じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 本部棟南東にある六高菊桜。ここにあるのは三代目だが、枯れた枝もあって活気が見られない。日当たりが悪いことと、土壌のせいではないかと思われる。過去記録が↓にあり。



2014年4月19日(土)

【思ったこと】
140419(土)長谷川版「行動分析学入門」第2回(4)行動、刺激を暫定的にどう定義するか(4)行動の暫定的定義(3)死人テスト

 行動と「行動モドキ」を区別する重要な判別基準として、行動分析学では「死人テスト」という考え方が重視されています。(←但し、すべての行動分析学者がこの考え方をしているわけでもありません。念のため。)

 「死人テスト」というのは、「行動」と「行動モドキ(日常生活で「行動」として扱われたり、動詞表現が存在しているが、行動分析学では行動の対象としないもの)」を区別するきわめてシンプルかつ明快な基準です。
死人でもできることは行動ではない。
If a dead man【person】 can do it, it isn’t behavior. If a dead man【person】 can’t do it, then it is behavior.
この考え方は、1965年にOgden Lindsleyによって提唱されたと言われています【杉山(1998)からの孫引き】。

 「死人テスト」をクリアできない代表的な「行動モドキ」は、受け身形と否定形です。
  • 受身「される」は行動ではない→殴られる、叱られる、崖から落ちる(飛び降りるのは行動)
  • 否定「〜しない」は行動ではない→学校に行かない、勉強しない、喋らない、じっとして動かない
 「死人テスト」を採用することのメリットは、問題となる行動現象を能動的な行動に置き換えて考えられること、また能動的な行動こそが真の改善につながるという点にあります。

 例えば、不登校の問題は「学校に行かない」という否定形で考えていると、学校に行かない理由探しばかりに終始してしまいます。改善をはかるためには、「学校に行く」という行動がなぜ生じないのか、「学校に行く」を支援するためにどういう手立てが必要なのかを考えることにあります。

 「学校に行かない」の変形として「定刻まで学校に行けない」つまり遅刻問題があります。「定刻まで学校に行けない」ことは死人でもできる否定形なので行動とは言えません。この問題は「定刻までに学校に行く」という行動をどう形成すればよいのか(例えば、目覚ましをセットして早めに起きるとか、夜更かしを止めるとか)という問題に置き換えることができます。

 このほか「殴られる」というようなイジメ問題も、「殴る」という加害者側の能動的行動をどう無くすか、また「殴られる」側の被害者側において、「被害を通報する」、「(非暴力的手段で)反撃する」といった能動的対策をどのようにとるのかを課題にする必要があります。

 なお、「じっとして動かない」というのは、通常は「死人テスト」をクリアしない行動モドキですが、「獲物を捕らえるために、身を潜める」とか「大地震の時、頑丈な机の下にもぐって動かない」というような場合は、死人テストをパスすることができます。なぜなら、「獲物を捕らえるために、身を潜める」というのは、「獲物を探す→身を潜める→獲物を捕まえる」という行動の一部であって、死人には一連の行動を行うことができないからです。同様に、「大地震の時、頑丈な机の下にもぐって動かない」というのも、「大地震を察知→机の下に潜る→じっとして動かない→地震がおさまったら屋外に避難する」という一連の行動の一部であれば、死人テストをパスできます。

 不定期ながら次回に続く。