じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 2013年度の岡山大学ホームカミングデーが10月19日(土)に開催される。18日(金)には本部棟の前で会場設営が行われていた。なお、10月19日当日は、朝方9時台と21時過ぎからが雨の予報となっているが、日中は小雨程度でおさまる見込み。


2013年10月18日(金)

【思ったこと】
131018(金)高齢者における選択のパラドックス〜「選択の技術」は高齢者にも通用するか?(33)選択を階層的に捉える(3)

 昨日の日記では、選択を階層的に捉える方法の限界や留意点について述べた。しかし、この方法のメリットには、その限界を補って余りあるものがある。少なくとも、「Aを選ぶか、Bを選ぶか」というような二者択一型、平板型の捉え方に比べると、選択の結果として生じる後悔のメカニズムやその解消を明らかにすることができるように思われる。
 例えば、3日間の休暇を利用して2泊3日の旅行に出かけるとする。そのさいの最初の選択は、
  • 旅行に出かける
  • 家の中で過ごす
  • 近くの公共施設に出かけて2日間の教養講座を聴講する
  • 貸し農園で農作業をする
といったいくつかの選択肢の1つとして選ばれたことになる。

 次に旅行先として、
  • 旅行に出かける
    • 信州
    • 九州
  • その他の行動
の2つの候補が挙がったとする。これは、旅行に出かけるという選択の下の階層に位置づけられる。ところが、2つの候補は行き先が異なるだけでなくて、信州方面の場合は自分で車を運転、九州のほうはバスツアーだったということもある。そうすると、
  • 信州に旅行する
    • 宿泊施設を自分で予約する
    • 車の整備をする
    • ルートを確認する
  • 九州に旅行する
    • バスツアーに予約する
    • スーツケースに旅行用品を詰める
    • バスツアーの待合場所に出かける
というように、ここで行われる選択は、旅行の行き先の選択ばかりでなく、下位にいろいろな行動を含んだ入れ子構造になっていることが分かる。そして、さらにその下位の選択として、(自分で予約する場合は)どのホテルに泊まるか、(ツアーに参加する場合は)どの会社のツアーを選ぶか、というように種々の選択機会が発生する。

 要するに、選択肢の数というのは、並列的に多いか少ないかではなくて、「大きな選択」とその下層の選択というように入れ子型に構成されているのであって、単純に選択肢を減らせばいいとか、その選択について追求者型や満足者型の比較をしていくというものではないのである。

 でもって、最終的にその旅行がつまらなかった時には後悔することになるが、階層型に捉えておけば、どの部分での選択が失敗に繋がったのかをより冷静に分析することができる。例えば、大渋滞に巻き込まれて失敗したのか、車が故障して失敗したのか、ツアーのサービスが悪くて不愉快な思いをしたのか、などによって、次の機会があったときの選択を改善することができる。階層的な捉え方をしていないと、「もう旅行は懲り懲りだ」という短絡的な評価に終わってしまうだろう。

 次回に続く。