じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 文学部耐震改修工事もいよいよ完成に近づき、未着工エリア(二期工事エリア)から内装の様子を覗くことができるようになった。写真上は、来年度から使用できる3階の行動科学エリア。但し、写真左隅に未着工部分が写っているように、行動科学専修コースのうち、心理学と地理学以外は、まだまだ一般教育棟のほうに研究室が残ることになっており、移転は来年4月になる見込み。

 写真下は、工事前に撮影した廊下内の様子。但し、こちらのほうは、3階ではなくて、心理学や日本語学の旧研究室があった2階の写真。

3月19日(月)

【思ったこと】
_c0319(月)心理学教育の目標設定の再検討(2)

 昨日の続き。

 荒川氏は、企画趣旨説明の中で、日本の大学の心理学専攻カリキュラムの中で実験演習が根幹となった経緯について、
  • 1888年の元良勇次郎講師の「精神物理学」講義が、最初の一回を覗いてあとは、圧迫覚や視覚的聴覚的幻像についての実験ばかりであったこと(大瀬, 1913; 谷本, 1897)
  • 1901年には、松本亦太郎講師による「実験演習」が開始されたこと
や、帝国大学令、専門学校令、大学令などを経て、私立学校における心理学専攻においても、その設立の目的が教育から研究へと転換し、「研究上必要ナル設備」として実験室が設置されることになった経緯について言及された。

 荒川氏はまた、アメリカの大学において、どのような教育が行われてきたのかについて、古典の暗記と道徳哲学を主体としたリベラルアーツ、実益性、研究、教養、大学院大学を目ざしたジョンズ・ホプキンス大学、1880年代のハーバードにおける自由選択導入などの過程(ネットで検索したところ、こちらに関連資料あり)についても言及された。

 なお、大学教育の変遷については、かつて全学のFD委員長を仰せつかっていた頃に、種々の研究会やフォーラムに出席させていただいたことがある(こちらに参加報告のリストあり)。その中でも特に関係が深いのは2000年7月9日の記事にも記した、有馬先生(元東大総長、元文部大臣)による「教養部、2回の失敗」の話題であろう。とにもかくにも、日本の大学教育改革を考えるにあたっては、「アメリカではの守」は駄目であり、日本における大学進学率、中高教育の水準、そして国家百年の大計に十分に配慮しながら、その中での心理学教育のあり方を検討していくことが必要である。

次回に続く。