じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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楽天版(6/6付)に記したように、6月6日の岡山は、朝方は快晴、その後も毎時0.9〜1.0時間の日照があり、金星の太陽面通過(日面通過)の様子を何度も観察することができた。 理学部前では、写真のような観察会が行われており、反射望遠鏡投影と、国立天文台・岡山天体物理観測所によるインターネット中継の様子が展示されていた。写真左側は午前9時40分頃、写真右側は12時過ぎの様子。 金星の太陽面通過を実際に見たのは今回が初めて(2004年6月8日の時は一日中曇っていて見えず)であった。金星は思っていたより大きく見えた。太陽系の惑星の運行を実感できる一日であった。 |
【思ったこと】 _c0606(水)金星の太陽面通過と行動分析学(1)なぜ習得性好子なのか? 楽天版(6/6付)や上の写真紹介に記したように、6月6日の岡山はよく晴れて、金星の太陽面通過の様子を何度も観察することができた。もっとも、私自身は、10時25分〜11時55分までが「行動分析学概論」の授業、さらに13時からは会議があり、一部始終を眺めたわけではなかった。 最小角距離となった10時30分頃はちょうど授業を始めたばかりであったが、せっかくの機会なので、5分間ほど「金星の太陽面通過」はどういう点で行動分析学の研究対象になりうるかというような話をさせていただいた。 まず、この現象は明らかに習得性好子である。よって、人によっては何の興味を示さない人もいるし、私のように、50年前からこの日が来ることを楽しみにしていた天文ファン(2004年6月8日の日記参照)も少なくなかったように思われる。 では、この現象はいかにして習得性好子になりうるのかという点である。同じ天文現象の中でも、皆既日食などの場合は、皆既食開始の瞬間に美しいコロナが出現したり、空の大部分が真っ暗になって水星や金星が現れるといった劇的な変化が起こる。そのこと自体が好子になっていることは間違いなく、一部のマニアの方々は、かなりの旅行費用をつぎこんで皆既日食が起こるたびに観測地まで出かける。巨大彗星、流星雨、オーロラ、あるいは今年の8月に起こる金星食なども、景色そのものの美しさが好子になっているのではないかと思う。 これに対して、今回の太陽面通過は、自分の目で直接見られないばかりでなく、反射板の投影像やモニター画面に映し出された映像いずれも、太陽の丸い円盤の上に小さな黒い点が見えているだけで、感動を与えてくれるような景色とは言い難い。しかも、その気になれば、日頃見えている太陽の画像に、黒丸のシールを貼れば全く同じ景色が再現できる。それにも関わらず、なぜ、6月6日にぜひとも観察したいという人が出てくるのだろうか。 1つは出来事の稀少性であろう。ウィキペディアの当該項目にも記されているように、この現象は1600年以降2100年代までの約500年のうちに10回しか出現しない。
金星の日面通過は非常に稀な現象である。近年では、日面通過が起きる間隔には243年の周期がある。8年をおいて2回対になって起きた後、121.5年と105.5年の長い空白期間がある。となっていて、20世紀初頭に生まれた人たちは100歳以上長生きしなければ眺めることができなかった。とにかく、そういう現象が起こっている時、同じ太陽の光を浴びながらその場に立つということは稀少な直接体験になる。 そのほか、ネット中継でもよいから、とにかくリアルタイムにその様子を眺めていると、太陽系における惑星運行を実感できる可能性がある。じっさい私などもそういう印象を持った。 次回に続く。 |