じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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§§ 2012年版・岡山大学構内でお花見(14)チューリップと金星

 4月16日付けの楽天版に「チューリップと夕焼け」の写真を掲載したが、同じ日の夜には、同じ場所でチューリップと金星のコラボを眺めることができた。金星の明るさはマイナス4.5等、4月30日には最大光度、その後、地球と太陽の間の軌道を地球を追い越すように周り、6月6日には日面通過という珍しい現象を起こす。6月6日の次に起こる日面通過は2117年12月11日ということなので、いま生きている人の99%以上にとってはこれが人生最後の日面通過観測チャンスとなる。

 ※岡山大学構内の花だよりのアルバム(追記更新型)をLife-Xに公開中です。随時追加していきますので、時たま覗いていただければ光栄です。



4月16日(月)

【思ったこと】
_c0416(月)第17回人間行動分析研究会(18)価値を測る:マッチング関数・割引関数・需要関数(9)行動経済学(2)

 昨日の続き。

 話題提供ではHursh(1980)の論文紹介に続き、2つの経済環境(封鎖経済環境と開放経済環境)の区別について言及された。給餌が実験セッションに限られるか、実験セッション以外でも給餌が行われるかということで、動物実験場面では重要な区別である。

 次に紹介されたのは、需要分析(demand analysis)に関する話題であり、経済学で言うところの需要曲線は、行動分析学的には
  • 需要(消費量):反応数から得られる強化子の送料
  • 価格:コスト(労力、時間)→行動科学、単位価格
さらに、価格については
  • 行動価格:1強化子を得るのに必要な反応コスト
  • 単位価格:反応コストと強化量の比(反応数÷強化量)
というように翻訳できる。ここで、反応数と強化量は等価か?という問題が生じ、強化量の主観的価値(効用)を検討する研究が生まれた。

 ここまでのところで思ったこととしては、現実社会での需要や価格は、ここで論じられているような形で決まるものでは必ずしもなく、最近では商品の先物取引など翻弄されて、まっとうな需給や労働が正当に評価されにくくなっているという点である。ま、それはそれとして、行動経済学が実験的行動分析に与えた影響はきわめて大きいが、実験的行動分析が行動経済学の発展にどのように寄与したのかについてはよく分からないところもある。

なお、このあたりの話題は、伊藤先生が編集にあたられた『行動分析学研究』の2001年特集号:『行動経済学の現在』行動分析学研究, 16(2)の冒頭の論文:

行動経済学は行動研究にどのような貢献をなしたのか : 行動経済学特集にあたって(<特集>行動経済学の現在)

にまとめられている模様である(刊行は2002年3月)。

 次回に続く。