じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 本部棟前のガザニアとクスノキ。ガザニアは多年生だが、私の経験では何年か経つと中心部が老化・枯死してしまう。この花壇の場合はよく手入れが行き届いているようだ。


2014年5月18日(日)

【思ったこと】
140518(日)長谷川版「行動分析学入門」第7回(5)好子出現の随伴性による強化(12)消去(2)
 前回述べたように、行動が強化されなくなったあとには、
  • 「諦める」:諦めれば無駄なことにエネルギーを使わなくて済む。
  • 「諦めない」:しばしば「消去バースト」。時にはストーカー事件などにエスカレートすることも。
という両方向の変化が起こります。通常は、当該の行動は
  • いったん増加し(バースト)
  • その後、減少の過程をたどり
  • 散発的には増加することがあっても(=自発的回復)
  • いずれは生起頻度がほぼゼロの状態に終息
という過程をたどります。

 非行や犯罪などの問題行動の多くは何らかの好子出現によって強化されています。ですので、その好子を同定し、問題行動が起こっても好子が出現しないように環境を変えてやれば、消去することができます。といっても、現実にはそう簡単に消去に移行できないことが多々あります。
  1. 振り込め詐欺:誰もだまされなければ(お金という好子を振り込まなければ)、犯罪行為は消去される
  2. 空き巣狙い:家の中に金目のもの(好子)が一切無ければ、その家に空き巣に入るという犯罪行為は消去される
  3. 密漁:その川に魚(好子)が泳いでいなければ、密漁行為は消去される。
  4. 授業中に奇声をあげる:奇声を上げることが注目という好子によって強化されているのであれば、周囲が注目しなくなることでその行為は消去される。
  5. ストーカー:別れたはずの相手からつきまとわれても一切相手にせず、居場所を隠して会わないようにすれば、ストーカー行為はいずれ消去される
  6. 恐喝:恐喝されても金品(好子)を一切差し出さなければ、恐喝行為は消去される。
 上記のような場合でも、
  1. 現実には騙されて振り込むお年寄りがいる
  2. 家の中に金品がゼロということは考えられない
  3. 別の場所で密漁する
  4. 消去バーストにより、ますます奇声を発するようになる
  5. 警察がちゃんと対応してくれないと、一切相手にしないと、ますますつきまとうという消去バーストが起こる
  6. 警察がちゃんと対応してくれないと、恐喝がますますエスカレートする。
といった事態が起こりかねません。その場合には、後述するような、罰的統制(嫌子出現による弱化等)を併用せざるを得ません。

 このほか、ターゲットとなる好子出現を中止できても、問題行動が起こり続けるという事態もあり得ます。それは、当該の問題行動が想定外の別の好子によって強化されていた場合です。例えば、コンビニで、チョコレートの万引きが多発していたとします。ところが、お菓子メーカーの宣伝のため、1ヶ月間、そのチョコレートが無料で配られるようになったとします。チョコレートを手に入れることが好子になっていた非行者であれば、もはやその必要が無くなるので、万引きという行為は消去されるはずです。しかし、万引きというスリル事態が好子となっている非行者であれば、おそらく別の物品、時には自分が必要としてないような物品を万引きし続けることでしょう。

次回に続く。