じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
5月9日の早朝、岡大構内はうっすらと霧に包まれていた。いつもの散歩コースを変更し、時計台前まで行ってみた。写真は上から、時計台前、岡大・南北通り(岡大西門から南方向)、農学部農場と半田山。 |
【思ったこと】 140508(木)長谷川版「行動分析学入門」第5回(6)好子出現の随伴性による強化(6)習得性好子(3)般性習得性好子 昨日までのところで述べたように、新たに形成された習得性好子が新たな裏付け好子となって、さらに新しい習得性好子が作り出されていきます。現代社会では、新たな商品開発やコマーシャルの中にその応用例を見ることができます。 そもそもブランド品というのは習得性好子の代表であり、また、テレビのCMで、当該の商品を美しい自然風景や子どもの笑顔と対提示するというのも、まさに、風景や笑顔を裏付け好子として、当該商品の習得性好子としての機能【行動を強化する力】を高めようとしている操作であるとも言えます。 さて、習得性好子の中でも強力で安定した強化力を持っているのが「般性習得性好子(はんせい・しゅうとくせい・こうし)」です。習得性好子は少なくとも1つの裏付け好子があれば好子としての機能を維持できますが、般性習得性好子の場合は、多数の裏付け好子が一対多対応の形でそれを支えています。その代表は、お金です。お金は、衣食住に関わるあらゆるモノや様々な人的サービスと交換できます。つまり、お金の裏付け好子は、それと交換可能なすべてのモノや出来事ということになります。このほか、クレジットカード利用時に付加されるご利用ポイント、歳末セールで貰える福引き券、ゲームの獲得ポイントなども般性習得性好子と言えます。 般性習得性好子が強力で安定した強化力を持っている最大の理由は、飽和化といった確立操作や好みの個体差の影響を受けにくいことにあります。例えば、整理作業をしてくれた学生に、お礼としてカレーライスを用意したとします。しかし、これではカレーライスが嫌いな人の行動を強化することはできません。また、いくらカレー好きであっても、毎日毎日カレーばかり提供していたのでは飽きてしまいます(=飽和化)。代わりに、お金や商品券でお礼をすれば、学生は、それを使って好きなモノと交換することができます。カレーは嫌いだとか、カレーばかりで飽きるといった問題は起こりにくくなります。 ところで、般性習得性好子の中には、生得性好子であると錯覚しやすいモノも含まれている可能性があります。1つの社会の中で形成される般性習得性好子は、その社会の文化や習慣、道徳等を強く反映するため、あまりにも共通性がありすぎて、生まれつき備わっていたと錯覚されやすいのです。 スキナーは『科学と人間行動』の中で、般性習得性好子でありながら生得性好子のように錯覚されてしまう事例として、「注目」、「承認」、「愛情」、「従順」をあげています。以下の引用部分はいずれも『科学と人間行動』の第5章(原書78頁)から。訳は長谷川による。【1999年2月15日の日記の再掲】
次回に続く。 |