じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
秋分の日が近づき、真東に近い方向からの日の出が見られるようになった。というか、太陽が少し昇った時点で真東の方向に達するのは、むしろこの時期である(真東より北寄りから出た太陽が右斜めの方向に昇っていくため)。この日はちょうど、東西方向のイチョウ並木のいちばん奥からの太陽を眺めることができた。 |
【思ったこと】 130918(水)高齢者における選択のパラドックス〜「選択の技術」は高齢者にも通用するか?(23)選択と後悔(17)後悔の事前回避(3)埋没費用の後悔を避ける 昨日の続き。 後悔が起こりそうな事態に接した時に事前回避をするための事例として次に紹介されたのは、埋没費用(sunk cost)であった。この話題は第3章で一度取り上げられている。また、ウィキペディアでも、
このほか、ギャンブルで、負け続けていた人が、それまでの損失を一気に取り返そうとして全財産をつぎ込んでしまうような行動に出ることも埋没費用に囚われている例と言える。宝くじを買い続けている人もそういうところがあるのではないだろうか。 なお、第3章にもあったが、映画館の入口で、1000円の前売り券を紛失していることに気づいた場合と、(まだ前売り券は買っておらず)ポケットにいれておいた1000円札を紛失していたことに気づいた場合では対応は異なる。前者では、チケット紛失は、映画鑑賞予算という枠内での損失であるので、埋没費用として計上されやすい。いっぽう、後者の場合は、「その他一般の予算」の上での損失になるので、埋没費用としては意識されにくい。映画館の前でもあっさりと、「きょうは映画はやめて、ぶらぶら散策して帰ろうか」という気になるかもしれない。 あと、埋没費用とは直接関係ないが、長年引きこもりを続けているような人に対しては、「引きこもりは将来に悪い影響を及ぼす」とネガティブに諭すのではなく、「引きこもりも人生の上で1つの良い体験になる。これをバネにしてもう一度、外の世界に羽ばたいてみよう」と呼びかけたほうが有効である。なぜなら、引きこもりをネガティブにこき下ろすほど、当人は、自分の過去を失敗であったと受け止めて後悔をするようになる。いっぽう、それを1つの良い体験になると解釈すれば、後悔は1つも無くなり、前向き、積極的に将来に向かって進めるようになる。 敷地内禁煙と並行して取り組まれている禁煙外来なども、本当は、ただ喫煙はからだに良くない、早くやめればやめるほど健康被害をくい止められる(←医学的にはそれが正しいのだろうが)などと呼びかけるだけでなく、もう少し、後悔をさせないような形でサポートしていったほうが当人にとっては有効になるように思う。すなわち、ホントかウソかは別として(←どうみても非常にウソっぽいが)、 タバコを吸い続ける人は早死にする。タバコを全く吸わない人は長生きする。タバコを吸っていて止めた人は、さらに長生きできる。というような形で喫煙者に禁煙を勧めれば、もっと早く禁煙ができるようになるかもしれない。なぜなら、「これまでの喫煙は悪いことではなく、しかも、今ここで止めれば、さらに長生きできる」と説得すれば、当人は過去を全く後悔せずむしろ得をした気分になれるからである。 次回に続く。 |