じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山県岡山では7月2日の午後から、大気の不安定な状態のもとで、雷を伴って断続的に強い雨が降った。但し、強い雨は短時間に限られていたため、7月3日06時までの積算雨量は22.5ミリにとどまっている。

 写真は、この日の夕方の岡山タワー(長谷川が勝手に命名。正式には、「OHK岡山放送・本社屋上電波塔」)。ファジアーノ岡山の試合が行われていたため赤色にライトアップされていた。次回の試合は7月7日に行われるそうで、七夕の空もこのように赤く染まることになるのだろう。


2013年07月3日(水)

【思ったこと】
130703(水)岡大敷地内喫煙ゼロをめざす安全衛生委員活動その後(6)学生から寄せられた質問に答える(5)「モラル向上」に代わる方策(1)ゴールデンルールとデポジット制

 昨日の日記で、敷地内での違反喫煙・吸い殻ポイ捨て、迷惑駐輪、ペットボトルやジュースパックのポイ捨てなどは、「モラル向上」運動では決して改善できないと説いた。但し、その時にもおことわりしたように、だからといって家庭内での「モラル」を身につけさせるためのしつけや、学校での公衆道徳教育が無意味だと言っているわけではない。こうした道徳教育は、ゴールデンルール(黄金律、Golden Rule)に根ざしているものと思われる。ウィキペディアの当該項目には、
  • イエス・キリスト
    「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」(『マタイによる福音書』7章12節)
  • 孔子
    「己の欲せざるところ、他に施すことなかれ」(『論語』巻第八衛霊公第十五 二十四)
  • ユダヤ教
    「あなたにとって好ましくないことをあなたの隣人に対してするな。」(ダビデの末裔を称したファリサイ派のラビ、ヒルレルの言葉)、「自分が嫌なことは、ほかのだれにもしてはならない」(『トビト記』4章15節)
  • ヒンドゥー教
    「人が他人からしてもらいたくないと思ういかなることも他人にしてはいけない」(『マハーバーラタ』5:15:17)
  • イスラム教
    「自分が人から危害を受けたくなければ、誰にも危害を加えないことである。」(ムハンマドの遺言)
というように、いずれの宗教においても「人にしてもらいたいことをしなさい。人にしてほしくないことはするな。」という点で共通している。このゴールデンルールをしっかり身につけている人であれば、敷地内での違反喫煙・吸い殻ポイ捨て、迷惑駐輪、ペットボトルやジュースパックのポイ捨てなどの迷惑行為をすることは決してない。なお、ゴールデンルールについては

Karen Armstrong: Let's revive the Golden Rule.

というTEDのプレゼンがあり、ぜひとも聞いていただきたい。

 さて、昨日も述べたように、我々は、
  1. 最初からしっかりとしたモラルを身につけている人たち
  2. モラル向上の教育や働きかけをすることで、モラルを大切にするようになった人たち
  3. いかなる教育や働きかけをしても、相変わらず、傍若無人に振る舞う人たち
という3つのタイプの人たちがいるという現実を受け入れなければならない。1.や2.の比率を増やすことは大切だが、1.や2.だけですべてを解決することは不可能。いろいろな宗教が同じようなルールを根幹に置くのは、けっきょく、それを守れない人が居るからである。そういう宗教が何百年、何千年と続いてきても100%の改善が見られないというのは、人に迷惑を及ぼすような利己的行動が別の形で強化されているからである。吸い殻やゴミのポイ捨ては、ゴミという嫌子を消失させる手っ取り早い手段であり【嫌子消失の随伴性による強化】、また、迷惑駐輪は、その場所に自転車を駐めると歩く時間が少なくて済む【←早く目的地に着くということは、くたびれるという嫌子出現を阻止する随伴性によって強化されると考えられる】などの利点があるからにほかならない。残念ながら、ゴールデンルールは、生物としての人間の基本原理ではない。いっぽう、問題行動を強化する随伴性の原理は、人間の行動を支配する基本原理であるがゆえに、いくら人為的に修正を加えようとしても(←他の強化随伴性や弱化随伴性を人為的に付加しようとしても)限界がある。




 ではどうすればよいのか。ゴミのポイ捨てに関して言えば、行動随伴性の原理を応用して、ポイ捨てと競合するような別の行動を強化したり、ゴミ箱を増やして、適切なゴミ廃棄行動を強化することが肝要である。

 まずは、好子消失阻止の随伴性による回収行動の強化である。実際に導入されている最も効果的なやり方はデポジット制である。例えば自販機でコーヒーや清涼飲料水を紙コップで提供するさいに、あらかじめ10円程度を上乗せしておき、そのコップを所定の回収機に投入すると10円玉がバックされるというような仕組みである。このシステムは岡大生協でも実施されている。同じようなシステムは、その気になれば、コンビニでも導入可能である。例えば、ジュースパック、おにぎり、サンドウィッチなどの包装紙にその店のシールを貼っておき、シールつきの包装紙をふたたびコンビニに持ち込んだ時には、1枚につき10円の割引券を提供すればいい。お店のほうでも、割引券提供によってお客をつなぎとめることができるので決して損にはならないはずだ。

 じつは、吸い殻ポイ捨て防止にも同じシステムは導入可能である。タバコの値段に1本あたり10円を上乗せしておき、吸い殻をコンビニに持ち込んだ場合は、1本につき10円の割引券を提供するというやり方である。中には、タバコを吸わない人が道端にポイ捨てされている吸い殻を拾って持ち込むこともあるかもしれないが、それはそれで街角の美化につながるから悪くはないだろう。また、禁煙推奨という観点から言えば、吸い殻と引き替えられる割引券は「タバコの購入には使えません」という制限をつけるとよいだろう。

 もっとも、上記のやり方では、吸い殻ポイ捨ては減るが、敷地内の違反喫煙を減らすことはできない。さらに、喫煙率を減らすという健康増進の目的も達成できない。次回以降に、ゴミ箱増設と灰皿増設問題に関して述べる予定であるが、それらを含めて、吸い殻ポイ捨て防止と、敷地内喫煙防止の対策は、分けて考えるべきであるというのが私の持論である。

 次回に続く。