じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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2008年版・岡山大学構内の紅葉(13)黄色い楷の木
本部棟前にある黄色い楷の木。楷の木というと、閑谷学校の赤と黄色のペアが有名だが、私の知る限り、岡山大学構内にある楷の木の大樹(農学部前と図書館前)は赤い色に紅葉するタイプばかり。この写真にある黄色い楷の木はあとになってから植えられた若い樹であるが、年々見事に黄葉するようになってきた。 [※11/12追記] 11月12日の昼に撮影した写真がよく撮れていたので、差し替えておきます。 |
【思ったこと】 _81111(火)[心理]日本心理学会第72回大会(39)well-beingを目指す社会心理学の役割と課題(9)Well-beingとソーシャルスキル(2) well-beingとソーシャルスキルの関係をあきらかにするために という話題提供についての感想・メモの続き。 昨日も述べたように、ソーシャルスキルは少なくともストレスモデルの中では重要な位置を占めている。しかし、本題のwell-beingとはどういう関係にあるのだろうか。このことに関して、相川氏は、PsycINFOで「social skills」や「well-being」を文献検索した結果を紹介しておられた。査読付きジャーナルに限って言えば、これら2つのキーワードを共に含む文献は79件であって、「social skills」のみをキーワードとした時の3731件に比べるとかなり少ないことが分かる(1998年8月〜2008年7月)。また、それら2つを含む論文は、どちらかというと、精神障害、発達障害、青少年期の怒りのコントロールなど病院・臨床系に関するものが多いということであった。 「social skills」と「Psychological well-being」を扱った論文としては、「Personality and Individual differences」誌に掲載されたSergin & Taylor(2007)があるという。その中では、Psychological well-beingとして、「Life satisfaction」、「Environmental masutery(←自分を取りまいている状況をどれだけコントロールできるか)」、「Self-efficacy」、「Hope」、「Happines in life」、「Quality of life」の6つが挙げられており(すべて質問紙で調査)、これらとソーシャルスキル(Riggio,1986のSocial Skills Inventory使用)、及び、Positive relationships with others(Ryffのscale使用)との関係が分析された。その結果、「social skills」は「Psychological well-being」を規定しており、Positive relationships with othersが両者を媒介していることが明らかになったという【配付資料からの要約引用】。 上記の結果を少々乱暴な形で言い切ってしまえば、要するに、ソーシャルスキルに長けていて対人関係がうまくいっている人は、そうでない人に比べると心理的な充実感が高いということになるのだろう。もっともこれは、対人関係がうまく言っていないと「Psychological well-being」が損なわれるというネガティブな影響が反映しただけかもしれない。良好な対人関係が「Psychological well-being」を作り出すかどうかについては、一概には言えないように思われる。あくまでフィクションであるが、例えば、無人島で長期間にわたり単身生活をしていたロビンソンクルーソーであってもそれなりの「Psychological well-being」はあったはず。自分から隠遁生活を選ぶ人の場合であればなおさらであろう。そもそも隠遁生活を志向する人の「Psychological well-being」は「Life satisfaction」、「Environmental masutery」、「Self-efficacy」、「Hope」、「Happines in life」、「Quality of life」の6要素で測れるかどうかも疑わしく、測り方に妥当性が無ければエビデンスも得られないのが当然であるとも言える。 話題提供者ご自身も言及しておられたが、これからの課題は、「なぜ、あることをするとwell-beingが達成できるのか」を明確にし、その過程に関与するソーシャルスキルを明確にするモデルづくりが求められる。 このほか、相川氏は、第二の課題として、ソーシャルスキルには、直接効果(他者との良好な関係自体がwell-beingをもたらすという効果)と、間接効果(他者との良好な関係が第三者に影響を与え、その間接効果がwell-beingをもたらす)を挙げておられた。例えになるかどうかは分からないが、例えば、夫婦が仲が良いことは2人にとって直接的なwell-beingをもたらす。これが直接効果である。いっぽう、夫婦が仲が良いか悪いかは、同居する他の家族やご近所にも影響を及ぼす(←夫婦喧嘩が多いと家の中も殺伐とした雰囲気となり、ご近所からも敬遠される)。これが間接効果であろう。 相川氏はさらに第三の課題として、ソーシャルスキルトレーニングは、認知、感情、行動の3側面を高めるために行うというような話をしておられた。配付資料から引用させていただくと、
次回に続く。 |