じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 130708(月)クローズアップ現代:数字のカラクリとビッグデータのちぐはぐさ 他の話題を取り上げていたために遅くなってしまったが、7月3日放送の NHKクローズアップ現代:数字のカラクリ・データの真実 〜統計学ブームのヒミツ〜 について、備忘録代わりにコメントさせていただく。ちなみに、最近では、クローズアップ現代は「放送した内容すべてテキストでご覧いただけます」という「放送まるごとチェック!」があるため、いちいち録画再生しなくても済むようになってまことにありがたい。今回の内容は、こちらから全文を閲覧することができる。 さて、番組記録サイトにもあるように、この日の話題は、 今、統計学がブームを巻き起こしている。出版界では入門書が5か月で26万部の大ヒット。都心の書店では統計学コーナーまで設置され、公開講座にはビジネスマンを中心とした受講生が殺到。そして、統計学を使いこなす「データサイエンティスト」と呼ばれる専門職は「最もセクシーな(魅力的な)職業」だとして、多くの企業から引く手あまたの状況だ。一体、人々は何を統計学に求めるのか。【以下略】となっていて、「ビッグデータをどう扱うのか」や「データサイエンティストがなぜ求められているのか」を紹介することが目的であったようだ。 しかし、番組冒頭では、 というクイズが紹介された。うーむ、これって、統計学というより、クリティカルシンキングのネタじゃないのかなあ。 上掲と似たような問題としては、DHMO(ジハイドロジェン・モノキサイド)とは何かというクイズがある【いくつかバリエーションがあり、下記はその1つ。】
であるからして、昨今ブームと言われる統計学の入門書を読んだところで、あるいは、「データサイエンティスト」の仕事内容を知ったところで、騙されることが無くなるようになるとは思えない。こういうものに騙されなくなるには、まずは、クリティカルシンキングの入門書を読むべきだと思う。 番組では続いて、
その次の話題は、プロ野球でボールがひそかに変えられ、ホームランの数が増えたという、統一球問題をカイ二乗検定で検証しようというような話題、さらにはスタジオで紹介された、「日本人の1世帯あたりの貯蓄額の平均値が1664万円」というような話題。このあたりは統計学の基礎の話題とも言えるが、うーむ、ここまで来ても、番組後半の話題には繋がらないように思えた。 でもって、後半はデータサイエンティストの話題ということになるわけだが、番組では、それらの手法が世の中に役立つというスタンスで肯定的に紹介されていたように思う。しかし、2008年9月のリーマンショックにしても、サブプライムに関わる数理モデルの応用に想定外の事態が発生したことが原因ではなかったかなあ。ビッグデータの適切な処理が、効率的な宣伝活動、集客などに役立つことは示唆されていたが、もう少し、世のため、人のためになりそうな応用事例を紹介してもらえるとよかった(←そんなの、儲からない?)。 ま、どっちにしても、私なんぞは、おおぜいの人たちが関心をむけるような話題には殆ど興味が無く、人混みも嫌い、コマーシャルも大嫌い、ということで、どうせ、ビッグデータの外れ値となってしまうのだろう。ま、私自身は除外されるとしても、個々人を大切にしてほしいということは譲れないところだ。ビッグデータの利用が進めば進むほど、個々人の個性や、個人の世界の中でも意味づけのようなものが大切になってくるかもしれない。 |