じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大構内で「偽太陽」を楽しむ。

 10月20日(木)の夕刻は、授業や長時間会議の予定の無い日であったので、久しぶりに、日の入り前の17時すぎに家に戻ることにした。この日はよく晴れており、西南西の方向からの夕日が、建物の窓ガラスや反射鏡などに当たって、「偽太陽」を出現させていた。なお、写真一番下にある2つの光点のうち左側だけは、ホンモノの太陽である。

 夕日の反射光は、晴れの日であれば一年中、どこかの方向に見えているはずだが、この時期は特に目にとまりやすい。原因は、岡大構内の殆どの建物が、東西南北の方向にきっちり合わせて建てられているためではないかと思う。つまり、
  • 太陽が真西に沈む頃や、それより北側に沈む夏場は、南側のガラス面が夕日を反射させることは無い。
  • この時期になると、太陽が西南西の方向に沈むため、東西方向の道路を通るとき、ガラス面の東南東側に立つとピッタリと「偽太陽」が見えるのである。
  • この先冬至に向かうと、太陽はさらに南寄りに沈むことになるが、今度は、東西方向の街路樹に遮られて夕日が射し込まなくなる。加えて、日の入り時刻が早くなりすぎて、帰宅時に眺めることはできない。
というのが、この時期に「偽太陽」が目立つ理由である。春分の日の1ヶ月前の2月下旬にも同じような現象が見られるはずだ。また、夏至の1ヶ月前と1ヶ月後あたりでは、北側のガラス窓に夕日が反射して、別のアングルの「偽太陽」が出現するはず。

10月20日(木)

【思ったこと】
_b1020(木)大正の詩人・金子みすゞの秘密

 夕食時に、録画しておいた、10月19日(水)放送の

NHK 歴史秘話ヒストリア 愛と悲しみの“こだまでしょうか”〜大正の詩人・金子みすゞの秘密〜

を視た。

 私自身は、詩歌には殆ど関心がなく、金子みすゞの「こだまでしょうか」詩は、「行為の意味」の宮沢章二と同時期、ACジャパンのCMで初めて知った次第である。ちなみに、「こだまでしょうか」は大震災以降に頻繁に放送されていたが、2011年度ではなく、2010年の作品リストに加えられていた。

 その後、ネットで関連サイトを検索したところ、こちらに、今回の番組以上に詳しい解説があり、たいへん勉強になった。ちなみに、リンク先のサイトからURLの一部を削ってトップに移行したところ、このサイトの開設者は橋本裕さんという高校の数学の先生であり、文学や哲学にも造詣の深い方であることが分かった。しかし、まことに残念なことに、2008年3月12日に急性心不全のため急逝されたことが、ご当人の日記の最後のところに、娘さんによって書き込まれていた。ちなみに、金子みすゞがカルチモンを飲み自殺を遂げたのは3月10日であった。大震災が3月11日、そしてその翌日の12日が、当該サイト開設者のご命日であるというのは、何かの縁であろうか。

 さて、金子みすゞの詩というと、『お魚』の詩の中の「ほんとに魚はかはいさう。」、『大漁』の中の「海のなかでは 何万の鰮のとむらいするだろう」のように、人間中心の視点を切り替えるという点に大きな特徴があるように見える。これは映画『アイ・アム・レジェンド』のAlternate Ending(10月14日の日記参照)、あるいは関連作品と共通しているが、金子みすゞの詩のほうがずっと以前に創られていたことに留意する必要がある。このほか、NHK「みんなのうた」でも放送された『私と小鳥と鈴と』のように「みんなちがって、みんないい。」という多様性尊重の視点もまた共感できる。

 なお、金子みすゞの代表作品は金子みすゞ記念館の中からリンクされているみすゞギャラリーで、イラストつきで閲覧できる。イラスト付きでイメージが固定されてしまうという危惧もあるが、なかなかすばらしいギャラリーだと思う。