じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2011年版・岡山大学構内でお花見(61)アオギリの花。

 大学構内各所でアオギリの花が見頃を迎えている。ナンキンハゼの花と同様、地味な花であるが、猛暑の中では涼しげに見える。

 なお、昨年7月8日掲載のアオギリは、その後、大規模に剪定されたため、今年は花が少ない(つけていない?)模様。

※7月15日夕刻に、ツクツクホウシとアブラゼミの初鳴きを確認。

7月15日(金)

【思ったこと】
_b0715(金)川口淳一郎 高い塔から水平線を見渡せ!(4)「対処不可能な不幸」を知る装置は要らない

 昨日の日記の続き。

 放送第三回目は、

●第3回 技術革新をプロデュースする

という内容であった。

 番組の最初のほうでは、探査機の軽量化のために、アンテナを固定したり、サンプルを採取できたかどうかを確認するセンサーを取り付けないという措置が施された理由が取り上げられた。とにかく、資源が限られ、時間に追われている中では、ベストの状態を揃えることはできない。何を捨てるのかという、優先度を判断していくための思い切りの発想が大いに参考になった。

 まず、アンテナ固定についてだが、従来の探査機ではアンテナは可動型になっていたという。しかし、はやぶさのミッションでは、実際にアンテナを使うのは、小惑星到達時だけであり、わざわざ動かさなくても地球方向にアンテナが向くように姿勢制御をすればよいというのが固定化の理由であると理解した。

 また、センサーはつけなかった理由は、サンプルが採れなかったことがセンサーにより分かったとしても何もできない、要するに、センサーは不幸を知る装置にすぎない、であるなら、サンプルを採る努力をすればそれでよいはず、というのが取り付けなかった理由であるようだ。

 いずれの場合も、探査機の重量制限が無ければ取り付けておいたほうが確実であるし、技術立証の項目を増やすことにもなる。しかし、それがかなわない場合は、
その結果を知っても何もすることができないだけの情報はあっても仕方が無い。対処する方法が無いものとあるもので必要の高さを変える。
という視点が必要であるというようなお話であった。

 不幸を知る装置というのは、我々の日常世界でもたくさんある。例えば、癌検診や精密検査はしばしば不幸を知る装置となってしまう。但し、癌の場合は、早期発見すれば治る可能性もあるので「対処不可能な装置」というわけではない。また、万が一、治療不可能な癌であったとしても、自分の余命を知ることで身辺整理ができるというメリットはあるかもしれない。

 「来年の春に、大型の小惑星が地球に衝突し、地球生命は滅亡するだろう」などという情報も「不幸を知る装置」の一種とは言える。そういう情報が確実であると分かれば、2年先までかかりそうな建設計画、農地整備、防災対策などはすべて取りやめ、多くの人は刹那的にエックスデーまで過ごそうとするし、ある人はその日に供えて身辺整理をし、修行を積んで覚悟を決めるという日々を送るかもしれない。そのことと、何の前触れもなく突然地球生命が滅亡する場合と、どちらが、エックスデーまでの日々を充実して過ごせるのか、考える余地はあると思う。

 一般的に、少しでも早く情報を手に入れたいと思うのが心情であろうが、資源が限られた中での優先度を決める際には、利用可能・対処可能な情報だけを入手できるようにしておいたほうが結果的に成功確率を高める効果をもたらす。


 次回に続く。