • その直後に、暗算課題を実施し作業成績に違いがあるかどうかをみる
  • 合わせて、皮膚電位反応を測定し不安の程度を測る
  • このほか、途中2回、質問紙に回答してもらう
という手順で行われていた。その結果から、
特性不安の高いDP者【対処的悲観者】にとって、重要な課題に対して悲観的に考えるほうが不安を統制し、対処行動を促進し、結果として成功するため機能しうる
ということが示唆されること(配布資料からの引用)、また、特性不安の高い人に対して実際にはどのような介入が可能であるか(問題解決療法の援用が有効?)、DP者の心身の健康についての議論が必要であり、おそらく、適用できるのは健常群の範囲に限られるのは?というのが、今回の結論であったようだ。



 昨日も述べたが、「“ネガティブ”な要因のポジティブに生かす」といっても、上記のようなきわめて短時間の中での「対処行動促進→成功」というケースばかりでなく、もう少し長いスパン、例えば、受験勉強のような1年以上に及ぶ準備行動、さらには、何十年もの人生における「七転八起」もあれば、「人間万事塞翁が馬」と言われるように、何が幸せになり何が不幸になるかは前もっては分からないということもある。少なくとも、坂本真士氏による1番目の話題提供は、上記の実験よりはかなり長いスパンを対象としているように思える。

 もう1つ、今回の話題提供では「不安」がキーワードになっていたようだが、例えば「恥」という概念に置き換えて検討することもできるし、また、10月6日の日記でも述べたように、感情を一切含めずに「最悪の事態を予想する」という行動もアリだとは思う。

 さらに、「対処的悲観者にとって、重要な課題に対して悲観的に考えるほうが対処行動を促進し...」という結論部分については、行動分析学の一部の研究者が提唱している「阻止の随伴性」によっても説明が可能である。要するに、ネガティブな事態というのは、やがて出現するかもしれない「嫌子出現」、もしくは「好子消失」を意味する。そこで、阻止の随伴性、つまり
  • 行動すれば、嫌子出現(もしくは好子消失)を阻止
  • 行動しなければ、やがて嫌子出現(もしくは好子消失)
という随伴性により、対処行動は強化される。具体的には「留年しないように、試験勉強で頑張る」、「生活習慣病にかからないように、日々、ウォーキングに励む」、「地球環境破壊をふせぐため、日々、省エネと再利用につとめる」などなど。こういう「阻止の随伴性」では、やがて生じる変化(嫌子出現、または好子消失)に対する確立操作がきっちりなされることが必要であるが、上記の枠組みの実験で行われているような「最悪な状況や感情をいだかせる」操作は、明らかに確立操作の一翼を担っていると言える。であるならば、その分、阻止の随伴性は有効に働き、対処行動は活性化されるはずである。この、行動分析の見地に立てば、特性不安が高いか低いかということは相対的な差にすぎず、むしろ、どういう形で「阻止の随伴性」を有効に機能させるかが課題となる。私個人としては、そのほうが生産的で、適用可能性が高いように思える。


 次回に続く。